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20.命は繋がったが、クソ麻日うぜぇ!

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「彩衣ー、お昼食べよー。」

 鈴が声をかけてきた。
 私と一凛は神妙な面持ちで鈴に向き合う。

「鈴・・・ごめん・・・今日・・・だけ・・・だと・・・思うんだけど・・・私、一凛について行って、屋上行かないといけないんだ・・・そのままお昼食べるかはわからないんだけど・・・・ごめん!今日は一人で食べて・・・くれる・・・?」

 その言葉に鈴は・・・・

「・・・・理由は?」

 真顔でいう。

「・・・い・・言えない・・・んだ・・・・。」

 鈴は大きくため息をついた。

「今日だけだといいけど。いってらっしゃい。」

 そういうと鈴は手を振って背を向けた。

「鈴ー!!!ごめんねーーー!!!仲間はずれじゃないよ!!!仲間はずれじゃないよ!!!絶対また一緒に食べようねーーー!!!!」

 私は鈴の背中に抱きつく。

「ちょっと!大声で恥ずかしい!!わかったから!早く行きなさいよ!」
「行きたくないんだよーーー!!!私殺されるのーーー!!!」
「は!?なんで!?」
「あ、彩衣ちゃん!」

 一凛が止めに入る。

「ごめん・・・行ってくる・・・・。」
「・・・・なんかわかんないけど・・・がんばれ・・・。」

 鈴は私の頭にぽんと手を乗せ言ってくれた。

 がんばる!

 修羅場がんばる!!!

 私と一凛は屋上に向かった。



 おーおー、この階段背景で見たー。あ、この扉も・・・・。

 この先に・・・この先にあの光景が・・・・・。

「じゃあ・・・彩衣ちゃん・・・行くよ・・・・。」

 一凛がいう。

「うん・・・・。」

 私もぐっと腹に力を入れた。


 ぎぃっと屋上の扉の音が鳴り、一凛が扉を開いた。


 そこには・・・・・・


「遅かったねー、一凛ちゃん・・・っておや君はこの間の・・・。」
「おせーぞ!・・・って、誰だてめぇ。」
「え・・・速水・・・さん?」


 おおー・・・スチル通りの光景・・・・・。

 屋上に、机を間隔をあけて置き、各々座ってる。
 一凛の席は神薙くんの近く。

 麻日くん相変わらず大量の惣菜パン食ってんなー、体に悪いぞ。

 と、思っていると、一凛が私の手を握った。
 しかたないなーと、私はぎゅっと握り返してあげる。

「あの・・・あのね!みんなに話があるの!」

 一凛は三人に向かって話し始めた。

「昨日の放課後、私・・・この子、昔、幼稚園が一緒で、高校で再会したんだけど、親友の速水彩衣ちゃんっていうんだけど、」

 おっと、私、親友なのか。
 と思いながら続きを聞く。

「彩衣ちゃんに・・・・穢れのことも、魔物のことも、退魔師のことも宝玉のことも、全部全部話しちゃったの!ごめんなさい!」

 一凛は頭を下げた。

「ああ!!??何考えてんだてめぇ!!そいつ一般人だろ!!!」

 すると案の定、麻日くんが椅子から立ち上がり怒声を放っている。

「ごめんなさい!!!・・・・だけど・・・だけどもう私たえられなくって!!!!つらくて!!彩衣ちゃんに相談しないとこれから戦えなくて!」
「別にお前は俺たちに触れてりゃいいだけだろ!何そんな悩んで一般人に話す必要あんだよ!」
「麻日・・・・。」

 うわー案の定、麻日くんの怒鳴り声うるさ・・・だからこのキャラあんまり好きじゃなかったのよね・・・。
 まぁ、生い立ちはかわいそうだけどさ・・・生い立ち故のこの気性なのかもだけどさ・・・。

 私は一凛の手を、更にぎゅっと握った。

「そ・・・そうなんだけど!私も・・・毎日・・・戦いには出て・・・周り気にしたり・・・みんなの邪魔にならないようにとか・・・ちゃんと力引き出せてるかなとか・・・たまにどんくせぇとか麻日くんに言われるし・・・・。」

 一凛は泣きそうだった。
 なんか原因は麻日くんにありそうだなーこれ。

「ボクたちには・・・相談できなかったんだね・・・・。」

 美空先輩が悲しげな微笑みで言う。

「君たちはとても信頼し合っているんだね。いいね・・・ボクもそんな女性がほしいよ・・・・。」

 美空先輩がポツリと最後、悲しげな表情でつぶやいた。
 あー、美空ルートが消えたぞこれ。
 どうなんだこれ。
 誰ルートだ。

 そう思っていると。


「ま、とりあえず九五さんに相談しようか。」


 と、美空先輩が言った。

 え。と、私は思う。

「はぁ!?こんなん退魔師幹部会議もんだろ!」

 麻日くんの言葉に私と一凛の顔がひきつる。

 何、退魔師幹部会議って。
 退魔師そんなにいるの?幹部?会議?やめて!やめて!!

「まぁ、まずは九五さんに話して見ようよ。ね、神薙くん。」
「・・・はい・・・・山田さん・・・なんか・・・追い詰めちゃって・・・ごめんね・・・。」

 神薙くんが申し訳なさそうに謝る。
 ああーーーー!神薙くんルートも消えちゃうーーーー!!!

「あ、ううん!私が勝手に!」
「そーだよ!こいつが勝手に悩んで一般人にベラベラ話したんだよ!そもそもお前等のせいで町がこんなになってんのによ!」

 どかっと椅子に座り、麻日く・・・いや・・・クソ麻日が大声で言った・・・・。
 一凛と神薙くんは、うっと表情を堅くする。

「麻日!」

 美空先輩も注意する。
 こっのクソ麻日!!!

 私は国木田麻日をつい睨んでしまった。

「あ?んだよ。」
「・・・・なんでもありません」

 わざとトゲのある言い方で言ってやった。

「ああ?てめぇ喧嘩売ってんのか?」
「売ってません。」

 更にトゲのある言い方で明後日を向いて言った。

「てめぇな!!自分の立場わかってんのか!幹部会議にかけたら処分されるかもしれねぇんだぞ!?」

 怒鳴るクソ麻日の声がうるさい。
 ので、

「じゃあ、九五さんって神薙くんのお父さんでしたよね?相談しといてください。私たちは教室で友達が待ってますのでお昼食べに帰ります。それでは。」

 と、一凛の手を引き、私は皆に背を向け屋上から出ていこうとした。

「あ!!おいてめぇ!!!待てよ!!」

 あークソ麻日ほんとうるさい。
 待てと言われて待つやつがいるか。お前がうるさいからさっさと退散しようとしてるのに。
 一凛が思い悩んだのあいつがほぼ原因なんじゃないの?

 多分絶対そうだ。
 小言・・・ってかツンデレのツンが多かったんだ。

 ツンデレとオレサマは実際には絶対、一緒にいたくないからねー。めんどくさい。

「あ、彩衣ちゃん!」

 イライラしながら一凛の手を引いて階段を下りた所で、一凛が声をかけてきた。
 私はハッとする。

「ああ、一凛!ごめん!なんかあの一年生?がうるさいから話まとめちゃった!」

 私は、はははという。


「あり・・・ありがとう・・・・」


 一凛は泣いていた・・・・。


 私が男だったら一凛、落とせてな・・・うん。


 そう思った昼休みだった。




 あ、明日の昼までかと思った命つながったじゃん!やったね!



 続。
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