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14エバンの後悔
しおりを挟む泣きだしたフレイシアに俺はどうしていいか分からずただ背中をさすって悪かったと謝り続けた。
何であんな馬鹿な事をしたんだろう。
王国騎士団から罪人を辺境に送ると打診が来た。どうやら罪人は聖女だったが男漁りが激しく聖女としての品位の欠片もないような女だと知って頭にかっと血が上った。
母親が舞台女優でうっかり国王の目に留まり一夜の相手を求められただけの女だったはずなのに、母は見事に国王の子を懐妊。
そして俺が生まれた。金色の髪は王家の色。だが瞳は卑しい平民の色だと生まれた時から疎まれ父である国王さえも俺を疎んだ。
母は王宮に上がったが周りからのいじめやとげとげしい眼差しに心を病んでしまい俺が3歳の頃には亡くなった。
母もいないはみ出し者の王子がどんな目に合うか想像つくか?ったく。誰一人見方はいない。俺は自分で自分を守るすべを身に着けるしかなかった。
それでも一通り家庭教師がついて勉強や剣術は叩き込まれた。
いつかは父を見返してやりたいと思い嫌がらせを受けながらも必死で勉強や剣術に励んだ。
そんな俺の事など貴族の令嬢は見向きもしなかったし俺はそんな令嬢の意地汚い様を見知っていたから女には全くと言っていいほど興味はわかなかった。
そして18歳になった時この辺境領の領主になるように言われた。
この辺境は魔物が多く土地は痩せてほとんど食べ物が取れないような貧しい場所だった。前の辺境伯が亡くなった後は跡を継ぐ者さえいないようなひどい領地だと言うこんな辺境に俺を追いやった。
俺は悔しかった。でも、負けたくはなかった。
だからこの辺境を何とか建て直したいと思った。
それから俺は右も左もわからないまま必死でこの辺境を立て直して来た。周りの領地が困っていると聞けば助けに行った。
そうすると自然と助けてくれる人が出始めた。
そうやって20年俺は今日まで頑張って来た。
フレイシアの事はグラマリン領に行った時に聖教会の娘が少しばかり魔力が使えると聞いて興味が湧いて知った。
感心な娘だと思っていた。なのにジェリクなんかに惑わされて王都に行ってしまった。
あの時はなぜか無性に腹立たしかった。まだ子供だと思っていたフレイシアがと。
まあ、女はみなそういうものに憧れる生き物だと言い聞かせたが。
そしてこの度罪人が辺境に送られると聞いて俺は無性に苛立った。俺はお前たちの都合のいいごみ処理係じゃないんだって!
ヌバルという名で護送される荷馬車に乗り込むまではその罪人の女を途中で放り出すつもりだった。
でも、それがフレイシアだったときには驚いたが、ジェリクについて行ったフレイシアにいい感情は持っていなかったから彼女と分かってもあんな態度を取り続けた。
どうせ彼女も王都の貴族たちに弄ばれて薄汚れているのだろうと思ったから。
でも、本当は違ったみたいだ。最初は信じれなかっただからあんな態度で彼女を恐れさせようと思った。もちろん彼女を抱く気なんかなかった。
だが‥はぁぁ~俺はとんでもない事をしたみたいだ。
フレイシアは許してくれるだろうか?
何でこんなに胸が苦しいんだ?
俺は女なんか信じないし欲しくもないと言うのに。
泣き疲れて眠ったフレイシアの寝顔を見つめる。尊いとしか言いようのないその寝顔になぜか胸の中が搔きむしられた。
この夜、俺は無性に後悔をした。
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