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26カトリーナの思惑
しおりを挟む「お父様、本当に大丈夫なんですの?」
「大丈夫に決まってるだろう。何を恐れているんだカトリーナ」
「だって、この雨ずっと降り続いてるじゃないですか。私が聖女になった途端にってみんなが言ってるんですよ。本当の聖女はフレイシアだったのではって声もちらほら・・」
「そんな事あるはずがないと分かってるだろう?あいつの魔力は尽きていた」
「まあ、そうですけど‥私の魔力だって本物じゃないんですから、月の精霊の加護を受けているふりをするのも大変なんですよお父様!」
「カトリーナ!誰がきいているかわからんのだ。人聞きの悪いことを言うんじゃない!」
王宮の一室。宰相の執務室で父のキロフ・エグブランド公爵と私、カトリーナがひそひそ話をしている。
「宰相!」
そこに入って来たのはジェリク殿下だった。
「ジェリク殿下良いところへ。アレク王太子の具合はいかがです?」
「ああ、今見舞ってきたところだ。良くはない。日に日に弱ってカトリーナの魔力がないともうあと数日ももたないんじゃないか」
「それはお気の毒に‥」
二人が顔を見合わせてニヤリとする。
「もう、ふたりともそんな事思ってもないくせに‥王太子に毒を仕込んでいるのはジェリクじゃない。そして私がアレク王太子を救う振りをして国王を揺さぶろうなんて‥それで国王陛下のご様子は?」
私はついふふっと笑みが浮かんだ。
「カトリーナ。まったくお前ときたら口を慎め‥」
「もう、いいじゃないですかお父様。誰も聞いてないですわよ」
「それが、国王はかなり気持ちが揺れている。今までは月の精霊の怒りを買ったからだとか月光水晶をキアラルダに返さないからじゃないかって言っていたがアレクの命がかかっているとなれば月光水晶をキアラルダ帝国に返すわけには行かないって思い始めてるみたいだからな」
「じゃあ、国王が引退するのももうすぐ?」
私はやっとこんな芝居をしなくて済むと思った。
「まったく。俺達が仕組んでアレクを弱らせてるっていうのにさ。まあ、あれだけ弱気になってたら国王から降ろすのは訳なさそうだ。なぁ宰相」
「まあ、それだけの地盤は組んで来たんです。ここで一気に国王を退位に追い込んでジェリク殿下が立太子されて次期国王という流れに持ち込む算段ですから‥国民の声が膨れ上がらないうちに急がなくては。とにかく今は気を引き締めてぼろが出ない用くれぐれも態度に気を付けて下さい殿下」
私がお父様たちの計画を知ったのは1年ほど前。屋敷の執務室でジェリク殿下とお父様が話しているのを聞いてしまった。
お父様とジェリク殿下は数年前から他の貴族たちを取り込み国王を引き下ろす計画を立てていた。
フレイシアはジェリクの婚約者とされてジェリク殿下にいいように使われていた。
ジェリク殿下やお父様の言われるまま貴族の病気や怪我を治したり、資金を援助という名目で押し付けたりして、弱みを握られた貴族はお父様の言うことを聞くしかなくなるように仕向けられた。
こうして着々と貴族を従えて国王の失脚を狙った。
それが月光水晶問題でキアラルダ帝国との間に問題が起きて国王がやけに口をはさんでくるようになった。
だから国王を言いくるめるために聖女の魔力枯渇を取り上げた。今、月光水晶をキアラルダ帝国に返したらニルス国は大変な事になると脅したのだ。
フレイシアは魔力を失い男に走ったとされてそこに運よく現れたのが私。
私は父の名の元、新たな聖女として名乗りを上げて次々に病や怪我を治していった。
ジェリク殿下と新たに婚約を結び人々は私や父を頼りにしていくはずだった。
なのに、雨が降り続き人々は不安を募らせ始めた。
私が雨を止めれると思う?私の魔力は本物でもないのに。あれはキアラルダの魔込石を使って治療をしているだけの事。
私には魔力なんかまったくないのよ。
ジェリク殿下もそのことは知らないから、私に何とかしろって言うけどそんなの知るわけないわよ。
すべてはお父様とジェリク殿下が仕組んだ事でしょ?
私のせいにするなんてどうかしてるわ。
いやなら今すぐ聖女なんか辞めてもいいのよ。
だっていつも病人は怪我人の相手をするのはもう飽きたんだから、そろそろ結婚式のドレス選びとかしたいわよ。
いい加減、手際よく国王を引退させればいいのよ。アレク王太子もさっさと始末しなさいよ。
それにあの王太子妃のキャサリン。アレク野心配をするふりの旨い事。
それにキャサリンの祖父オキウス・グラスリン侯爵は前国王の宰相をしていた男で国王陛下のアダムとは彼が幼いころから頼りにしている人物で何かと父に意見して来る古だぬきなのよね。
それにジェリクもいざって時には臆病なんだから。しっかりしてよ。あんな奴国王の子供でなかったら絶対相手にしないわよ。
お父様もジェリク殿下も早く国王を何とかしなさいよ!!
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