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39ラヴァード真実を知る
残ったラキスに任務を伝える。
「ラキスは今からキアラルダのメイズ辺境伯の所に急げ。フレイシアはキアラルダの帝都にいると知らせが来た。急ぎ帝都に入ってくれ」
フレイシアが帝都に入った事はフォートから知らせが来ていた。
「了解しました」
「彼女には女神キアーナがついていたらしい。彼女には疫病や飢饉にも対応できる魔力を付与したらしい。いや、それより先にお前が帝都に行くことをメイズに知らせないとな」
俺はメイズ辺境伯に手紙を書くと窓から腕を出した。鳥笛を吹いてシュテを呼んだ。シュテは連絡を取るために訓練された鷹だ。
「キィーッ、キッ、キッ!」
甲高い鳴き声がしたと思ったら俺の腕にシュテが止まった。足首の足輪を外し中に手紙を入れて足輪をはめる。
「シュテ、すまんがメイズまで頼む」
シュテはわかったとでも言うように首をこくんと折った。
「行け!」
俺は腕をぐっと伸ばしシュテを押し出すように腕をグイっと上げる。
シュテはすぐに翼を広げ一気に輪を描いて上空に舞い上がって行く。
そして翼を大きく羽ばたかせメイズ辺境の方角に向かって飛び去った。
手紙は相手に届くと差し出したものの声を発する。
「連絡はつけてある。俺は今ここを動くわけにいかないからな。フレイシアが聖女として現れたということはセレストの動向がどうなるか。王妃の動きも心配だ。後は頼んだぞ」
「了解しました」
「ああ、詳しい事が分かり次第連絡を頼む」
「お任せ下さい」
それからしばらくして魔物がぐんと減りほとんど姿を現さなくなった。
そしてラキスから連絡が来た。
「シュテ、すまんな。何度もご苦労」
シュテの足輪から手紙を取り出すとさっそくラキスの声が報告を始めた。
『ラヴァード様。報告です。疫病にかかっていたクリス殿下はフレイシア様の力で回復されました。フレイシア様聖女として帝都の民に疫病の治癒をしたりさらに領地を飢饉から救われています。それからキアラルダ人は魔物を操るのをやめたようですのでそちらに被害が収まっている事と思います。セレストはフレイシアが現れたことでかなり焦ってます。動きを見張っていますが、そうでした。そんなことより大切な知らせがラヴァード様、驚かないで聞いてください!フレイシア様はあなたの妹なんですよ。殿下のお母様が王城を追われた後に生まれたあなたの妹だとフォートから知らせが届いてます。何よりの証拠は彼女の手の平に王家の紋章があるそうです。それからクリス殿下がフレイシア様に言い寄っています。どうすればいいんです?二人は異母兄妹という事になってはいますが、まあ事実は違いますけど‥フレイシア様は戸惑っています。まったく王妃が何か狙っているとしか思えませんけど。とにかく、一刻も早く帝都に来て下さい、お待ちしてます』
ラキス!
なんども聞きたいがこれが一度聞いたら終わりというもので‥
俺は絶句する。
うそだろ。聞き間違いじゃないのか?
フレイシアが俺の妹?そんな訳が‥いや、でも確かにそう言ったよな。
おまけにクリスがフレイシアに?馬鹿かあいつ。
にわかには信じられない話にへたりと椅子に座り込む。
母は罪を着せられ泣く泣く王城を追い出されメイズ辺境に送られたと聞いた。そして病で亡くなったと。
俺が10歳の時に帝都を追われてメイズ辺境に逃れた時もそんな話は聞かなかった。
幼い頃聞いたあやふやな情報だ。それに情報を操ることは簡単だしな。
そう言えばフレイシアは母がキアラルダから逃げてきた平民だと聞いていた。グラマリンの聖教会の神官と結婚したがフレイシアは母親の連れ子だった。フレイシアの父は誰かも聞いてはいない。
それに母は祖父にもフレイシアの事を知らせていなかったのかもしれない。いや、祖父が隠したのかも。ばれていれば親子ともども殺されていたかもしれないからな。
あのセレストだったらやりかねないか‥
これまでの状況を考えると母がどれほどフレイシアを大切に思っていたか思い知らされた。
半面、俺は母と引き離された。母も辛かったと思う。わかっている。
だからフレイシアだけでも母のそばに居れたことを神に感謝するべきだろう。そして俺にも愛する家族がいるとい事に‥
訳の分からない焦燥で胸が苦しくなってどうしていいかわからなくなる。
感情的にならない事だけが俺のとりえなのに‥
俺は女が嫌いだ。王妃メルローズのあの甲高い笑い声。貴族の女の表向きの顔と裏の顔。悪口や嘲りばかりの騙し合い。男に媚を売りその癖裏では悪態をついている。そんな女をいやというほど見て来た。
くだらないと思った。
でも、そう言えばフレイシアは違ったな。
冷たくしてもみんなのために食事を作り魔物をやっつけようと懸命になる。上辺だけのジェリクにしっぽを振っていた奴と嘲ていたが思えば以外にも骨のある女だと、そして妙に魔法の波長が合う気がした。それに俺と同じ髪色、瞳までも同じ緋色で。
そんな女が俺の妹だって?
やっぱり信じられんが嫌な気はしなかった。変だ。
俺にも家族がいたなんてな。
俺はいろいろ考えたがすぐに返信を送った。
『ラキス任務ご苦労。引き続いてセレストや王妃の動きを見張ってくれ。それでだ。フレイシアの事了解した。いいか、わかってると思うが彼女には俺のことは絶対に知らせるなよ。それからクリスの動きだが王妃が何か計画を立てているのかもしれん。フレイシアにはうまく行ってクリスの戯言に付き合うようにフォートに頼んでくれ。フレイシアの安全のためだ。あいつらどうせ何か企んでいるに違いない。すぐに尻尾を出すはずだ。うまく行けばセレストと王妃を一気に排除できるかもしれないからな。それにしてもクリスには帝国の王としての自覚を持ってもらわなくてはならんのだが‥それが一番の心配なところだ。まあ、すまんがよろしく頼む。なるべく早く俺もそちらに行くようにする。おっと、フレイシアの見張りは強化しろ。わかってるだろうがクリスには絶対手出しさせるんじゃないぞ。いいな!』
それにしてもクリスの奴。バカだと思っていたが相当だな。ったく‥‥
俺は頭を抱えた。
そして妹がいたと言う知らせに戸惑いが押し寄せた。
一刻も早く帝都に行かなくては。
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