23 / 84
23気になる情勢
「聞いたぞフレイシア、魔物を倒したんだって?大丈夫だったのか?あまり無理するな。もしお前に何かあったら‥」
エバン様が帰って来てラヴァード副隊長から聞いたのだろう。顔色を変えて私の所に来た。
ちょうど夕食の支度を手伝っていてマクベルさんからスパゲッティを任されていてトマトソースで味付けをし終わった所だった。
「エバン様。見て下さい」
「ああ、すごく可愛い。そのエプロン姿誰にも見せたくないな。それにそのスパゲッティすごく旨そうだ。今夜の夕食も楽しみだ。っていうかフレイシアあまり無理を‥」
「わかってます。エバン様の心配はすごくうれしいです。でも、私も経験しなきゃどうしていいかもわからないままじゃないですか。ラヴァード副隊長はちゃんとみんなを守ってくれてました。そのうえで私にもチャンスをくれたんです。私は今日魔物を倒せたことでまた一つ自信がついたんです。少し前まで魔力を失って殿下からは酷いことを言われ‥でも、私も役に立てるんだって思えるとそれがすごくうれしいんです。料理を作るのだって少しでも役に立ちたいからで‥エバン様もお疲れになっているはず。どうか気を休めてゆっくり食事をして下さい。お願いします」
「っ‥フレイシアありがとう」
そう言うが早いか私はエバン様に抱きしめられていた。
「こんな気持ちは初めてなんだ。屋敷に帰って来るのが楽しみで、でも少し不安で胸が疼くようなわくわくするような‥俺の世界が色づいて世界が変わって行くみたいで」
「もう!耳元でそんな事を言うなんて反則です。私は婚約者のふりをしているだけの「俺は本気だ!真剣に考えて欲しいんだ!」‥そんなの狡いですよ」
「狡いかも知れない。俺はいい年だが、こんなふうな気持ちになった事がなかった。だから‥俺はどうやってフレイシアを口説けばいいかもわからない。一方的に俺の気持ちを押し付けているってわかってる。でも、俺の気持ちを信じて欲しい」
「そんな‥」
彼の気持ちが本気だってひしひしと伝わって来る。うれしかった。
けど、彼の身分は国王陛下の弟で私なんかがふさわしいとは思えない。なのに、ぐいぐい自分の気持ちを伝えて来るエバン様にいつの間にか心惹かれている自分がいる。
マリンさんが調理場に入って来た。
「旦那様、フレイシアさんが困ってます。お気持ちはわかりますが調理場で愛の告白はいかがなものかと‥」
「マリン!告白じゃない。くどいてるんだ」
「もっと悪いですよ。さあ、みんなお腹を空かせてるんです。食堂に行って下さい」
「ったく、うちの使用人は厳しいな。わかった。じゃあ、フレイシア後でゆっくりな」
「はい」
私は返事もそこそこにスパゲッティの仕上げに取り掛かった。
騎士団の食堂に料理が運ばれ賑やかな夕食が終わった。
「ラヴァード。話がある。フレイシア後でお茶にしよう」
エバン様は周りにお構いなくウインクして来る。
騎士たちにヒューって口笛を吹かれて。もう、恥ずかしい!
「私は片付けがあるので」
さっさと食堂を後にする。
エバン様は食事が終わると副隊長を呼んで執務室に入って行った。
何やら深刻な話みたいだ。
キアラルダ帝国といよいよ戦争になるかもしれない。私にもキアラルダの血が入っているが生まれ育ったのはニルス国。
それに何より私は月の精霊の加護を持っている。何とかどちらの国も争わなくていいように出来ないだろうか。
片づけが終わり部屋に戻るとキアを呼んだ。
(キア、あなたにはキアラルダ帝国の事が分かるの?)
(ええ、私はキアーナ様の心と繋がっているからキアーナ様は今すぐにでも月光水晶をキアラルダ帝国に戻してほしいみたい。竜神レオン様がキアーナ様の姿が見えないと怒ってたの。二人は番同士。天に昇って仲良く暮らしていたけど、ニルス国が度々あくどいやり方で精霊を利用した事で私は弱ったの。それでキアーナ様が何度か地上に降りて来てくれて助けてくれたのよ。その度にレオン様は一人にされて‥男ってどうしてあんなに寂しがりなのかしら?)
(でも、今は私といるからキアーナ様は天にいらっしゃるの?)
(ええ、そのはず。でも、レオン様って一度怒り出すとしばらく手が付けられなくて疫病や天災に見舞われるキアラルダ帝国からしたら許せないって思うんじゃない?)
(まあ、疫病や飢饉は今すぐに何とかなるわけじゃないものね。かなり時間のかかる事だわ。じゃあ、ジェリク殿下のしでかした事はすごく大変な過ちだったって事なのね)
(ええ、ジェリクだけじゃなくて今までがひどかったんだと思うわ。だから今すぐにでも月光水晶をキアラルダ帝国に返した方がいいと思うわ。そうすれば彼らの気持ちも少しは落ち着くだろうから)
(わかった。エバン様にそう伝える。ありがとうキア。ところでキアラルダ人って魔法が使えるって聞いたけど、私の魔力は月の加護なんでしょう?だったら私には魔力はないって事よね?)
(う~ん。それはどうかな?精霊に選ばれるって事はある程度魔力の素質があるって事だから)
(まあ、そうなの。わかった。キアありがとう)
(ううん、また何かあったら聞いてね)
(しまった。カトリーナ様の魔力の事も聞けばよかったな。まあ、またでいいか‥)
それより大変じゃない。急いでエバン様にこの事を伝えなきゃ。
あなたにおすすめの小説
【連載版】婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
短編では、なろうの方で異世界転生・恋愛【1位】ありがとうございます!
読者様の方からの連載の要望があったので連載を開始しました。
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
※連載のためタイトル回収は結構後ろの後半からになります。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
ブサイク令嬢は、眼鏡を外せば国一番の美女でして。
みこと。
恋愛
伯爵家のひとり娘、アルドンサ・リブレは"人の死期"がわかる。
死が近づいた人間の体が、色あせて見えるからだ。
母に気味悪がれた彼女は、「眼鏡をかけていれば見えない」と主張し、大きな眼鏡を外さなくなった。
無骨な眼鏡で"ブサ令嬢"と蔑まれるアルドンサだが、そんな彼女にも憧れの人がいた。
王女の婚約者、公爵家次男のファビアン公子である。彼に助けられて以降、想いを密かに閉じ込めて、ただ姿が見れるだけで満足していたある日、ファビアンの全身が薄く見え?
「ファビアン様に死期が迫ってる!」
王女に新しい恋人が出来たため、ファビアンとの仲が危ぶまれる昨今。まさか王女に断罪される? それとも失恋を嘆いて命を絶つ?
慌てるアルドンサだったが、さらに彼女の目は、とんでもないものをとらえてしまう──。
不思議な力に悩まされてきた令嬢が、初恋相手と結ばれるハッピーエンドな物語。
幸せな結末を、ぜひご確認ください!!
(※本編はヒロイン視点、全5話完結)
(※番外編は第6話から、他のキャラ視点でお届けします)
※この作品は「小説家になろう」様でも掲載しています。第6~12話は「なろう」様では『浅はかな王女の末路』、第13~15話『「わたくしは身勝手な第一王女なの」〜ざまぁ後王女の見た景色〜』、第16~17話『氷砂糖の王女様』というタイトルです。
結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。
恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。
そして、屋敷から出ると決め
計画を実行したら
皮肉にも失敗しそうになっていた。
そんな時彼に出会い。
王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす!
と、そんな時に聖騎士が来た