プレアデスの伝説 姫たちの建国物語

のらしろ

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第二章 軍団の誕生

第33話 初めての会食

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 そこからは前にフランたちにしたことと同じ要領で、一緒についてきた護衛だろうか、たぶん騎士だと思われる人たちにも同様に行った。

 10分もあれば最初に連れてきた人たちの作業は簡単に終わる。
 一度洗っているので、前のフランたちよりは簡単に済んだが、それでも一回では終わらなかった。
 海水だったこともあるのだろうが、一度くらいのシャンプーではこの世界の住人たちの洗髪は終わらない。
 それでも臭いが無くなるくらいまでは済ませてあるので、2回も洗えば簡単に終わった。

 第一陣が終わるころを見計らって、フランは続々と難破船から人を連れてきたので、ここからはルーチン作業のごとく、助けた女性船員の乗船の儀を済ませた。
 そこ後は、先ほどまで着ていたジャージを洗濯気に放り込んで後は全自動に任せて、みんなの分の食事を用意させる。

 厨房にフランを始めフランの従者でもあるミーシャやドーラと協力して、人数分の食事の用意に取り掛かる。
 と言っても、冷凍食品のから揚げに冷凍スープと言った、調理とは言えないようなメニューだが、どうもこの組み合わせをフランたちは気に入っているので、今回もそれを用意している。

 俺が直接海賊から助け出したフランたちは喜んで目の前の食事を、それこそがっつくように食べていた。
 あなた方は良いところの出ではないのか……そんな苦言が思わず俺の口から出そうになるくらいの位っぷりだが、対照的だったのはフランたちが難破船から連れてきた連中だ。

 すでに俺からのみそぎ代わりに液体携帯食を食べているので、忌避感は無かろうとは思うのだが、どうも驚いているようで、なかなか口にしなかったが、引率役の先生でもあったエルムさんが食べ始めると急に声を出した。

「なに~、これは……」

「先生、どうしましたか」

 彼女が教えていた生徒の一人が声を上げて驚いているエルムさんに声をかける。

「今まで食べたことがないくらいにおいしい」

「え、おいしいのですか」

「私も一口……きゃ~」

 急にあたりが騒がしくなってくる。
 女も三人寄ればなんとかだというが、さすがに俺以外すべてが女性だと、姦しい……というレベルじゃないな。
 俺が苦笑いを浮かべてどうするか悩んでいると、フランが騒いでいる人たちをたしなめる。

「食事がおいしいのはわかります。
 見てごらんなさい。
 あなた方よりも早く守様と合流した者たちを。
 誰も取らないというのに、食べることに夢中でしょ。
 それだけ守様の出してくださる食事はおいしいのですが、さすがに食事中に騒ぐにはいかがでしょうか」

「フラン殿。
 これは失礼した。
 長く生きてきた私でも驚くくらいの美味しさだったものでな。
 みんなも、味わっていただくと良い。
 王宮でのパーティーでも味わえないくらいの美味しさは今食べた私が保証するが、私のようにあまりの美味しさでも騒がずにな」

 先ほどまで騒いだ連中は恥ずかしそうに顔を赤らめながら静かに食事をつづけた。
 エルムさんは生徒たちをたしなめるとすぐに自分の食事を続ける。
 俺も食べるのは早い方だと理解しているが、俺以上に早く食べ終わるものまで出る始末だった。
 よほど昨夜はひもじかったようだ。

 俺もすぐに食べ終わり、みんなに茶でも用意しようかと立ち上がると、ミーシャとドーラも食べ終わったのか俺を制して、みんなの茶を入れ始めた。
 俺よりも早く食べ終わった者たちはミーシャたちと一緒に残りの者たちに茶を配り始める。

 紅茶を飲む習慣はあることは前に聞いていたので、問題なさそうなので、俺はみんなが食べ終わるのをゆっくりと紅茶を飲みながら待つことにした。
 難破船から来た者たちは、今は食べるの夢中で気が付かなかったようだが、それでもさっさと食べ終わったエルムさんは自動ドリンクサーバーに驚いて真剣にミーシャが入れる紅茶を見つめている。

 紅茶を見ていた訳ではなく、紅茶を出す自動ドリンクサーバーの方が珍しかったようだ。
 俺なども、それほど詳しいわけでもないが、今では日本国内ならば少なくとも旅館などでは割とよく目にするし、緑茶やお湯だけの物ならば基地内の食堂にもあったので、別に珍しいものでもない。

 ただ、この世界ではとにかく自動的に何かをするものすべてが珍しいらしい。
 おおよそ自動化されるものは、そのほとんど全てが魔道具になるらしく、この船にあるものすべてに魔法の要素を見つけられずに珍しがっていそうだ。

 しかし、神様の説明では動力から補給まで魔素だったかそんなんものを利用していると聞いていたので、魔法使いが何をそんなに驚いているのかがわからない。
 エルムは俺にいろいろと聞きたそうにしているが、あとで時間を取るので今は勘弁してもらった。

 30分とかからずにブランチは終わった。
 確かに朝食も昼食も夕食ほどは時間をかけないが、それでも良いところのお嬢様方にしては早すぎませんか。
 まあ、早く済む分には俺の方としては助かるので、これからについての説明を始めた。

「おおよそ、食事がすんだようなので、今一度みんなに説明しておこうかと思うことがある。
 難破船からこちらに移ってきた人たちには初めてのことばかりで驚いているだろう。
 フランから昨夜説明があったかもしれないが俺の自己紹介から始める。
 俺はこの船の船長である守だ。
 俺は、どうもこの世界とは別の世界から神によって連れてこられたようだ。
 俺がこの世界に来る直前に『カミサマ』より直接説明されたが、その時には理解しきれずにいた。
 その後すぐに、この船で神様より補足説明をしてもらい、俺がこの世界でしないといけないことを俺なりに理解したので、みんなにも共有してもらおうかと思う」

 俺の口から散々『カミサマ』という言葉を発したことで、そのたびにざわつきが起こる。
 この世界には神様は身近な存在なのだろう……が、あんな『カミサマ』だとこの世界の住人を相当苦労しただろうな。

 まあいいか。
 俺は話を続ける

「君たちを助けたのはフラン達の意志だ。
 『カミサマ』からの指示でも何でもないが、俺は助けて良かったと思っている。 
 俺がこのあたりに来たのは、先ほどから『カミサマ』からの指示で、大きな船を探している。 
 『カミサマ』が俺に与えてくれたものらしい。
 なので、君たちも俺らの仲間になったことで、その探し物に協力してほしい」

 俺が、神からのいい加減な依頼について説明すると、難破船側の代表でもあるエルムが、かしこまった態度で、俺に忠誠の姿勢を示しながら答えた。

「使徒であらせられる守様の使命、理解しました。
 私どもで、できることがあれば何なりと命じてください」

「あ、断っておくけど、俺は使徒でもなければ大魔導士でもない。
 だが、協力してくれるのならば大歓迎だ。
 まあ、当分はここでの生活に慣れてほしい。
 先ほども言ったが、俺はこの世界の住人ではないので、この世界の常識に疎い。
 それに何より、この船上では俺の世界の常識に合わせて運営していくから、みんなの方で会わせてくれ」

 その後、フランの方から簡単に説明があった。
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