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第二章 軍団の誕生
第34話 言い伝えの姫たち
しおりを挟むそれが終わり、いったん解散になりかけた時に俺は、フランが今朝言ってきたことを思い出した。
別に急ぐ仕事は無いので、いっぺんに疑問などを片付けてしまおうと、エルムに聞いてみた。
「ところで話は変わるが、エルムさん、知っているのならば『プレアデスの姫』について教えてほしい」
「え?
では、守様はやはり……」
「あ、勘違いさせて申し訳ないが、俺は全く知らなかった。
今朝、そんなことをフランから聞いた。
女性だけがどうとか……と」
「そうでしたか。
わかりました、私の知るエルフに伝わる説をお話ししましょう」
エルムはそういうと、少し前にフランが話していた『プレアデスの姫』について説明を始めた。
その伝説は要約すると次の通りだった。
この世界に混沌が覆うとき、いくつもある種族それぞれに、プレアデスの姫と呼ばれる6人の姫が現る。
彼女たちは、それぞれの種族を率いて、神のより召される一人の男性の下に集まり夫婦となり世界を救うということらしい。
また、プレアデスの姫と呼ばれるものたちは美貌もさることながら、勇気と慈愛の心を持つ強く優しい女性たちだとも聞く。
彼女たちは協力して神より遣わされた男性の下で協力して新たな世界を作っていくそうだ。
ちなみにエルフの国では代々その国の姫が『プレアデスの姫』とされ、いつ現れるかわからない神の使途を待つという。
今代の姫はハイエルフでもある王女殿下が『プレアデスの姫』として守様を待っていると説明されたが……
うん、聞いていてよくわからない。
あの『カミサマ』ならこれくらいよくわからないことを言いそうだとは思うが、全く理解できない。
しかし、今の説明の中でとんでもないことがさらっと紛れ込んでいたな。
なんだよ、俺を待つハイエルフの姫って、これはもう厄介事案件だよな。
すると、フランも自分の家に古くから伝わる話を言ってきた。
「そう言えば、私の家にも古くからの言い伝えがあります」
「へ~、言い伝えって名家にはつきものなのかな」
「何を、訳わからないことを。
ですが、エルム先生の説明をもう一度聴いたら、思い出しました。
ほとんど聞くことは無かったのですが、同じような話があり、私の家も『プレアデスの姫』に連なる従者の家だったとかで、私も幼いころに祖父から『プレアデスの姫』に請われたらすべてを投げ捨ててでも『プレアデスの姫』に臣従しろと教わりました。
尤もそんなことを言われたのは後にも先にも祖父からだけでしたが……すっかり忘れていました」
「ありがとう、俺には難しすぎてよくわからなかっということが分かったよ」
「何を訳わからないことを、守様。
ですから、守様はこれから6人の『プレアデスの姫』をお探しになり、この世界に祝福をお与えください」
「そうですね、私も今より守様に臣従しますから、一度だけで結構ですので、そうか我姫にお会いくださるようお願い申し上げます」
「仲間になってくれることには感謝するから、そんなに堅苦しくしないでほしいかな。
それに姫に会ってほしいというのならば機会があれば会いに行くよ。
だが、その前に探さないといけないのがあってね」
「神より授けられたという、神船のことですね」
「何それ、なんだか怖い物のように聞こえるけど、まあいいか。
それよりも、その姫様って近くにいるのかな」
「いえ、今ではどこにいるのか私にはわかりません」
「へ?
どういうことなの」
そこからこの世界の闇と言うか、暗部と言うか、前の勇者のしでかしたことを聞かされたが、かなりえぐい内容だった。
美人ばかりのエルフの国は、前の勇者の時代に滅ぼされたとかで、エルフたちは小さな集まりで各地に散らばったとか。
俺の知るエルフと同様にエルフ族は長命なので、各地に散らばり細々と暮らしえていると。
外界と接触持たずにでも生活はできるとかで、完全に引きこもりにでもなられたら、そう簡単には見つからないらしい。
そうなると、エルムが言うハイエルフの姫に会えと言ってもそう簡単なことでは無い。
まあ、俺の船を探すついでにでも探すことを約束して、これからのことを話し合った。
まずは、フランたちと同じことをする。
すでに乗船の儀は済ませてあるので、みんなの体格はこの目でしっかりと見ており、おかず用に記憶してはいる。
いや、おかずがどうとかでなくて、みんなにはジャージを渡してはいるが、それぞれの家柄について簡単に聞き取りをして制服を支給していく。
またその際に、足のサイズも調べて靴を用意するだけでその日は終わった。
夕食時の時にもう一度、みんなを集めて食事を始める。
夕食の準備もフランたちに任せても問題無いくらいにはこの船に慣れてきていたが、冷凍食品以外には、なかなかおいしそうなものは作れないらしく、今回ばかりは俺が料理を作ることにした。
船を停船させていることもあり、俺の仕事はほとんどなかったこともある。
冷凍庫から豚肉を取り出して、久しぶりに生姜焼きを料理していく。
千切りキャベツも幸いなことに冷凍庫に冷食としてあったので、ありがたくそれを使った。
これなら、明日にでも補充されるだろうから遠慮なくたっぷりと皿に盛った。
俺が料理を作ることも周りから相当に驚いていたようなのだが、それ以上に生姜焼きを食べると皆無口になっていた。
目だけは飛び出すのではと心配になるくらいに大きく見開き、あれは驚いているのだろう。
われながら久しぶりに作った生姜焼きだが、美味しくできていた。
しょうゆもショウガもたっぷりと使い、隠し味にはニンニクまで使っているので、精力がつくのはもちろんだが、肉料理にはニンニクと醤油は鉄板だ。
使ったショウガもニンニクもチューブ入りだがあれは馬鹿にできない。
そのニンニクも自分で潰したり擦ったりする手間が無いが、俺がやってもあれ以上のものは作れそうにないので、十分だ。
この船にはニンニクもチューブでないものもあるのだが、あれを使うとすればステーキを焼くくらいにしか俺には調理法を知らない。
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