35 / 121
第二章 軍団の誕生
第35話 この世界の海図?
しおりを挟むみんなが美味しそうに食べているというよりも、一心不乱に生姜焼きを食べているので、食べながらのミーティングはできそうにない。
みんなが落ち着くのを待ってから、この後についての相談を始めた。
食事を終えたころに、ミーシャとドーラがみんなに紅茶をふるまっている。
「悪いが、お茶を飲みながらで良いから聞いて欲しい」
「お話し合いですか」
フランが俺に聞いてきた。
「ああ、あまり行儀のよいことでは無いだろうが、この船ではこんな感じでの話し合いを多用していく。
みんなが一堂に集まるのもだんだんと難しくなってきているからな」
「食事をとりながらのお話し合いは貴族の社交の場では当たり前ですので、気にしないでください、守様」
「ありがとう、フラン。
では、話を続けるが……」
俺は、この後のことを簡単に、実に簡単にだが説明していく。
あの『カミサマ』からもらうことになっている大型船の捜索だ。
それをしながら、先のエルムからの話に出た姫を探すことにした。
と言ってもこの船からは簡単には離れられないので、海上か、少なくとも沿岸に限られる事だけはみんなに話しておいた。
「そこで問題なのだが、俺にはこの世界、このあたりの様子を全くと言って知らない。
誰か、知っている者はこの中でいるのか」
「守様。
様子と言いますと……」
「そうだな、このあたりの地図でもあればいいのだが、誰か簡単に描ける者はいるか」
……
誰も発言してくれない。
その様子にたまりかけたのかエルムが話しかけてきた。
「守様。
私は学園でものを教えておりますが、あくまで魔法を中心に教えておりました。
船に乗り合わせたのは私の教え子と、騎士見習の者たちばかりで、あいにく船に詳しいものなど一人もおりません」
するとエルムの教え子の一人が叫ぶように続けてきた。
「海に詳しいものなど、卑怯者ばかりだ!」
「どういうことだ?」
叫び声に反応した俺の問いに騎士見習の一人が自分に言い聞かせるように話しかけてきた。
「あの船に乗っていた連中、船乗りは私たちを欺いて逃げ出したのですよ」
「ああ、そういえばそんなことを言っていたな。
確かに船乗りの風上にも置けない連中だな」
「ですが、守様は地図が必要ですのよね」
フランが聞いて来る。
「ああ、海図があれば一番なのだが、少なくとも付近の地図が欲しい。
この辺りには、いくつかの国や植民地もあるのだろう。
要らないトラブルを避けるためにも、どうしても知りたいのだがな……」
俺のつぶやきを聞いたのか先ほど叫んでいた人が教えてくれた。
「まだ、あの船にあるかもしれません」
「え?
何があるというのだ」
「守様が欲している地図です。
私は一度だけ船長室の壁にかかっていた地図のようなものを見たことがありますし……」
「そういえば、海図というのでしたっけ、それって航海をするには必要でしたよね」
「ああ、俺の知る世界では絶対に必要なものだ」
「船長室の隣で、大きな机に置いてあるものではと思うのですが」
そこから詳しく聞くと、どうも船長室にはこの世界の広域の地図がありそうで、また、その隣の部屋には海図のようなものがありそうだ。
航海中には、その机に向かって航海士などが書き込みをしていたというのだ。
航海日誌も、あればそれも確認はしたいが、あの難破船には俺にとってお宝がありそうなので、明日は一日をかけてあの難破船を調査することとなった。
翌日も食堂にみんなを集めて今日の予定を話す。
「昨日の今日で慣れない人もいるだろうが、この船の乗員として覚悟を決めてくれたのだ。
できるだけ早くこの船に慣れてほしい。
すでに今日までで経験もしただろうが、この船では君たちの常識は全く通用しないと思ってほしい。
しかし、前から乗船しているフラン達も今ではすっかり慣れているので、皆もすぐになれると思う」
「守様。
今日はあの船に行かれるのですか」
「ああ、今日は俺が直接難破船に乗り込んで、調べてみようかと考えている。
俺と一緒に、騎士たち数名と、悪いがエルムさんも同行してほしい」
「私は構わないが、なぜだ?」
「船の構造というか、船長室や、他の部屋などを案内してほしい」
「詳しくは知らんか、それでもいいか」
「ええ、船員たちが逃げている以上、詳しい者はここにはいないでしょう。
しかし、全く知らない者たちばかりと、少なくともあの船で生活した人では違うでしょうし、あの船の乗客を代表としてお付き合いください」
「守様、私も同行したく……」
「フラン。
悪いが君は、昨日助けた者たちの面倒を見てほしい。
この船での生活する上での経験などを伝えてほしい。
無駄な時間を使わずに次に進めることになるから」
「次……ですか?」
「ああ、船の調査が終わり次第、また、神からの贈り物を探す作業に入りたいし、それに昨日依頼されたエルフの姫様も探さないといけないかなと考えている」
「わかりました、こちらは任せてください、守様」
朝食の後は、別れて俺はケリーと彼女の部下五人を連れてゴムボートで難破船に向かった。
難破船はあいかわらず岩礁に座礁した状態であったが、それもいつまであの状態を維持できるかわかったものでもない。
元の世界のでも木製の漁船などでは船体の腐食もあるだろうが、とにかく波風による状態の変化でどうにかなってしまう。
これが俺の乗っているような鉄製になると、それこそ鉄がさびてボロボロになるまであの状態でいられるのだろうが、この世界の船ではもっと簡単に壊れそうだ。
それに時化でもあったら簡単に海中に投げ出されるだろうから、今日だけ調べてここを離れるのが良いだろう。
別に座礁した船を片付ける必要もその責任も無いのだろうし、片付けるのも、それこそ主砲の一撃でも浴びせれば終わるだろうが、別にそこまでするつもりもない。
俺たちを乗せたボーロが岩礁をよけながら難破船に近づいて横付けされた。
操船をケリー達に任せているが、もうこのボートの操船は問題ないレベルのある。
俺は、横付けされたので、ボートに二人を残して中に入っていく。
23
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる