枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

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83マクリートの最後そして


 
 「どうして?私が倒されるなんて‥うそだ。クリスを。あいつを王にするまでは‥ググ、ハァァ‥」

 そこに王妃が走って来た。

 「マクリートしっかりして!あなたがいなくなったら私はどうすればいいのよ‥マクリート‥お願い目を開けて‥」

 王妃がマクリートに縋りつくが彼は完全に意識を失っていた。

 イリ達が走って行ってマクリートと王妃を確保する。




 私達はほっとするが、雷の勢いは全く衰えない。それどころか制御を失いさっきより滅茶苦茶に雷が落ちている。

 「何?どうして、雷が止まらないの?おかしいじやない!マクリートは意識もないのに」



 (きっと、魔力の暴走よ。フレイシア、エバン!二人の力を合わせて暴走を食い止めて!)



 「でも、どうやって?」

 「俺たちも協力する!」

 ナジさんが言う。

 「あの神木を倒すんだ!闇魔法には大抵身代わりの存在があってよ。俺ならあの神木を使う、だからきっと」

 「わかった。エバン様一緒に!」

 「おお!」

 「私たちも協力します!」

 「「「「「俺たちだって負けません!」」」」」

 エバン様と手をつなぐ。そして次々みんなが手を合わせて行く。

 そしてみんなの魔力が。祈りが。

 みんなの魔力の結集が神木にたたきつけられた。



 バリバリバリバリ~!!!

 地響きと共に大木が倒れていく。

 バシ~ン~!

 地面が揺れて神木が根本から倒れた。

 そして止まらなかった雷と雨が止んだ。

 「やった?」

 「やったか?」

 「ええ、きっと」

 「まじ?」

 「やったんだろ?」みんな最大限テンパっていて、とどめをさせたのかも分からない。



 (フレイシアやったわ。これでマクリートが暴走させた魔法は完全に封じ込めたわ。みんな安心していいわよ)

 「みんな聞いた?キア、ありがとう」私は大きな声を張り上げる。

 「ねぇ、今、キアの声がしたよね?」イリが驚いている。

 「皆さん、あれがキアの声ですよ。もう危機は去ったみたいです」

 「ったく、おったまげたぜ!でも、良かった」ナジさん。

 ラドさんも、キトさんも、アナンさんも。ラキスさんも、シグスさんも、もちろんイリも。

 その足元には気を失ったマクリートと拘束されうなだれる王妃がいた。



 「フレイシア、もう二度と離さないからな!すぐに結婚しよう」

 エバン様が私を抱き上げくるくる回った。

 完全勝利です!が。

 「エバン様?もしかして幻覚剤でも盛られた?」

 「まさか、本気だ」

 「えっ?でも‥」

 私は目をぱちくりさせてエバン様を見る。

 まさか‥?



 「旦那はアドレナリンがぶっちぎりなんだろうよ。さっき魔力を使って興奮してるんだ。心配ない。すぐに気持ちが静まって来る。フレイシア安心しろ」

 ナジさんが笑いながらそう教えてくれる。

 「ああ、そういう事なんですね。エバン様ったら‥でも、うれしいです」

 エバン様が蕩けるような笑顔を向けた瞬間。

 唇を押し付けられた。

 「むぐむぐむぐ‥‥!!ちょ!」

 「おいおい、熱いぞ‥ったく」

 ナジさんがエバン様を私から引っ剥がす。

 「ちゅちゅちゅ‥フレイシア~~~~!!」

 「おい、こりゃだめだ~。フレイシア、約束だからな。俺らは投降する。でも、温情は頼んだぜ」

 「ナジさん、もちろんです。王妃たちの悪事を暴く協力をしてもらえば罪には問いません。キアラルダ帝国王女の私が保証しますから安心して下さい」




 そこに駆けつけたのは帝国騎士隊長ガビアン達。聖教会に上がった火柱に王城は大騒ぎになったらしい。

 この様子だと帝都の人たちも大騒ぎね。

 すぐにラキスさんが事情を話す。

 そしてマクリート、王妃は連行された。

 ナジさん達には、もちろん事情を聞くと連行されそうになったけど、みんなが事情を話して自宅待機でいいと言うことになり、後日、王妃の罪を暴く証文の提出と参考人として呼び出されると通告された。



 その後竜水晶を見に行ったら、濁りは全くなくなっていて美しい金銀の水晶に戻っていた。

 (ほんとに良かった。竜神様、キアーナ様、ありがとうございます。キア、あなたのおかげほんとにありがとう)

 (そんなの、フレイシアたちが頑張ったからよ。私あなたの事ますますすきになちゃった。これからもよろしくね)

 (ええ、こちらこそよろしくねキア)

 キアは楽しそうな笑い声をあげて金色の光をみんなの上に降り注いでくれた。

 まさに光のシャワーだ。

 みんなくたくたに疲れていたけどその光を浴びると疲れが吹き飛んだみたい。

 さすが月の精霊キアだ。

 (フレイシア杖を!帝都で怪我をした人を治癒するわよ)

 (そんな事出来るの?)

 (もちろんよ。私も協力するから、さあ!)

 私は杖を振り上げる。心から想いを込めて。被害に遭った人たちすべてを。

 杖の水晶が虹色に光り、その光が竜水晶に引きよられる。

 竜水晶の周りに金色と銀色の光が渦巻きそれが空中に立ち上る。光は空で四方に広がって行き五月雨のように光の粒子がカラルーシに降り注いだ。

 私達の目の前には帝都の様子が映し出される。

 (キア。これって?)

 (ええ、帝都の人たちよ。ほら、怪我をした人の傷が治って行くわ。火事だって消えた。どうフレイシア?あなたたちが頑張ったご褒美!竜神様からの祝福よ)

 火災は見る間に収まり傷ついた人々の怪我が治って行く。

 叫び声が、怒号が、泣き声が、しばらくすると大きなどよめきに変わり、すすり泣きに変わった。人々が天に祈りを捧げる声が一つになって神への祈りが天に昇って行く。

 私達は聖教会に居ながらその姿が見えた。

 「もう、すごい。竜神様、キアーナ様ありがとうございます。こんな祝福を頂けるなんて‥キアーナ様ありがとうございます~」

 私は空に向かって叫んだ。



 【フレイシア,そしてみんなもよく頑張ったわ。こんな事しなくてもあなた達なら大丈夫でしょうけど。私達もすごくうれしいからほんのちょっぴりお礼よ。これからも大変な事があると思うけどあなた達なら大丈夫ね。じゃ、元気で】

 「はい、頑張ります。本当にありがとうございま~す!」

 「「「「ありがとうございます!!!」」」」

 みんなも大声でお礼を言った。

 空には大きな虹がかかる。帝都の混乱はすでに終息に向かっている。



 「フレイシアのおかげだな。身体大丈夫か?かなり無理をしただろう?」

 すっとエバン様が隣に走り寄って来て私を支えてくれる。

 私は首を横に振る。

 「エバン様こそ、でも、ほんとに良かったです。あなたがいてくれたからわたし頑張れました」

 「そうか。俺もフレイシアがいたから頑張れた。君のためならどんな困難でも越えられるから」

 「エバン様、大好き‥」

 「ぐぅ”‥」

 「えばん、さま?まさかどこか怪我を‥?!」

 「いや、その‥ちが、うれしすぎて」

 「もう、告白したのに!」

 「ば!フレイシア!好きだ。俺はお前が世界で一番好きだ。愛してるんだ~」

 「‥‥はいはい」

 「フレイシア?怒ったのか?まじ?機嫌なおしてくれるよな?なっ?」

 「ふふふ‥」

 もう、冗談です。エバン様ったら。でも、そういうところ好きです。心の中でだけ呟いた。




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