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78クリス殿下救出からまた牢へ(イリ)
「フェイって?この人は聖女フレイシア様。あなた一体何を言ってるんです?」
「ったく、フェイは嘘なのか。まあ、名前なんてどうだっていいけどよ。聖女なのか、どうりでな‥って言うか俺らが天狼だってどうしてそれを?お前ら何者だ!」
ナジと呼ばれた多分天狼の頭と思われる男が尋ねた。
「ぐっ!」
まずった。どうする?
するとキトと呼ばれた男がしゃしゃり出た。
「こいつらビーストハンターとか言う魔物ハンターですぜ。頭、こいつらの言ってる事は確かですぜ。頭がフェイって言ってる女は確かにフレイシアって言って聖女で間違いありません。それにこの女王城で見かけたことがありますぜ。確か聖女の侍女とか言ってましたが護衛だと思います。それにこっちの男は最近よく店の周りをうろついてましたし‥おい、お前ら何者だ?」
「俺たちはビーストハンター。魔獣狩りの集団だが仕事にあぶれて今は帝都で仕事をしている」
ラキスがそう言った。
「ふん、傭兵って事か。お前ら余計な事に首を突っ込まない方がいいぞ。俺らについているお方はお前の雇い主なんかよりもっともっと上のお方なんだ。フレイシアに危害を加えるつもりはない。さっきも言ったように彼女は命の恩人。目を覚ませばきちんと王城に‥いや、王城が危険なら聖教会に送って行く。心配せずもう帰れ!」
はっ?天狼のアジトにフレイシア様を置いて帰れ?ふざけてるの?それにあんたが信用できるとでも?散々みんなを苦しめておいて‥!!!
「バァン!‥」
いきなり部屋が光に包まれて人が降って来た。
「もう少しやり方はないのか。クッソ、頭がくらくらする」
「ったく!申し訳ありませんね殿下。ですが牢から連れ出したんです。感謝くらいしてもらってもいいんじゃないです?」
現れたのはクリス殿下と黒ずくめの男。
「ラド。一体何があった?」
私達だけでなくナジも驚いた様子だ。
「いえね頭。何だか様子がおかしいんです。ガビアンって騎士隊長がいきなり王妃の部屋にやって来て王妃を拘束しようとしたんです。王妃は間一髪でアナンと一緒に逃げましたがクリス殿下の所にも騎士隊員が向かっていて殿下は拘束されて牢にぶち込まれてしまって、仕方ないんで俺が牢から転移で連れ出して来たんですよ。それなのに…ったく。殿下ときたら文句ばっかり!」
「どうやら、そろそろやきが回って来たらしいな。俺ももう引き上げ時だと思っていたんだ。それで王妃はどこに?」
「はい、聖教会に行ったはずです。あそこにはマクリート大神官もいますから引き渡しに応じる事もないでしょうし。で?クリス殿下はどうします?」
「ああ、王妃と一緒の所でいいんじゃねぇか。そこにクリス殿下を連れて行ったら俺達は帝都を出るぞ。そろそろヤバイ感じだからな。ラド急げ。アナンにもそう伝えて一緒に帰って来い!」
はい?あなた達逃げれるとでも思ってるわけ?
とにかくフレイシア様の安全を確保したらこいつらを縛り上げてやるわ。
私はラキスとシグスにフレイシア様を安全な所にと目くばせする。
「フレイシアじゃないか?どうしてこんな所に。彼女は王城にいたはず。迎えに行こうとしていたら騎士隊員に拘束されて‥良かった。フレイシア大丈夫か?おい、お前ら彼女に何があったんだ?」
しまった。クリス殿下もいたんだ。
「何があったってクリス殿下が幻覚剤を飲ませたんじゃないですか。彼女を操って結婚して次期王になろうって王妃に言われて」
ラドという男が呆れたように言う。
「ぐっ。そ、それはわかっている!でも、どうして眠っている?誰か説明しないか!全く、これだから低俗な人間は嫌なんだ!」
ナジの眉が上がる。
「てめぇがフェイ、じゃねぇ、フレイシアに薬を持ったのか?こんないい子に何てことをしやがる!!」
クリス殿下の首を締め上げる。クリス殿下の脚は宙に浮き顔が真っ蒼になって行く。
「頭、行けません。こいつは王族ですぜ。こいつを殺めたら頭もただじゃ済まねぇ。やめて下さい!」
「おい、こいつは助ける必要はない。ラドこいつをもう一度牢に戻してこい。フレイシアを傷つけるような野郎なんざ許しちゃおけねぇからなぁ。さあ、早く行け!」
「で、でも、いいんですか?王妃を怒らせたら‥」
「俺を誰だと思ってやがる。あいつがごねたって構やしねぇ。こっちにだってあいつが困るような証拠があるんだ。契約を結んだときの証文がな。いいから早くそいつを牢にぶち込んで来い!」
「わかりました」
「ラド、何を言っている?!私を牢に戻すなどバカな事を。一体私を誰だと‥」
「バスッ!」ラドの拳がクリス殿下の腹に決まる。
「うっ!」
そう一声挙げてクリス殿下は意識を失った。そしてラドがおっという間にクリス殿下を担ぎ上げて転移して行った。
恐らく話の内容から元の牢内に戻したのだろう。
ナジ、あんたいいとこあるじゃない!!
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