33 / 121
第二章 軍団の誕生
第33話 初めての会食
しおりを挟むそこからは前にフランたちにしたことと同じ要領で、一緒についてきた護衛だろうか、たぶん騎士だと思われる人たちにも同様に行った。
10分もあれば最初に連れてきた人たちの作業は簡単に終わる。
一度洗っているので、前のフランたちよりは簡単に済んだが、それでも一回では終わらなかった。
海水だったこともあるのだろうが、一度くらいのシャンプーではこの世界の住人たちの洗髪は終わらない。
それでも臭いが無くなるくらいまでは済ませてあるので、2回も洗えば簡単に終わった。
第一陣が終わるころを見計らって、フランは続々と難破船から人を連れてきたので、ここからはルーチン作業のごとく、助けた女性船員の乗船の儀を済ませた。
そこ後は、先ほどまで着ていたジャージを洗濯気に放り込んで後は全自動に任せて、みんなの分の食事を用意させる。
厨房にフランを始めフランの従者でもあるミーシャやドーラと協力して、人数分の食事の用意に取り掛かる。
と言っても、冷凍食品のから揚げに冷凍スープと言った、調理とは言えないようなメニューだが、どうもこの組み合わせをフランたちは気に入っているので、今回もそれを用意している。
俺が直接海賊から助け出したフランたちは喜んで目の前の食事を、それこそがっつくように食べていた。
あなた方は良いところの出ではないのか……そんな苦言が思わず俺の口から出そうになるくらいの位っぷりだが、対照的だったのはフランたちが難破船から連れてきた連中だ。
すでに俺からのみそぎ代わりに液体携帯食を食べているので、忌避感は無かろうとは思うのだが、どうも驚いているようで、なかなか口にしなかったが、引率役の先生でもあったエルムさんが食べ始めると急に声を出した。
「なに~、これは……」
「先生、どうしましたか」
彼女が教えていた生徒の一人が声を上げて驚いているエルムさんに声をかける。
「今まで食べたことがないくらいにおいしい」
「え、おいしいのですか」
「私も一口……きゃ~」
急にあたりが騒がしくなってくる。
女も三人寄ればなんとかだというが、さすがに俺以外すべてが女性だと、姦しい……というレベルじゃないな。
俺が苦笑いを浮かべてどうするか悩んでいると、フランが騒いでいる人たちをたしなめる。
「食事がおいしいのはわかります。
見てごらんなさい。
あなた方よりも早く守様と合流した者たちを。
誰も取らないというのに、食べることに夢中でしょ。
それだけ守様の出してくださる食事はおいしいのですが、さすがに食事中に騒ぐにはいかがでしょうか」
「フラン殿。
これは失礼した。
長く生きてきた私でも驚くくらいの美味しさだったものでな。
みんなも、味わっていただくと良い。
王宮でのパーティーでも味わえないくらいの美味しさは今食べた私が保証するが、私のようにあまりの美味しさでも騒がずにな」
先ほどまで騒いだ連中は恥ずかしそうに顔を赤らめながら静かに食事をつづけた。
エルムさんは生徒たちをたしなめるとすぐに自分の食事を続ける。
俺も食べるのは早い方だと理解しているが、俺以上に早く食べ終わるものまで出る始末だった。
よほど昨夜はひもじかったようだ。
俺もすぐに食べ終わり、みんなに茶でも用意しようかと立ち上がると、ミーシャとドーラも食べ終わったのか俺を制して、みんなの茶を入れ始めた。
俺よりも早く食べ終わった者たちはミーシャたちと一緒に残りの者たちに茶を配り始める。
紅茶を飲む習慣はあることは前に聞いていたので、問題なさそうなので、俺はみんなが食べ終わるのをゆっくりと紅茶を飲みながら待つことにした。
難破船から来た者たちは、今は食べるの夢中で気が付かなかったようだが、それでもさっさと食べ終わったエルムさんは自動ドリンクサーバーに驚いて真剣にミーシャが入れる紅茶を見つめている。
紅茶を見ていた訳ではなく、紅茶を出す自動ドリンクサーバーの方が珍しかったようだ。
俺なども、それほど詳しいわけでもないが、今では日本国内ならば少なくとも旅館などでは割とよく目にするし、緑茶やお湯だけの物ならば基地内の食堂にもあったので、別に珍しいものでもない。
ただ、この世界ではとにかく自動的に何かをするものすべてが珍しいらしい。
おおよそ自動化されるものは、そのほとんど全てが魔道具になるらしく、この船にあるものすべてに魔法の要素を見つけられずに珍しがっていそうだ。
しかし、神様の説明では動力から補給まで魔素だったかそんなんものを利用していると聞いていたので、魔法使いが何をそんなに驚いているのかがわからない。
エルムは俺にいろいろと聞きたそうにしているが、あとで時間を取るので今は勘弁してもらった。
30分とかからずにブランチは終わった。
確かに朝食も昼食も夕食ほどは時間をかけないが、それでも良いところのお嬢様方にしては早すぎませんか。
まあ、早く済む分には俺の方としては助かるので、これからについての説明を始めた。
「おおよそ、食事がすんだようなので、今一度みんなに説明しておこうかと思うことがある。
難破船からこちらに移ってきた人たちには初めてのことばかりで驚いているだろう。
フランから昨夜説明があったかもしれないが俺の自己紹介から始める。
俺はこの船の船長である守だ。
俺は、どうもこの世界とは別の世界から神によって連れてこられたようだ。
俺がこの世界に来る直前に『カミサマ』より直接説明されたが、その時には理解しきれずにいた。
その後すぐに、この船で神様より補足説明をしてもらい、俺がこの世界でしないといけないことを俺なりに理解したので、みんなにも共有してもらおうかと思う」
俺の口から散々『カミサマ』という言葉を発したことで、そのたびにざわつきが起こる。
この世界には神様は身近な存在なのだろう……が、あんな『カミサマ』だとこの世界の住人を相当苦労しただろうな。
まあいいか。
俺は話を続ける
「君たちを助けたのはフラン達の意志だ。
『カミサマ』からの指示でも何でもないが、俺は助けて良かったと思っている。
俺がこのあたりに来たのは、先ほどから『カミサマ』からの指示で、大きな船を探している。
『カミサマ』が俺に与えてくれたものらしい。
なので、君たちも俺らの仲間になったことで、その探し物に協力してほしい」
俺が、神からのいい加減な依頼について説明すると、難破船側の代表でもあるエルムが、かしこまった態度で、俺に忠誠の姿勢を示しながら答えた。
「使徒であらせられる守様の使命、理解しました。
私どもで、できることがあれば何なりと命じてください」
「あ、断っておくけど、俺は使徒でもなければ大魔導士でもない。
だが、協力してくれるのならば大歓迎だ。
まあ、当分はここでの生活に慣れてほしい。
先ほども言ったが、俺はこの世界の住人ではないので、この世界の常識に疎い。
それに何より、この船上では俺の世界の常識に合わせて運営していくから、みんなの方で会わせてくれ」
その後、フランの方から簡単に説明があった。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる