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2ジェリク殿下との出会い
しおりを挟むそんなある日、私が15歳になったころだった。
グラマリンにたくさんの魔物が発生してグラマリン男爵家は王国騎士団に助けを求めた。
王国騎士団は聖教会に本部を置くとすぐに魔物を討伐にかかった。もちろん救護所もここに置かれた。
怪我人が次々に運ばれてくる中魔力を持たない救護には限界があった。
私はいたたまれず父様が止めるのも聞かず魔力を使って治療に当たった。
そこにはもちろん私が生まれた頃に後を継ぐ者がいなくなった辺境にやって来た新たな辺境伯であるエバン・チェスナット辺境伯の姿もあった。
彼はグラマリン領を助けるために辺境騎士団を差し向けてくれた。
彼は金色の髪でやはり王族だと思わせたが、お母様が平民のせいか瞳の色は茶色でかなり鋭い目つきをしていて強面に見えた。
小さなころから大人たちの心ない嫌がらせなどで心を閉ざしたのか無表情な顔で精悍な顔つきには人を寄せ付けない雰囲気でその鋭い眼光は辺境騎士団員にも恐れられていると噂があった。
でも、こうやって助けに来てくれるならきっと優しい人だと思った。
そんな時、ジェリク・ニルス第2王子殿下と出会った。彼は5歳年上の見目麗しい男性だった。
彼は国王と平民の女性との間に生まれた子どもで生まれた時から王位継承権はなくそのためか王国騎士団に入っているのだと聞いた。
それにお母様は幼いころに亡くなったらしいとも聞いた。
ジェリク殿下が魔物と対峙して怪我を負って救護所に担ぎ込まれた。
私はみんなが止めるのも聞かずジェリク殿下が追った腕の深い傷に魔力をかけた。
幸いこの頃の私は母様を治癒しようとした時より魔力も増えて技術力も上がったようで頑張れば魔物の毒を解毒することが出来るようになっていた。
相変わらずキアから話しかけられることはなかったが見守ってくれていると信じていたかった。
怪我を完全に治せなくても魔物の毒を解毒出来ればよほどのことがない限り命に問題はなくなるらしくジェリク殿下も数日で動けるようになった。
「フレイシア。君の力は素晴らしいよ。こんな力を持ってるのにどうしてこんな辺鄙な所にいるんだ?王都に来ればきっとみんなフレイシアを聖女として扱うだろうに」
ジェリク殿下は、金色の美しい髪をさらりとかき上げそのキラキラ光る翡翠のような緑色の瞳で私に微笑んだ。
田舎育ちの私はその彫像のように端整な顔立ちの美丈夫の微笑みにあっという間に心を握りこまれた。
「‥‥(でも、私は喋れないのよ。こんな私を王子が相手にしてるはずがないじゃい。ジェリク殿下は大人の男だし、ってそういう問題じゃないけど)」
かっこよすぎる男の人からそんな誘いを受けて平然としていられるはずもない。
でも、喋れない事に劣等感を抱いている私は勘違いしてはいけないと必死で自分に言い聞かせる。
「フレイシアって子供の頃魔物に襲われて喋れなくなったんだろう?辛かったな。でも、王都に来ればきっと傷も癒されて話も出来るようになるんじゃないか?俺、フレイシアの力になりたいんだ。絶対後悔させない。だから王都に来ないか?」
「‥‥」
私は緋色の目をまん丸にしてジェリク殿下を見つめた。
そんな私の両手をぎゅっと握って。
「耳は聞こえるし字は書けるんだろう?」
殿下は私が恐くないの?と思うが彼の仕草は優しかった。
思わず私はこくんと頷く。
「だったら問題ないじゃないか。なっ、俺フレイシアの事好きになったんだ。離れ離れになりたくない。あっ、もちろん君のお父さんにはきちんと隊長から話をしてもらうからさぁ」
ふわりと笑った顔がまたまぶしいほどカッコよくて。
こんな人が私を頼ってくれる。それだけに舞い上がってしまった。
そして私は父様の言うことも聞かず王都ロステオに行く事にした。
父様は私に自分がキアラルダ帝国の人間と知られてはいけないよと何度も言った。
今この国とキアラルダ帝国の間は関係が悪化して今にも戦争が起きそうなんだとも。
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