プレアデスの伝説 姫たちの建国物語

のらしろ

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第二章 軍団の誕生

第35話 この世界の海図?

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 みんなが美味しそうに食べているというよりも、一心不乱に生姜焼きを食べているので、食べながらのミーティングはできそうにない。
 みんなが落ち着くのを待ってから、この後についての相談を始めた。
 食事を終えたころに、ミーシャとドーラがみんなに紅茶をふるまっている。

「悪いが、お茶を飲みながらで良いから聞いて欲しい」

「お話し合いですか」

 フランが俺に聞いてきた。

「ああ、あまり行儀のよいことでは無いだろうが、この船ではこんな感じでの話し合いを多用していく。
 みんなが一堂に集まるのもだんだんと難しくなってきているからな」

「食事をとりながらのお話し合いは貴族の社交の場では当たり前ですので、気にしないでください、守様」

「ありがとう、フラン。
 では、話を続けるが……」

 俺は、この後のことを簡単に、実に簡単にだが説明していく。
 あの『カミサマ』からもらうことになっている大型船の捜索だ。
 それをしながら、先のエルムからの話に出た姫を探すことにした。
 と言ってもこの船からは簡単には離れられないので、海上か、少なくとも沿岸に限られる事だけはみんなに話しておいた。

「そこで問題なのだが、俺にはこの世界、このあたりの様子を全くと言って知らない。
 誰か、知っている者はこの中でいるのか」

「守様。
 様子と言いますと……」

「そうだな、このあたりの地図でもあればいいのだが、誰か簡単に描ける者はいるか」

 ……
 誰も発言してくれない。
 その様子にたまりかけたのかエルムが話しかけてきた。

「守様。
 私は学園でものを教えておりますが、あくまで魔法を中心に教えておりました。
 船に乗り合わせたのは私の教え子と、騎士見習の者たちばかりで、あいにく船に詳しいものなど一人もおりません」

 するとエルムの教え子の一人が叫ぶように続けてきた。

「海に詳しいものなど、卑怯者ばかりだ!」

「どういうことだ?」

 叫び声に反応した俺の問いに騎士見習の一人が自分に言い聞かせるように話しかけてきた。

「あの船に乗っていた連中、船乗りは私たちを欺いて逃げ出したのですよ」

「ああ、そういえばそんなことを言っていたな。
 確かに船乗りの風上にも置けない連中だな」

「ですが、守様は地図が必要ですのよね」

 フランが聞いて来る。

「ああ、海図があれば一番なのだが、少なくとも付近の地図が欲しい。
 この辺りには、いくつかの国や植民地もあるのだろう。
 要らないトラブルを避けるためにも、どうしても知りたいのだがな……」

 俺のつぶやきを聞いたのか先ほど叫んでいた人が教えてくれた。

「まだ、あの船にあるかもしれません」

「え?
 何があるというのだ」

「守様が欲している地図です。
 私は一度だけ船長室の壁にかかっていた地図のようなものを見たことがありますし……」

「そういえば、海図というのでしたっけ、それって航海をするには必要でしたよね」
「ああ、俺の知る世界では絶対に必要なものだ」

「船長室の隣で、大きな机に置いてあるものではと思うのですが」

 そこから詳しく聞くと、どうも船長室にはこの世界の広域の地図がありそうで、また、その隣の部屋には海図のようなものがありそうだ。
 航海中には、その机に向かって航海士などが書き込みをしていたというのだ。
 航海日誌も、あればそれも確認はしたいが、あの難破船には俺にとってお宝がありそうなので、明日は一日をかけてあの難破船を調査することとなった。

 翌日も食堂にみんなを集めて今日の予定を話す。

「昨日の今日で慣れない人もいるだろうが、この船の乗員として覚悟を決めてくれたのだ。
 できるだけ早くこの船に慣れてほしい。
 すでに今日までで経験もしただろうが、この船では君たちの常識は全く通用しないと思ってほしい。
 しかし、前から乗船しているフラン達も今ではすっかり慣れているので、皆もすぐになれると思う」

「守様。
 今日はあの船に行かれるのですか」

「ああ、今日は俺が直接難破船に乗り込んで、調べてみようかと考えている。
 俺と一緒に、騎士たち数名と、悪いがエルムさんも同行してほしい」

「私は構わないが、なぜだ?」

「船の構造というか、船長室や、他の部屋などを案内してほしい」

「詳しくは知らんか、それでもいいか」

「ええ、船員たちが逃げている以上、詳しい者はここにはいないでしょう。
 しかし、全く知らない者たちばかりと、少なくともあの船で生活した人では違うでしょうし、あの船の乗客を代表としてお付き合いください」

「守様、私も同行したく……」

「フラン。
 悪いが君は、昨日助けた者たちの面倒を見てほしい。
 この船での生活する上での経験などを伝えてほしい。
 無駄な時間を使わずに次に進めることになるから」

「次……ですか?」

「ああ、船の調査が終わり次第、また、神からの贈り物を探す作業に入りたいし、それに昨日依頼されたエルフの姫様も探さないといけないかなと考えている」

「わかりました、こちらは任せてください、守様」

 朝食の後は、別れて俺はケリーと彼女の部下五人を連れてゴムボートで難破船に向かった。
 難破船はあいかわらず岩礁に座礁した状態であったが、それもいつまであの状態を維持できるかわかったものでもない。

 元の世界のでも木製の漁船などでは船体の腐食もあるだろうが、とにかく波風による状態の変化でどうにかなってしまう。
 これが俺の乗っているような鉄製になると、それこそ鉄がさびてボロボロになるまであの状態でいられるのだろうが、この世界の船ではもっと簡単に壊れそうだ。

 それに時化でもあったら簡単に海中に投げ出されるだろうから、今日だけ調べてここを離れるのが良いだろう。

 別に座礁した船を片付ける必要もその責任も無いのだろうし、片付けるのも、それこそ主砲の一撃でも浴びせれば終わるだろうが、別にそこまでするつもりもない。

 俺たちを乗せたボーロが岩礁をよけながら難破船に近づいて横付けされた。
 操船をケリー達に任せているが、もうこのボートの操船は問題ないレベルのある。

 俺は、横付けされたので、ボートに二人を残して中に入っていく。
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