枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

文字の大きさ
2 / 31

2ジェリク殿下との出会い

しおりを挟む
 
 そんなある日、私が15歳になったころだった。

 グラマリンにたくさんの魔物が発生してグラマリン男爵家は王国騎士団に助けを求めた。

 王国騎士団は聖教会に本部を置くとすぐに魔物を討伐にかかった。もちろん救護所もここに置かれた。

 怪我人が次々に運ばれてくる中魔力を持たない救護には限界があった。

 私はいたたまれず父様が止めるのも聞かず魔力を使って治療に当たった。

 そこにはもちろん私が生まれた頃に後を継ぐ者がいなくなった辺境にやって来た新たな辺境伯であるエバン・チェスナット辺境伯の姿もあった。

 彼はグラマリン領を助けるために辺境騎士団を差し向けてくれた。

 彼は金色の髪でやはり王族だと思わせたが、お母様が平民のせいか瞳の色は茶色でかなり鋭い目つきをしていて強面に見えた。

 小さなころから大人たちの心ない嫌がらせなどで心を閉ざしたのか無表情な顔で精悍な顔つきには人を寄せ付けない雰囲気でその鋭い眼光は辺境騎士団員にも恐れられていると噂があった。

 でも、こうやって助けに来てくれるならきっと優しい人だと思った。




 そんな時、ジェリク・ニルス第2王子殿下と出会った。彼は5歳年上の見目麗しい男性だった。

 彼は国王と平民の女性との間に生まれた子どもで生まれた時から王位継承権はなくそのためか王国騎士団に入っているのだと聞いた。

 それにお母様は幼いころに亡くなったらしいとも聞いた。

 ジェリク殿下が魔物と対峙して怪我を負って救護所に担ぎ込まれた。

 私はみんなが止めるのも聞かずジェリク殿下が追った腕の深い傷に魔力をかけた。

 幸いこの頃の私は母様を治癒しようとした時より魔力も増えて技術力も上がったようで頑張れば魔物の毒を解毒することが出来るようになっていた。

 相変わらずキアから話しかけられることはなかったが見守ってくれていると信じていたかった。

 怪我を完全に治せなくても魔物の毒を解毒出来ればよほどのことがない限り命に問題はなくなるらしくジェリク殿下も数日で動けるようになった。



 「フレイシア。君の力は素晴らしいよ。こんな力を持ってるのにどうしてこんな辺鄙な所にいるんだ?王都に来ればきっとみんなフレイシアを聖女として扱うだろうに」

 ジェリク殿下は、金色の美しい髪をさらりとかき上げそのキラキラ光る翡翠のような緑色の瞳で私に微笑んだ。

 田舎育ちの私はその彫像のように端整な顔立ちの美丈夫の微笑みにあっという間に心を握りこまれた。

 「‥‥(でも、私は喋れないのよ。こんな私を王子が相手にしてるはずがないじゃい。ジェリク殿下は大人の男だし、ってそういう問題じゃないけど)」

 かっこよすぎる男の人からそんな誘いを受けて平然としていられるはずもない。

 でも、喋れない事に劣等感を抱いている私は勘違いしてはいけないと必死で自分に言い聞かせる。



 「フレイシアって子供の頃魔物に襲われて喋れなくなったんだろう?辛かったな。でも、王都に来ればきっと傷も癒されて話も出来るようになるんじゃないか?俺、フレイシアの力になりたいんだ。絶対後悔させない。だから王都に来ないか?」

 「‥‥」

 私は緋色の目をまん丸にしてジェリク殿下を見つめた。

 そんな私の両手をぎゅっと握って。

 「耳は聞こえるし字は書けるんだろう?」

 殿下は私が恐くないの?と思うが彼の仕草は優しかった。

 思わず私はこくんと頷く。

 「だったら問題ないじゃないか。なっ、俺フレイシアの事好きになったんだ。離れ離れになりたくない。あっ、もちろん君のお父さんにはきちんと隊長から話をしてもらうからさぁ」

 ふわりと笑った顔がまたまぶしいほどカッコよくて。

 こんな人が私を頼ってくれる。それだけに舞い上がってしまった。



 そして私は父様の言うことも聞かず王都ロステオに行く事にした。

 父様は私に自分がキアラルダ帝国の人間と知られてはいけないよと何度も言った。

 今この国とキアラルダ帝国の間は関係が悪化して今にも戦争が起きそうなんだとも。




 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―

柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。 しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。 「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」 屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え―― 「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。 「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」 愛なき結婚、冷遇される王妃。 それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。 ――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。

赤毛の伯爵令嬢

もも野はち助
恋愛
【あらすじ】 幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。 しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。 ※1:本編17話+番外編4話。 ※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。 ※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。

【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?

篠月珪霞
恋愛
「…え」 まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。 私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。 いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。 過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。 父親は怒り、修道院に入れようとする。 そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。 学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。 ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。

朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」  煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。  普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。  何故なら———、 (罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)  黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。  そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。  3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。  もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。  目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!  甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。 「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」 (疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)

処理中です...