華麗なる人脈でハーレムを~アラブの王族はハンパなかった~

のらしろ

文字の大きさ
74 / 113

第74話 吉井会長の秘書

しおりを挟む

 俺がヘリポートにつくと、すでに吉井会長を乗せたヘリは着陸寸前だった。
 ギリギリ感が半端なかったが、俺が呼び出した重要人物の出迎えに間に合った。

 少なくともこれ以降の交渉で会長に対しての気持ちで後れを取ることが無いだろう。
 ……本当か……
 まあ、こちらからお願いがあるので、下手には出るが、彼も早々無理は言ってこないだろう。
 今のところ吉井会長たちとの関係は良好だともいえる。
 なにせ愛人を世話されたり、セフレを沢山紹介されたりしていたのだし、こちらとしても彼との交渉では幾分かの譲歩も覚悟してはいる。

 ただ、今後のことを考えると、今彼との交渉は少々まずいかもしれない。
 なにせこの後大型の案件が控えている。
 こちらのお願いをした後に、この交渉をしないといけないかおりさんには大変申し訳ないが、俺としても彼女たちのことがあるので、今を外す訳にはいかなかったのだ。

 ヘリが無事に船屋上にあるヘリポートに着陸し、ヘリから吉井会長が下りてきた。
 ヘリからは吉井会長だけでなく彼の後から数人降りてきた。
 大型案件の相談もあるし、会長の会社から担当者も連れてきたのだろう。
 最後に女性が下りてきたのだが、俺は彼女を見た時に背筋に寒いものを感じた。
 絶対に関わってはいけない部類の人だと一目で見て取れたのだが、関わらないわけにはいかなそうだ。

 なにせ俺を見つけると、ものすごい眼力で睨んできた。
 少々、いや、かなり怖い。
 誰だ、あの人は……
 おっと、いかん挨拶をしないといけないよな。
 なにせこちらが招待した人たちだ。
 それに何より会長の方が人生経験の豊富な年長者だ。
 長幼の序とかいうやつだな。
 こればかりは孤児院でしっかり仕込まれていたので、今では遺伝子レベルまで昇華され自然にふるまえる。

「お久しぶりです、吉井会長」

「本郷様、お久しぶりです。
 直接お会いするのは事務所開き以来ですか。
 ご無沙汰しておりました」

「はい、お久しぶりです、本郷様。
 前にお会いしたのは、多分そうなりますね」

「まずは、お礼を述べさせてくださいませんか。
 こちらからの要請をお聞き下さり、あまつさえ、ここまでご足労頂き感謝の念に堪えません。
 本日は、お越し頂きありがとうございます。
 出来得るばかりのおもてなしをさせて頂きます」

「本郷様。
 そこまでかしこまらずに、事務所開きの時と同じように自然にお願いします。
 今回は、こちらとしても渡りに船でしたので、そればかりか、大事なお話し合いの席にご招待までさせて頂き感謝しております」

「会長」

 俺と会長との話が長くなりそうなのを察した先の女傑、いや綺麗な女性が会長に声をかけた。
 『こんなところでグタグタせずに、さっさと次に案内させろ』と言下に言っているようだ。

「お~お~、そうだな。
 紹介しよう。
 彼女は私の秘書を長くしてくれている黒岩だ。
 今後も一緒にビジネスをするようなら何かと接触もあるだろう。
 よろしく頼む」

「黒岩様ですか。
 自己紹介が遅れましたが、私はスレイマン王国とボルネオ王国の両国で貴族のようなものをしております本郷直人と言います。
 まだ大学に入ったばかりで、実務はそこにいる女性たちに任せきりです。
 彼女たちの紹介は、夕食の時にでもさせて頂きますので、皆さんをご案内いたします」

「それもそうだな。
 こっちも実務と担当する役員連中は後で紹介させよう」

「では、皆さま。
 こちらにどうぞ」 とかおりさんが皆を案内して船内に連れて行く。

 まずは各部屋に案内するようだ。
 俺は一旦ここで別れて、自室に向かった。
 自室に戻り、一息を入れた。

「いったい誰なんだ、あの人は」

 俺の独り言に、近くにいたラナが相手をしてくれた。

「バニーガールずの吉井会長の隣にいた秘書の方ですか。
 確か黒岩様と言いましたね」

「そうだよ。
 彼女、唯者じゃないよね」

「はい、日本にいた時に調べさせて貰いました折に触れ何度もお名前は上がっておりましたから、業界でしたっけ、芸能界ではかなり有名な方だと理解しております」

「え?
 知っていたの」

「それほどではありませんが、一応直人様の周辺の方の身元くらいは調べております。
 その……今日子様の件もございましたし、かおりさんは直接お会いしてお話をしているはずです。
 私もかおりさんから聞きましたから」

「そうなんだ。
 かおりさんは何と言っていたの?」

 ラナからかおりさんから聞いたという黒岩さんの話を聞いた。
 彼女が聞いた話だと、今のバニーガールずがあるのは彼女の尽力あってこのことだと。 
 相当なやり手で通っており、業界では彼女に面と向かって逆らえる人はいないとまで言われている。
 なんと吉井会長も含めてだそうだ。

 そうなるとバニーガールずの実質的TOPじゃないかと思われるのだが、凄腕の彼女は決して吉井会長をおろそかにしていない。
 お釈迦様が上手に悟空をあしらったように、会長を彼女の手のひらで泳がせているようなものだと、かおりさんは言っていた。

 仕事一筋で、男っ気を感じない。
 相当の美人なのだがもったいないような気がした。
 とにかく美人だ。
 凛として、かっこが良いともいえる。
 それに何よりスタイルがそこらのモデルもはだしで逃げ出すくらい良い。
 年齢は明らかに榊さん達よりは10歳くらい上だろうが、年齢を感じさせない所謂美魔女とかいうやつ。
 そんな感じだ。
 尤も、彼女くらいになると、男の方が委縮して傍にすら寄れない。
 彼女の方も、そこらの男なら小物に見えて魅力すら感じなかったのだろう。

 最後にかおりさんは非常に気になることをこぼしていたとも聞いた。
『あれほどのやり手は早々居ない。
 後10年もすれば花園さんや榊さんもあの域に達したかもしれないが、直人様が彼女たちを仕事地獄から救ったので、ああはならないだろう』と言っていた。

 え?

 確かに榊さんや花園さんは非常に美人だったけど男っ気なかったな。
 なにせ俺が頂いた時には処女だったし。
 そうなると、俺は彼女たちを救った?
 ありえないでしょう。

 まあ、とにかく、彼女は最重要人物だということを俺は理解した。
 あまりゆっくりもできずに夕食の時間となった。
 今日は新たなお客様を迎えての夕食だが、梓たちとはあまりに毛色の違う人たちも参加しての夕食会なので、立食でのおもてなしだ。

 これなら梓たち学生には負担がかからない。
 近寄らなければ済むだけだから、梓たちだって好き好んで生き馬の目を抜くビジネス街の戦士たちには近寄らないだろう。
 夕食での顔お合わせも問題なく終わり、あとはラウンジでの歓談の時間だ。
 本来ならば、殿下や王子、それにボルネオの有力者と事業主体である我々に、新たな芸能関係者も交えて親睦を図る場となる筈であった。
 確かにそういう面もあるにはあるのだが、吉井会長と黒岩女史だけは俺に付き合って、歓談の場から離れた。

 俺はかおりさんを伴って、吉井会長たちを、船の奥にある秘密のホールに案内した。
 ここは先日儀式を行った場所だ。
 俺のたっての願いで呼び出した目的を説明するためだ。

「吉井会長、それに黒岩様。
 本来ならラウンジでごゆっくり過ごしてもらう時間ですが、このようなめんどくさいことにお付き合いくださり、感謝しております」

 すると、少しばかり表情が緩んだ黒岩さんが俺に答えてくれた。

「連れてきた連中もそうですが、私なんかと一緒にいてもつまらないでしょうから、お気になさらないでください。
 それより、本郷様が、吉井を頼ってくださったことが私にはうれしく思います」

「そうですよ、本郷さん。
 最初の出会った時にも申しました通り、困ったらいつだって私を頼ってください。
 私にできることならなんでも致します。
 なにせ、本郷様は、私の恩人であるボルネオ王室の恩人ですから、私にとっても恩人です。
 それより、今回の件は相当難しそうですね」

「いえ、秘密という面では会長の処の芸能人ほどじゃありません。
 だた、私には女性のケアという面では全くの無知であります。
 こういった女性のケアについて、たくさんの女性を扱ってのお仕事をしている吉井会長ならばと、連絡させて頂きました。
 つきました。
 中にお入りください」

 ホールの中では、ガウンを羽織った水着姿の女性が10人ばかりいる。
 俺が部屋に入ると、かおりさんは、彼女たちが羽織っているガウンを取らせ、彼女たちの実情を露わにした。

「ひい~~」

 思わず黒岩女史が声を上げた。
 確かに改めてみても酷い有様だ。
 洋服を着ている部分には目立たないが、このように肌をさらすと問題が顕著になる。
 流石に吉井会長は声を上げないが、それでも驚いていた。

「彼女たちですね。
 私も、芸能人をスカウトする際に、DV被害にあった女性を見たこともありますが、これほど美人が、それもこれほどの人数集まって被害を受けた場面には出会ったことがありません。
 聞くところによると、このほかにもいるとか。
 でも、ご安心ください。
 これくらいならすぐにでも医者を手配します。
 任せてください」

「待ってください。
 お願いしたいのは確かに彼女たちの治療ですが、十分なケアをしてやりたいと考えております。
 ですので、医者は確かにお願いしたいのですが、そのほかにスキンケアの専門家、エステ関係の人などもお願いできないでしょうか。
 きれいな肌を取り戻させてから、彼女たちに十分に働いてもらおうと考えております」

「分かりました。
 そちらも我々にとって専門分野です。
 本郷様にご満足いただけるようなことをお約束いたします」

 会長から直ぐに対応してくださるという約束を頂いた。

「かおり様。
 ここから日本へ連絡を取りたいのですが」

「この船にある電話からでも国際電話を掛けられますが、この船から携帯も使えますよ。
 契約の形態にもよりますが、あなたの携帯からでも繋がります」

 黒岩女史は早速仕事にかかりたかったようで、かおりさんに日本への電話のかけ方を聞いていた。
 俺も聞いたが、この船からでも携帯が使えるので、忙しいビジネスマンには朗報だろう。
 ……朗報か?
 遊びに来ていても仕事ができる環境って、果たして朗報なのか疑問に思わないでもないが、とりあえず、会長たちは遊びにこの船に来た訳じゃないので、朗報なのだろう。

 黒岩女史は、早速あちこちに電話をかけている。
 吉井会長は、傷ついた彼女たち一人一人に話しかけ、必死にコミュニケーションをとっている。

 俺が事前に肌の治療を先に進めることを説明しているので、彼女たちも会長の質問にきちんと答えていた。
 これなら、治療も安心だ。
 俺はこの様子に、一仕事を終えた達成感を感じていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...