枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

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34みんなにおだてられて


 
 それからしばらくしてフォート神官がやって来た。一緒にメイドと思われる女性が入って来て食事が運ばれて来た。

 「聖女様お加減はいかがでしょうか?あなたが王女であると分かりメルローズ王妃から是非にも王城に来ていただくようにと言われまして勝手ですが王城のお部屋に移動させて頂きました。申し訳ございません」

 「事情は理解しました」

 「ありがとうございます。取りあえずお食事をと思いましてご用意させましたので召し上がって下さい。午後には王妃様がご挨拶がしたいと言われておりまして」

 「あら、どんなご用件?王太子様のご病気の事かしら?」

 「実はその通りです。クリス殿下のご容態はかなり悪く‥」

 「でも、この国は魔法も使える国。病も何とかできるはずじゃ?」

 「とんでもありません。治癒魔法は聖女様だからこそ出来る事ですから」

 「でも、私の国で魔込石を使って治癒をしてた人がいるのよ。だから病も治せるんじゃないの?」

 「それはある程度の軽い病でしょう。重度の病は聖女様のお力を借りませんと‥それに今回の疫病には竜神様のお力も加わっているせいでとても人間の手に負える者ではないのです」



 (そんなの‥まあ、キアーナ様も竜神様の怒りがって言ってたからまんざら嘘でもない気はするけど。私に出来るかどうか‥)

 (フレイシア。こんなに言ってるんだから、どう?クリスだけでも治癒してみたら?あなたも出来るかどうかやって見なきゃわからないって思ってるんでしょう?だったら‥それにキアラルダの人が今も疫病に苦しんでいるのをあなたは見過ごすなんて出来ないんだから。どう?)

 (そうね。まずはひとり。それでうまく行けばみんなの治癒も出来るはずよね?)

 (そうよ。キアーナ様のお墨付きなんだもの。フレイシアなら絶対うまく行くわ)

 キアにうまくおだてられて、クリス殿下の治癒をやってみようと決心する。



 「わかりました。クリス殿下に治癒をやってみます」

 フォート神官の顔がみるみる明るくなって行く。

 「あ、ありがとうございます。ああ、まずはお食事を。私は大神官様に知らせて来ますので‥あっ、食事が終わるころまた来ます」

 がばりとお辞儀をすると走って出て行ってしまった。

 「聖女様。私はメイドのイリと申します。お食事ご用意が出来ておりますのでごゆっくりお召し上がりください」

 イリと名乗ったメイドはそれだけ言うと出て行った。



 私は用意された食事に手を付けた。

 具だくさんのスープに焼き立てのパン。メインは白身魚のハーブを聞かせたソテーに温野菜が添えられている。

 どれも体調を気遣ったと思われる料理だ。

 一口食べ始めるとお腹が空いていたのだろう、どんどん食が進み、気づけば全部平らげていた。



 はぁ、お腹がいっぱいになったら気持ちが落ち着いた気がした。

 (ふふっ、フレイシアったら食いしん坊)

 (キア?もう、いるなら姿を見せてよ)

 光が揺れてキアが現れる。

 目がクリクリっとして小さな唇から笑いが零れる。キアを見るだけで心が癒されるなぁ。

 (キアって食事はしないよね?)

 (まあ、精霊だから‥でも、フレイシアの美味しそうに食べる姿を見てるのが私の食事だと思ってくれると言いわ。ああ、お腹いっぱい)

 (そう?だったら良かった)

 (フレイシアが幸せだと私も幸せなの。そう言えばクリスの治癒をするって決めたのね)

 (ええ、まず一人。それがうまく行けばみんなの治癒も出来るって事だと思うから)

 (ふふっ、あなたらしい。絶対大丈夫だから)

 (うん、キアそばにいてね)

 (いつだってそばにいるから)

 (ありがとう)



 不意にエバン様の顔が浮かんだ。

 最初は騙して私を試して、でも私の事ちゃんと信じてくれた。それからは不器用な彼に惹かれっぱなしで、エバン様が嘘をついたとは思ってない。

 キャラメルに一緒に乗った時だって、髪飾りを手渡してくれた時のぎこちない様子も全部好き。だった。

 あんな事がなければ私たちは今頃‥‥胸の中が押しつぶされそうだ。




 扉がノックされてマクリート大神官が見えた。

 「聖女様聞きました。さすがは聖女様。私は信じていました。本当にありがとうございます。クリス殿下の事どうかよろしくお願いします」

 「はい、でも、私自身出来るかどうかもわかりません。もし、失敗してもお許しください。それだけは約束していただけますか?」

 マクリート大神官の顔がわずかに歪むがすぐに元の顔に戻る。

 「いいえ、聖女様どうか月の女神キアーナ様を信じて下さい。あの方がはっきりおっしゃったのです。あなたに力を授けたと、私達はそれをはっきり耳にしております。必ず治癒は成功するはずです。どうかご安心ください」

 「やってみます」

 そして私は彼が持って来た聖女服に着替えてクリス殿下の元に行く事になった。

 聖女服ってどこも大して変わらないんだ。ニルス国も同じようにふわりとした白い服だった。でも、キアラルダの聖女服はスカート部分に幾重にも布が重なって歩くと裾のレースが見えて可愛い。

 まっ、寝間着じゃ絶対行けないもんね。

 そんなたわいのない事を思って気持ちを落ち着けた。




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