転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子

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10.二度目の青春。それは二次元の青春。

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「一凛……鈴……勉強が……わからない…………」


 私は学校について三限目で絶望しつつ、半泣きになりながら二人に涙目で言った。


「彩衣が勉強できないなんていつものことでしょ。今更何言ってんの」
「鈴ちゃん!」
「やっぱり!?やっぱり私、前から勉強できなかった!?」
「は?何言ってんの?昨日から大丈夫?」


 そうなのだ……学校に来て勉学の方はどうかと授業を受けたら、所々はわかるのだが、ほとんどわからないのだ。
 これはなんというか……多分!彩衣ちゃんがバカなせいだ!という感じでわからないと私も思っていたのだ。


「はぁー……つらい……授業がつらい……学校つらい……」


 私は一凛ちゃんの机に突っ伏す。


「あ、じゃあ神薙くんに勉強教えてもらったら?神薙くん頭いいよ?」



「はぁ!!!???」



 私は一凛ちゃんの言葉に大声で叫んでいた。
 一凛ちゃんもびっくりした顔をしている。


「あ、いや……なんで……神薙くん?」
「いや……頭……いいから……私もたまに勉強教えてもらってるし……」


 あー……そんなイベントスチルあったわー……うん。


 って!そんな所にお邪魔虫出来るわけないでしょ!!!!


「何言ってんの!!そんなとこに!!!そんなと……こ……に……」


 ぐぬぬ……言えない……言えない……苦しい……。

 そこで鈴ちゃんが視界に入った。


「鈴、確か頭良かったよね!?」
「パス。彩衣は頭悪すぎて教えるのもう嫌」
「ひどーーーい!!!私、昨日生まれ変わったんだからね!きっと勉強だって出来るはず!!!」
「生まれ変わった~?どうせ蛙の子は一生蛙よ」
「ひどいーー!!!」


 と、私たちがやっていると予鈴が鳴る。


「はぁー……あと一限がんばるか……」
「お昼までがんばれ」
「がんばって」


 二人が声をかけてくれる。

 私はこの、仕事も地獄だったが、地獄のような時間をなんとかするために、バイトもしてないようなので勉強を頑張ろうと思った。
 仕事に比べれば、家で勉強するくらいなんてことない。
 大学生の兄もいるのだ!



「終わったー!!!!お昼だーーー!!!一凛!鈴!お弁当食べよう!」
「彩衣……」
「え?」


 鈴に肘で小突かれ私はきょとんとする。


「あ……ごめんね、今日も神薙くんたちと食べるから……ほんとごめんね!また今度!」


 そう言うと、一凛ちゃんはお弁当を持って走って行ってしまった。


「あ!」
「バカ。」


 鈴に言われる。


 そうだったーーー!!!

 もう今の時期は一凛ちゃんが自分の中にある宝玉や穢れや魔物のことを知って、攻略対象の神薙くんと今日の朝会った先輩や、まだ会ってない生意気キャラの後輩と屋上で毎日お昼たべながら作戦会議してるんだっけ!
 忘れてたーーーー!!!!!


「なんか神薙くんと美空先輩と一年生の子とご飯食べてるらしいけど……何してるのかね。詮索はしないけど……」

「そうだねー」


 私と鈴は机を合わせてお弁当を食べる。

 美女母のお弁当おいしー!
 THEお弁当!って感じのかわいい女子高生のお弁当だー!


「ちょっとは何か相談してくれてもいいのにな……お昼も少しは一緒に食べたいし……」


「…………」


 その小さな言葉に、私はびっくりする。


「鈴からそんな言葉が出るなんて意外……」
「まぁ……あたしもたまにはね……」


 私はふふっと微笑む。


「何笑ってんのよ!」


 鈴は恥ずかしくなったのか顔を背けた。


「いやいや、高校生らしいなって」
「は?あんただって高校生でしょうよ」
「まぁ、なんか事情あるんだよ。そのうち話してくれるよ!そんなことよりさ!今日の放課後、暇!?」
「え……まぁ……暇だけど……」
「じゃあこの町……神内町じんないちょうだよね?案内してよ!」
「は?案内?何言ってんの?あんた生まれも育ちもここでしょ?」
「まぁまぁそうなんだけどね、ほら、私、昨日生まれ変わったっていったじゃない?改めて、この町を新鮮な目で見たいな……って。ついでに服も買いたーい!ショッピングしよー!!!」
「あんた……なんなのほんと……」
「鈴もこんな綺麗でスタイルいいんだからもっと楽しまなきゃ!おしゃれも!彼氏も作って!若くて綺麗な時は一瞬だよ!まぁ、綺麗でスタイルいいのは続くだろうけど!」
「はぁ?もうわけわかんない……シリアスに考えてる私がバカらしくなってきた」
「そうそう!一凛は、あの男性陣に任せて、私たちは青春たのしもー!」


 おー!と、私が拳を上げると、鈴は、はー……と重いため息をつきながらも、


「……あんたのそのバカさ加減にはたまに救われるわ……」


 と、ほほえんでいた。


「バカさ加減とは酷いなぁ。」


 私がむくれて言うと、鈴はおかしそうに声を上げて笑いだした。
 私も笑う。



 あー、青春してんなー。


 こんな青春してこなかったから、楽しいやー。
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