枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

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42クリス殿下がいい人?冗談でしょ!


 
 だが、意外にもクリス殿下が毎日聖教会にある診療所を訪れる事で帝都の人たちの態度が変わった。

 もちろん診療所の中に入ることはなかったが、出入りするところは目ざとく人々の目に入っていたらしく。

 驚き。

 クリス殿下がみんなを心配している。

 クリス殿下は優しい人じゃないのか?

 いやぁ、あんなに親身になってくれた王族は今までいなかったんじゃないか。

 ひょっとして殿下の祈りが通じて聖女様が現れたんじゃないのか?

 はっ?冗談ですよね。と言い返したかったがぐっと堪えた。

  この国にも不敬って言葉があるから。

 それを言えば私だって王女だけど、これは公式には発表されていない。今のところ聖教会と王妃とセレスト国王代理だけが知っている。

 まあ、私もその方がいいかもって思っているけど。



  そして1週間が過ぎるとそれからはあちこちの領地に出向いて疫病の治癒。領地の聖教会に転移して診療所や村を訪れての治癒活動となった。

 私は《疫病葬殺!》何て詠唱をしながら杖を振る。

 我ながらちょっとやり過ぎかな。

 どうしてこんなことになったかというと。



 困った事に領地の治癒活動にクリス殿下も一緒について来るからである。

 「クリス殿下、困ります。いくら何でも殿下がこのような場所に‥」と苦言を呈したのはマクリート大神官だった。

 「構わん。私も次期帝国の王となるんだ。領民がどんな状態か、領地の再生の具合など視察の必要がある。フレイシアと共に行動すればすべてが分かるではないか!」

 クリス殿下ってそんなにやり手の人だったの?聞いた話では病弱で王城から出たこともないとかって。

 治癒しているところを見て

 「フレイシア、もうこれはある種の芸術じゃないのかな?これは帝国の緋色叙勲に値するな」

 なんてことを言うから。

 私は顰蹙を買うようなあの《疫病葬殺》なんて馬鹿げたことを言い出す羽目に。

 (キア、もう嫌だ。あの殿下どうにかして欲しい)

 (そう?私は意外といいと思うけど。だって、今までずっと引きこもりだった殿下がああやってみんなの前に姿を現してみんなを元気にしてると思えば役になってるってことじゃない?)

 (‥まあ、クリス殿下が次期国王なんだから、みんなから慕われるのはいい事だし。殿下がこうやって領民や領地の事を知るいいきっかけになってる。けど。よ)



 領地では干からびた大地に新たな目が芽吹き一気に成長していく。作物が枯れ果て枯渇していた大地が緑の絨毯で埋め尽くされて行った。

 人々は歓喜の声を上げ涙を流して奇跡と叫んだ。

 私が現れると人々は私を取り囲んだ。クリス殿下が慌てて護衛で私を守る。

 「皆、聖女は疲れている。気持ちはわかるが距離を置くように」

 「あんた誰だ?」一人の男が尋ねた。

 護衛騎士は慌ててその男の腕を捻りあげる。

 「貴様!このお方は時期国王となられるクリス殿下だと知らないのか?」

 「はっ、そんなの知るか!殿下は疫病にやられたって聞いたぞ!」

 「私は聖女に救われたのだ。彼女がいなかったら危なかった。聖女の降臨はまさに奇跡だ。皆もそう思うであろう?」

 殿下が私に微笑みを向ける。

 私は少し俯き加減に顔を伏せる。

 こいつ、なに言い出すのかと思えば、そんなことを言ったら皆んながさらにヒートアップするじゃない!

 ほんとにやめて欲しい。

 聖女になったのは、たまたまなんですから。

 「皆で聖女を讃えようではないか」

 もう!ばかクリス殿下が皆を煽る。

 「いえ、私はたまたま選ばれただけなんです。特別でも何でもないんです。皆さん落ち着いて‥」

 「あなたは聖女様です。間違いなくあなたは神の子」

 「聖女様がいればもう怖いものなしだな」

 「ああ、聖女様~」

 領民が跪き私に手を合わせる。



 やめてやめて!



 クリス殿下にそっと耳打ちする。

 「殿下、どうしてみんなを煽るんです。こんなの卑怯ですよ」

 「そうか。私は事実を言ったまでだが、こんなに民から慕われる聖女が妻になってくれると帝国は安泰。もっともっといい国になると思うんだが?」

 クリス殿下はこの所すっかり顔色も良くなり日に日に正気を取り戻して行く。元々が端正な顔立ちな上に貫禄までついて来て言葉の端々には自信さえ伺える。

 こんな破壊力がある人には見えなかった。

 兄として見ればいい事だけど。

 この人にはそれが通用しないんだから!



 とにかくみんなを鎮めなかればとみんなの前で杖を頭上にかざして声を上げる。

 「いいですか皆さん。私はただ神様に偶然選ばれただけの人間です。神の子ではないのです。竜神様はおっしゃいました。この力はいつまでもあるのではない、それを忘れるなと。だからみなさん、聖女が現れたからと言って安心してはいけないのです。どうか、頼るだけでなく皆さんの力でまた作物を領地を潤して行ってほしいのです」と。

 するとみんなはそうだ。そうだと納得し始めるのだ。

 そしてまたやる気を出して仕事を始めれるようになって行った。

 そして最後に「やっぱり聖女様はすごい。聖女様が王妃となればこの帝国は安泰だ」と締め括られるのだ。

 頭痛い!



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