枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

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80一触即発


 
 私とナジさんがひとしきり握手をして抱き合っているといきなり光が‥

 エバン様が現れた。

 えっ?目がおかしくなった?エバン様が見える‥


 「どういう事だ?クリス殿下と結婚すると言ってるって聞いて驚いて来てみたら今度は‥なんだ?そのくそったれは?」

 「え、ばんさま?」

 私はエバン様がいる事に驚いていると。

 いきなりエバン様が私とナジさんを引きはがした。

 「てめぇ、何するんだ?!」

 ナジさんも驚いてエバン様を殴りつけた。

 エバン様は頭に血が上っているらしく真っ赤になってナジさんに向かっていく。

 「エバン様!違うんです!」

 ナジさんの前に立ってエバン様に言う。

 はぁ、はぁ、大きく息を吐き肩を上げるエバン様。いつにも増して眉が吊り上がって迫力がある。

 「俺の女に手ぇ出すなんてお前死にたいのか」

 うれしい。じゃなくてエバン様落ち着いて。

 思わず俺の女発言にときめいてしまう。



 「おめぇこそ、大切な俺の恩人に手ぇ出してんじゃねぇ!」

 「もう、ふたりともやめて下さい!エバン様は私の婚約者で、ナジさんは命の恩人なんです。いいですかふたりとも。お、ち、つ、い、て、ください!!」



 「「!こいつがフレイシアの!?」」

 ナジさんはわかる。でもエバン様不良過ぎ。エバン様は一応王族なんだよね?そんな言葉使いどこで?…まあ、お兄様も似たようなもんか。

 これからのキアラルダ帝国の素養が落ちてしまうかもしれないな。




 「とにかくエバン様。フレイシア様は大変な目に合われてそれを助けていただいたのがこちらのナジさんでして、ナジさんにはこれから王妃の悪行三昧を証言していただく予定もあるんです。どうか、その辺りで矛を収めて頂きませんと‥」イリが揉み手でエバン様を説得する。

 「いや、それは申し訳ない事をした。そんなこととは知らなかったからつい!」

 「ヤキモチですかい?俺もわかりますってカリンが他の男と抱き合ってたら俺もそいつをぶん殴るでしょうから。ハハハ」

 ナジさんはあっけらかんと笑った。

 「いや、本当にすまん。ずっとフレイシアとは離れ離れでおまけに牢に入れられていて」

 「あっ、そういやぁ、王妃に頼まれてクリスを襲うようにした男がいたって言ってたな。あんたが?プッ!」

 ナジさんが思わず吹く。

 ああ、これは‥やばいやつ。



 「あ”ん?あんたそいつを知ってるのか?おい、そいつをここに出せ。許せん!そいつのせいで俺は‥」

 やっと落ち着いたと思ったらまたエバン様が興奮する。

 もう、ナジさんったら余計な事を。

 エバン様に何かをして彼にクリスを襲わせたと想像してたけどやっぱり。

 許せない!!でも、今はこの場を収める方が。

 私はエバン様に駆け寄る。ぎゅっと彼に抱きつく。ああ、この温もり。ほっとする。

 くっと彼を見上げて指先はぎゅと彼のシャツを握りこむ。

 「エバン様、ナジさんはそれもすべて証言してくれるって言ってるんです。その証言があれば王妃を追い詰めることが出来るんですから‥それに会いたかった。どんなに心配したかわかってるんです?もぉ~せっかく会えたのにエバン様は怒ってばっかり!もう、いやだ」

 彼の胸に顔を埋める。

 「あ‥‥‥‥ぐふっ!」

 エバン様が固まった。

 「こんな乱暴な人だとは!もう、私がクリス殿下を好きになってもいいんですか?」

 「あいつのどこが!!くっそ。狂いそうだった。お前に会いたくて‥俺も会いたかったフレイシア~!!!もう離さないからな」



 「お前ら、そんなに好きなら今すぐ結婚したらどうだ?そのクリス殿下とかも手出し出来ないようになぁ!」

 「そうか。フレイシア。そうしよう。今から聖教会に行って、ほら、フォートがいる。あいつに立ち会ってもらえばいいんじゃないか」

 エバン様はものすごく本気みたいだ。どうやらクリス殿下と結婚すると言った事を根に持っているらしい。

 「チェスナット辺境伯、今はそれどころではありません。王妃を叩きつぶす方が先決なんですから!」

 イルがちゃちゃっと却下!

 「だが、クリス殿下とはそういう話だったんだろう?じゃあ、俺でも‥「何言ってるんです!」‥‥」

 「えばんさま、あれは幻覚の話だったんですから」

 「あ”、ああ‥すまん。つい、焦った。それに久々のフレイシアなんだ。まだ足りん!!!」

 私はエバン様に抱き上げられた。

 ふっと吸い込んだ匂いがエバン様だ。

 ああ、エバン様が無事で良かった。



 あっ、そう言えばキアは?

 私はやっとそこでキアの事を思い出した。恐る恐るキアを呼んでみる。

 (キア?いる?ごめんね。私クリスに騙されてた。あなたが忠告してくれたのに‥ごめん。キア?怒ってる?ごめんね。もし、気が向いたら声かけて欲しい。キア)

 何度かキアを呼ぶがキアは応えてくれなかった。

 ああ、完全に怒らせちゃったな。

 せっかくキアが教えてくれてたのに‥

 エバン様が「キアか?」

 「ええ、クリス殿下に薬を盛られていてキアが必死で止めたのに私‥」

 「キア様もわかってくれるさ。フレイシアは幻覚剤のせいでおかしくなってたんだからな」

 「うん、でも‥」

 エバン様のシャツをぎゅっと握りこむ。



 その時だった。

 (フレイシア元に戻ったの?)

 (キア?キアなの?)

 (うん。フレイシアったら、ちっとも聞いてくれないから‥)

 (ごめんねキア。でも、キアの声が聞けて良かった。キア、ほんとに心配かけてごめん)

 (ううん、ナジがあそこにいてよかったわ)

 (知ってるの?)

 (当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの?私は実体のない存在。あなたを助けるには誰かの助けが必要だった) 

 (もしかしてキアが?)

 (まあ、あの人が解毒薬持ってるってわかったから、ちょっとタイミングを‥)

 (もう、キアったら‥大好き)

 (あっ、うん。私もフレイシアが大好き。良かった元に戻って‥)

 (うん、ほんとにありがとう)



 「良かったなフレイシア。キアもありがとう」

 (エバン、これからはしっかりフレイシアを守ってね)

 「ああ、月の女神にかけて誓う。これからもフレイシアの事よろしくな」

 (ええ、今後お二人に女の子が生まれればその子にも加護を授けますし、何より私はずっとフレイシア様のそばにいるつもりですから)

 「「キア、ありがとう」」

 そう言うとキラキラ光る粒子の中にキアが現れた。

 可愛い女の子が微笑んでそして一瞬で姿を消した。

 「俺の事認めてくれたのかな。あんなかわいい子とは知らなかったな」

 「エバン様って少女趣味だったの?もう嫌いです!」

 「待てフレイシア。そんな意味じゃない。誤解だ。頼む、もう喧嘩なんかしたくない。なぁ‥ふれいしあ~」




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