枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

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23気になる情勢


 
 「聞いたぞフレイシア、魔物を倒したんだって?大丈夫だったのか?あまり無理するな。もしお前に何かあったら‥」

 エバン様が帰って来てラヴァード副隊長から聞いたのだろう。顔色を変えて私の所に来た。

 ちょうど夕食の支度を手伝っていてマクベルさんからスパゲッティを任されていてトマトソースで味付けをし終わった所だった。

 「エバン様。見て下さい」

 「ああ、すごく可愛い。そのエプロン姿誰にも見せたくないな。それにそのスパゲッティすごく旨そうだ。今夜の夕食も楽しみだ。っていうかフレイシアあまり無理を‥」

 「わかってます。エバン様の心配はすごくうれしいです。でも、私も経験しなきゃどうしていいかもわからないままじゃないですか。ラヴァード副隊長はちゃんとみんなを守ってくれてました。そのうえで私にもチャンスをくれたんです。私は今日魔物を倒せたことでまた一つ自信がついたんです。少し前まで魔力を失って殿下からは酷いことを言われ‥でも、私も役に立てるんだって思えるとそれがすごくうれしいんです。料理を作るのだって少しでも役に立ちたいからで‥エバン様もお疲れになっているはず。どうか気を休めてゆっくり食事をして下さい。お願いします」

 「っ‥フレイシアありがとう」

 そう言うが早いか私はエバン様に抱きしめられていた。



 「こんな気持ちは初めてなんだ。屋敷に帰って来るのが楽しみで、でも少し不安で胸が疼くようなわくわくするような‥俺の世界が色づいて世界が変わって行くみたいで」

 「もう!耳元でそんな事を言うなんて反則です。私は婚約者のふりをしているだけの「俺は本気だ!真剣に考えて欲しいんだ!」‥そんなの狡いですよ」

 「狡いかも知れない。俺はいい年だが、こんなふうな気持ちになった事がなかった。だから‥俺はどうやってフレイシアを口説けばいいかもわからない。一方的に俺の気持ちを押し付けているってわかってる。でも、俺の気持ちを信じて欲しい」

 「そんな‥」

 彼の気持ちが本気だってひしひしと伝わって来る。うれしかった。

 けど、彼の身分は国王陛下の弟で私なんかがふさわしいとは思えない。なのに、ぐいぐい自分の気持ちを伝えて来るエバン様にいつの間にか心惹かれている自分がいる。



 マリンさんが調理場に入って来た。

 「旦那様、フレイシアさんが困ってます。お気持ちはわかりますが調理場で愛の告白はいかがなものかと‥」

 「マリン!告白じゃない。くどいてるんだ」

 「もっと悪いですよ。さあ、みんなお腹を空かせてるんです。食堂に行って下さい」

 「ったく、うちの使用人は厳しいな。わかった。じゃあ、フレイシア後でゆっくりな」

 「はい」

 私は返事もそこそこにスパゲッティの仕上げに取り掛かった。




 騎士団の食堂に料理が運ばれ賑やかな夕食が終わった。

 「ラヴァード。話がある。フレイシア後でお茶にしよう」

 エバン様は周りにお構いなくウインクして来る。

 騎士たちにヒューって口笛を吹かれて。もう、恥ずかしい!

 「私は片付けがあるので」

 さっさと食堂を後にする。



 エバン様は食事が終わると副隊長を呼んで執務室に入って行った。

 何やら深刻な話みたいだ。

 キアラルダ帝国といよいよ戦争になるかもしれない。私にもキアラルダの血が入っているが生まれ育ったのはニルス国。

 それに何より私は月の精霊の加護を持っている。何とかどちらの国も争わなくていいように出来ないだろうか。




 片づけが終わり部屋に戻るとキアを呼んだ。

 (キア、あなたにはキアラルダ帝国の事が分かるの?)

 (ええ、私はキアーナ様の心と繋がっているからキアーナ様は今すぐにでも月光水晶をキアラルダ帝国に戻してほしいみたい。竜神レオン様がキアーナ様の姿が見えないと怒ってたの。二人は番同士。天に昇って仲良く暮らしていたけど、ニルス国が度々あくどいやり方で精霊を利用した事で私は弱ったの。それでキアーナ様が何度か地上に降りて来てくれて助けてくれたのよ。その度にレオン様は一人にされて‥男ってどうしてあんなに寂しがりなのかしら?)

 (でも、今は私といるからキアーナ様は天にいらっしゃるの?)

 (ええ、そのはず。でも、レオン様って一度怒り出すとしばらく手が付けられなくて疫病や天災に見舞われるキアラルダ帝国からしたら許せないって思うんじゃない?)

 (まあ、疫病や飢饉は今すぐに何とかなるわけじゃないものね。かなり時間のかかる事だわ。じゃあ、ジェリク殿下のしでかした事はすごく大変な過ちだったって事なのね)

 (ええ、ジェリクだけじゃなくて今までがひどかったんだと思うわ。だから今すぐにでも月光水晶をキアラルダ帝国に返した方がいいと思うわ。そうすれば彼らの気持ちも少しは落ち着くだろうから)

 (わかった。エバン様にそう伝える。ありがとうキア。ところでキアラルダ人って魔法が使えるって聞いたけど、私の魔力は月の加護なんでしょう?だったら私には魔力はないって事よね?)

 (う~ん。それはどうかな?精霊に選ばれるって事はある程度魔力の素質があるって事だから)

 (まあ、そうなの。わかった。キアありがとう)

 (ううん、また何かあったら聞いてね)



 (しまった。カトリーナ様の魔力の事も聞けばよかったな。まあ、またでいいか‥)

 それより大変じゃない。急いでエバン様にこの事を伝えなきゃ。





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