80 / 84
80一触即発
私とナジさんがひとしきり握手をして抱き合っているといきなり光が‥
エバン様が現れた。
えっ?目がおかしくなった?エバン様が見える‥
「どういう事だ?クリス殿下と結婚すると言ってるって聞いて驚いて来てみたら今度は‥なんだ?そのくそったれは?」
「え、ばんさま?」
私はエバン様がいる事に驚いていると。
いきなりエバン様が私とナジさんを引きはがした。
「てめぇ、何するんだ?!」
ナジさんも驚いてエバン様を殴りつけた。
エバン様は頭に血が上っているらしく真っ赤になってナジさんに向かっていく。
「エバン様!違うんです!」
ナジさんの前に立ってエバン様に言う。
はぁ、はぁ、大きく息を吐き肩を上げるエバン様。いつにも増して眉が吊り上がって迫力がある。
「俺の女に手ぇ出すなんてお前死にたいのか」
うれしい。じゃなくてエバン様落ち着いて。
思わず俺の女発言にときめいてしまう。
「おめぇこそ、大切な俺の恩人に手ぇ出してんじゃねぇ!」
「もう、ふたりともやめて下さい!エバン様は私の婚約者で、ナジさんは命の恩人なんです。いいですかふたりとも。お、ち、つ、い、て、ください!!」
「「!こいつがフレイシアの!?」」
ナジさんはわかる。でもエバン様不良過ぎ。エバン様は一応王族なんだよね?そんな言葉使いどこで?…まあ、お兄様も似たようなもんか。
これからのキアラルダ帝国の素養が落ちてしまうかもしれないな。
「とにかくエバン様。フレイシア様は大変な目に合われてそれを助けていただいたのがこちらのナジさんでして、ナジさんにはこれから王妃の悪行三昧を証言していただく予定もあるんです。どうか、その辺りで矛を収めて頂きませんと‥」イリが揉み手でエバン様を説得する。
「いや、それは申し訳ない事をした。そんなこととは知らなかったからつい!」
「ヤキモチですかい?俺もわかりますってカリンが他の男と抱き合ってたら俺もそいつをぶん殴るでしょうから。ハハハ」
ナジさんはあっけらかんと笑った。
「いや、本当にすまん。ずっとフレイシアとは離れ離れでおまけに牢に入れられていて」
「あっ、そういやぁ、王妃に頼まれてクリスを襲うようにした男がいたって言ってたな。あんたが?プッ!」
ナジさんが思わず吹く。
ああ、これは‥やばいやつ。
「あ”ん?あんたそいつを知ってるのか?おい、そいつをここに出せ。許せん!そいつのせいで俺は‥」
やっと落ち着いたと思ったらまたエバン様が興奮する。
もう、ナジさんったら余計な事を。
エバン様に何かをして彼にクリスを襲わせたと想像してたけどやっぱり。
許せない!!でも、今はこの場を収める方が。
私はエバン様に駆け寄る。ぎゅっと彼に抱きつく。ああ、この温もり。ほっとする。
くっと彼を見上げて指先はぎゅと彼のシャツを握りこむ。
「エバン様、ナジさんはそれもすべて証言してくれるって言ってるんです。その証言があれば王妃を追い詰めることが出来るんですから‥それに会いたかった。どんなに心配したかわかってるんです?もぉ~せっかく会えたのにエバン様は怒ってばっかり!もう、いやだ」
彼の胸に顔を埋める。
「あ‥‥‥‥ぐふっ!」
エバン様が固まった。
「こんな乱暴な人だとは!もう、私がクリス殿下を好きになってもいいんですか?」
「あいつのどこが!!くっそ。狂いそうだった。お前に会いたくて‥俺も会いたかったフレイシア~!!!もう離さないからな」
「お前ら、そんなに好きなら今すぐ結婚したらどうだ?そのクリス殿下とかも手出し出来ないようになぁ!」
「そうか。フレイシア。そうしよう。今から聖教会に行って、ほら、フォートがいる。あいつに立ち会ってもらえばいいんじゃないか」
エバン様はものすごく本気みたいだ。どうやらクリス殿下と結婚すると言った事を根に持っているらしい。
「チェスナット辺境伯、今はそれどころではありません。王妃を叩きつぶす方が先決なんですから!」
イルがちゃちゃっと却下!
「だが、クリス殿下とはそういう話だったんだろう?じゃあ、俺でも‥「何言ってるんです!」‥‥」
「えばんさま、あれは幻覚の話だったんですから」
「あ”、ああ‥すまん。つい、焦った。それに久々のフレイシアなんだ。まだ足りん!!!」
私はエバン様に抱き上げられた。
ふっと吸い込んだ匂いがエバン様だ。
ああ、エバン様が無事で良かった。
あっ、そう言えばキアは?
私はやっとそこでキアの事を思い出した。恐る恐るキアを呼んでみる。
(キア?いる?ごめんね。私クリスに騙されてた。あなたが忠告してくれたのに‥ごめん。キア?怒ってる?ごめんね。もし、気が向いたら声かけて欲しい。キア)
何度かキアを呼ぶがキアは応えてくれなかった。
ああ、完全に怒らせちゃったな。
せっかくキアが教えてくれてたのに‥
エバン様が「キアか?」
「ええ、クリス殿下に薬を盛られていてキアが必死で止めたのに私‥」
「キア様もわかってくれるさ。フレイシアは幻覚剤のせいでおかしくなってたんだからな」
「うん、でも‥」
エバン様のシャツをぎゅっと握りこむ。
その時だった。
(フレイシア元に戻ったの?)
(キア?キアなの?)
(うん。フレイシアったら、ちっとも聞いてくれないから‥)
(ごめんねキア。でも、キアの声が聞けて良かった。キア、ほんとに心配かけてごめん)
(ううん、ナジがあそこにいてよかったわ)
(知ってるの?)
(当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの?私は実体のない存在。あなたを助けるには誰かの助けが必要だった)
(もしかしてキアが?)
(まあ、あの人が解毒薬持ってるってわかったから、ちょっとタイミングを‥)
(もう、キアったら‥大好き)
(あっ、うん。私もフレイシアが大好き。良かった元に戻って‥)
(うん、ほんとにありがとう)
「良かったなフレイシア。キアもありがとう」
(エバン、これからはしっかりフレイシアを守ってね)
「ああ、月の女神にかけて誓う。これからもフレイシアの事よろしくな」
(ええ、今後お二人に女の子が生まれればその子にも加護を授けますし、何より私はずっとフレイシア様のそばにいるつもりですから)
「「キア、ありがとう」」
そう言うとキラキラ光る粒子の中にキアが現れた。
可愛い女の子が微笑んでそして一瞬で姿を消した。
「俺の事認めてくれたのかな。あんなかわいい子とは知らなかったな」
「エバン様って少女趣味だったの?もう嫌いです!」
「待てフレイシア。そんな意味じゃない。誤解だ。頼む、もう喧嘩なんかしたくない。なぁ‥ふれいしあ~」
あなたにおすすめの小説
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜
夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」
婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。
彼女は涙を見せず、静かに笑った。
──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。
「そなたに、我が祝福を授けよう」
神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。
だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。
──そして半年後。
隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、
ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。
「……この命、お前に捧げよう」
「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」
かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。
──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、
“氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。
【連載版】婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
短編では、なろうの方で異世界転生・恋愛【1位】ありがとうございます!
読者様の方からの連載の要望があったので連載を開始しました。
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
※連載のためタイトル回収は結構後ろの後半からになります。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。