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第2章 導かれし王編
第九十三話 借金怖い
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俺は王になって貰える可能性があり、そして有能な人物がいるはずの、古びた家に来ていた。依頼を受けてくれる可能性はだいぶ低いんだけどね……。
「すいませーん、ハヅキさんいますよねー?」
いつも通り返事がない。まったくこの人は……。
「あのー、借金取りじゃないんで出てきてもらっていいですかねー?」
「……」
「依頼をしに来たんですけどー」
「何者だ?」
「あっ、ハヅキさんお久しぶりです、以前もお会いしましたよね?」
「覚えてないな」
ひどいなぁ。この人に王を任せていいのか不安になってくる。
「異世界に行けると魔王様から聞いて来た者ですよ」
「あの時の野郎か……」
「今回は王になっていただきに来ました」
「王を殺せばいいのか?」
「そんなこと言ってないでしょ!? 王になってほしいと言ったんですよ」
「なぜ私が?」
「やっぱちゃんと仕事をしたら有能ですし」
「お前の依頼を受けたことはないんだがな」
「魔王様から聞きました」
数秒の沈黙、そして、ハヅキさんは逃げた。
「あっ、ちょっと!」
すぐさま追いかけると、ハヅキさんは急に止まった。俺は咄嗟に止まることが出来ず、ハヅキさんにぶつかってしまった。俺は吹っ飛ばされたが、ハヅキさんは1ミリも動いた気配が無かった。
「いってぇな……何故そこまで私に執着する?」
「す、すみません……でも、俺はハヅキさんにこそ王という称号が相応しいと思っています」
「私のことを高く買ってくれてるのには感謝するが、お前は私のことをあまり知らないはずだろう? それなのに今借金をしてるようなやつに王になれなんて、頭おかしいとしか思えねぇ」
それは俺がゲームで見てるからだよ、とか言いたいけど、そういう訳にもいかないよな。さすがにまだ気付いてる人はほとんどいない……と思うし。いや、動画を見てる人からしたらわかってるのかな? だとしても、いきなり、お前はゲームの中の人間なんだ、とか言っても困惑させるだけだしな……。
「どうした? 反論出来ないか?」
「たしかに魔王様から聞いた情報だけで判断するのはおかしいですよね。俺の依頼を受けてもらえませんか?」
「即興で考えられた依頼なんてしたくないんだが?」
「大丈夫です、即興で考えたわけではないです。これは俺がずっとやりたくて、でも出来なかったことなんですけど、ハヅキさんになら出来ると信じています」
「早く内容を話せよ。異世界に行けというのはなしだぞ」
「勿論です。ハヅキさんには、裏社会でのさばっている三大勢力と言われているディザスター、タイラント、神薙(かみなぎ)を壊滅し、その団員を回収してほしいのです」
「そんなこと私に出来るはずがないだろ?」
「いえいえ、出来ますよね? もちろん、団員全員回収してほしいわけではなく、ある程度で構いません」
「……いいだろう。だが、莫大な時間がかかる。報酬は高くつくぞ?」
「十億円でどうですか?」
「三十億だ」
「……わかりました」
「前金千万円くれ」
マジかよ、前金が一番キツいぞおい……今はまだ準備中だからお金ないんだよな……まあ魔王様に借金すればいいか。
「わかった、明日持ってくる。それでいいか?」
「交渉成立だ。だが、王になると言ったわけじゃねぇからな」
俺は、ハヅキさんと別れてから、すぐさま魔王様の元へ向かった。勿論理由はお金を借りるためだ。
「すみません魔王様、お金を貸して頂けませんか?」
「えっ、いやいきなり訪ねてきてどうしたのかと思ったらお金を貸して欲しいって? うーん、びっくりしちゃうなー」
「いや、ちっちゃいロボットで監視してたからわかってたでしょ?」
「いやいや、千万円持ってるのかなとか思ったわけよ」
「持ってませんよそんな大金……」
「じゃあ三十億なんてどうするつもりなの?」
「……なんとかします」
「そんなんじゃあお金は貸せないなー。まあ千万円程度ならいいけど、三十億貸してくれなんて言われたらちょっとねー」
うっ、たしかに千万円をすぐに借りるっていうのは虫が良すぎるよな……でも、俺だってちゃんと少しは考えてるんだよ?
「三十億稼ぐ方法は考えてあります。まず、自分の国にテーマパークを作り、観光客を呼び込み、そこで特産品などを売り利益を得るつもりです」
「うん、まあそれは心を読んでわかってたけど、テーマパークはともかく、特産品の明確なイメージはないでしょ?」
「魔族領と人間領の二つに挟まれている土地を生かしてなんとかします」
「……まあいいか。とりあえず投資ってことで千万円渡しとくよ。でも、三十億は自分達でなんとかしてね? 勿論、利子はがんがんかけるよ?」
「……えっと、それはどれくらい?」
「トイチ」
酷い! あんまりだ! 十日で一割なんて返せる日には二千万円にはなってるぞ……。
「でも三十億稼ぐんでしょ? ならはした金じゃん」
「そうですけど……わかりましたよ。どうにかしてやりますから」
「その意気だよ、頑張って!」
その笑顔が反則なんだよな……可愛すぎる……馬車馬のように働いていてもその笑顔さえ見れたらやっていける気がする。まあ、別にそこまでしなくてもなんとかなるとは思ってるけど。
「すいませーん、ハヅキさんいますよねー?」
いつも通り返事がない。まったくこの人は……。
「あのー、借金取りじゃないんで出てきてもらっていいですかねー?」
「……」
「依頼をしに来たんですけどー」
「何者だ?」
「あっ、ハヅキさんお久しぶりです、以前もお会いしましたよね?」
「覚えてないな」
ひどいなぁ。この人に王を任せていいのか不安になってくる。
「異世界に行けると魔王様から聞いて来た者ですよ」
「あの時の野郎か……」
「今回は王になっていただきに来ました」
「王を殺せばいいのか?」
「そんなこと言ってないでしょ!? 王になってほしいと言ったんですよ」
「なぜ私が?」
「やっぱちゃんと仕事をしたら有能ですし」
「お前の依頼を受けたことはないんだがな」
「魔王様から聞きました」
数秒の沈黙、そして、ハヅキさんは逃げた。
「あっ、ちょっと!」
すぐさま追いかけると、ハヅキさんは急に止まった。俺は咄嗟に止まることが出来ず、ハヅキさんにぶつかってしまった。俺は吹っ飛ばされたが、ハヅキさんは1ミリも動いた気配が無かった。
「いってぇな……何故そこまで私に執着する?」
「す、すみません……でも、俺はハヅキさんにこそ王という称号が相応しいと思っています」
「私のことを高く買ってくれてるのには感謝するが、お前は私のことをあまり知らないはずだろう? それなのに今借金をしてるようなやつに王になれなんて、頭おかしいとしか思えねぇ」
それは俺がゲームで見てるからだよ、とか言いたいけど、そういう訳にもいかないよな。さすがにまだ気付いてる人はほとんどいない……と思うし。いや、動画を見てる人からしたらわかってるのかな? だとしても、いきなり、お前はゲームの中の人間なんだ、とか言っても困惑させるだけだしな……。
「どうした? 反論出来ないか?」
「たしかに魔王様から聞いた情報だけで判断するのはおかしいですよね。俺の依頼を受けてもらえませんか?」
「即興で考えられた依頼なんてしたくないんだが?」
「大丈夫です、即興で考えたわけではないです。これは俺がずっとやりたくて、でも出来なかったことなんですけど、ハヅキさんになら出来ると信じています」
「早く内容を話せよ。異世界に行けというのはなしだぞ」
「勿論です。ハヅキさんには、裏社会でのさばっている三大勢力と言われているディザスター、タイラント、神薙(かみなぎ)を壊滅し、その団員を回収してほしいのです」
「そんなこと私に出来るはずがないだろ?」
「いえいえ、出来ますよね? もちろん、団員全員回収してほしいわけではなく、ある程度で構いません」
「……いいだろう。だが、莫大な時間がかかる。報酬は高くつくぞ?」
「十億円でどうですか?」
「三十億だ」
「……わかりました」
「前金千万円くれ」
マジかよ、前金が一番キツいぞおい……今はまだ準備中だからお金ないんだよな……まあ魔王様に借金すればいいか。
「わかった、明日持ってくる。それでいいか?」
「交渉成立だ。だが、王になると言ったわけじゃねぇからな」
俺は、ハヅキさんと別れてから、すぐさま魔王様の元へ向かった。勿論理由はお金を借りるためだ。
「すみません魔王様、お金を貸して頂けませんか?」
「えっ、いやいきなり訪ねてきてどうしたのかと思ったらお金を貸して欲しいって? うーん、びっくりしちゃうなー」
「いや、ちっちゃいロボットで監視してたからわかってたでしょ?」
「いやいや、千万円持ってるのかなとか思ったわけよ」
「持ってませんよそんな大金……」
「じゃあ三十億なんてどうするつもりなの?」
「……なんとかします」
「そんなんじゃあお金は貸せないなー。まあ千万円程度ならいいけど、三十億貸してくれなんて言われたらちょっとねー」
うっ、たしかに千万円をすぐに借りるっていうのは虫が良すぎるよな……でも、俺だってちゃんと少しは考えてるんだよ?
「三十億稼ぐ方法は考えてあります。まず、自分の国にテーマパークを作り、観光客を呼び込み、そこで特産品などを売り利益を得るつもりです」
「うん、まあそれは心を読んでわかってたけど、テーマパークはともかく、特産品の明確なイメージはないでしょ?」
「魔族領と人間領の二つに挟まれている土地を生かしてなんとかします」
「……まあいいか。とりあえず投資ってことで千万円渡しとくよ。でも、三十億は自分達でなんとかしてね? 勿論、利子はがんがんかけるよ?」
「……えっと、それはどれくらい?」
「トイチ」
酷い! あんまりだ! 十日で一割なんて返せる日には二千万円にはなってるぞ……。
「でも三十億稼ぐんでしょ? ならはした金じゃん」
「そうですけど……わかりましたよ。どうにかしてやりますから」
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