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第七章 公家の政
第二百五十九話 建武の新政 再び……なんて冗談じゃないよ
しおりを挟む正直、復活を阻止できなくもなかったが、俺は関係ないとばかりにかかわっていないうちにどんどん復活していったが、近衛がやらかしたこともあり、近衛が精力的に動いていた行事のいくつかを再度休止させるのには成功した。
また、宮中行事の復活に伴い幕府が受け持っていた行事のいくつかと、付近の大名がらみの仕事までもが京に発生していたが、大名関連はお市さんが結さん同様にうまくさばいていた。
京に残った二人の嫁さんがいなければ、俺は越前に残れることはできずに、越前の地はどうなっていたか考えたくもない。
それでも、忙しい。
まあ、俺以上に忙しくしているのは越前では公家たちの尻を叩きながら政をしている五宮だし、若狭では一向に訪れることのない領主の代わりに治めている半兵衛さんたちだ。
彼らも伊勢では大身の身であるはずで決して暇な筈は無いのだが、俺に直接不満を言ってくることなく、噂ですら不満も聞こえてこない。
本当に彼らに助けられてばかりだ……いや、彼らに祭り上げられたのは俺の方だ。
そうだ、悪いのは彼らだ。
決して俺は悪くはない……今更むなしいだけなので俺は頭を仕事に切り替えた。
張さんたちの大活躍で、どうにか越前では餓死者を出さずに済みそうだ。
俺たちが昨年から押さえていた西側については今年も無事に収穫を得ることができたと報告があったが年貢については例年通り受け取りはしたけど、領民には少しばかりを戻し、残りについても緊急食糧として保管する旨を伝え、俺たちの収入にはしなかった。
いや、できなかったというべきだ。
本当に、今まで何をしていたんだ朝倉さんよ。
確かに、他の大名よりはうまく統治していたようだが、それでも一度の負け戦で今までの統治を見事に吹き飛ばしてくれたのだ。
やはり戦国の世では致命的な負けは自身だけでなく領民にも地獄を見せる。
為政者としては致命傷だけは避けるようにしないといけないと、この時ばかりは心に誓った。
伊勢の統治でもまだ不満があるのに、伊勢のようにまでここができるにはいつになるのか、俺はいつになったら京に戻れるようになるのか、まだ先は見えてこない。
地獄と化した越前を必死に頑張って処理しているうちに近衛や朝倉の残党については完全に失念していた。
尤も藤林さんをはじめ優秀なチート武将たちは彼らのことを忘れることなく後を追ってもいてくれているようだが、朝倉義景をはじめ朝倉の残党は一向宗徒の手により悲惨な最期を迎えていたという話だ。
遺体を確認したわけでもなく、忍びさんたちが言うには遺体の確認すらできず死んだことにしているようで、もしかしたら生きている可能性も捨てきれないとのことなのだが、今更生きていても残党そのものが力を完全に失ってもいるので、政治的には死んだと同様に扱えるらしい。
問題は近衛の方だ。
こちらの方は若狭武田が負けたと伝わった時点で戦に負けた当主の武田と一緒に南に落ちて本願寺にかくまってもらっているとかで、相変わらず油断はできない。
まあ本願寺の方も、三河で一揆をおこしたときのようには各地の勢力も勢いがないから本願寺が思うようにはいっていない。
特に、長島での一揆がほとんど不発に終わったこともあり、加賀を除くと勢いそのものもないとか。
これは三蔵寺派なるものができたことで、各地の穏健な一向宗徒はどんどんこちらに流れており、本願寺からの過激な激には一向に反応しないとかで、今本願寺ではその対応に追われているので、俺たちにかまっている暇はない。
俺たちが本願寺に逃げ込んだ近衛に対して何もできないが、近衛も本願寺も、俺たちに対して何もできずにいる。
それでも近衛は叡山を動かそうと暗躍を始めているようだが、その叡山も坂本までも俺たちが抑えているので、しばらくは様子見の状態だそうだ。
そう、端から見たらこの年には畿内は大戦もなく暇そうに見えるだろうが、俺たちにとっては糞親父も例外なく忙しくしている。
とにかく領地に問題を抱えているので動けないでいる。
秋の刈り入れ後に、信長さんのところに武田がせめて来るかもしれないと聞いたが、それ以外では幸いなことに他からの侵略もなさそうなので、正直助かっているが来年はどうなるか今のところ全く先が見えない。
直接脅威となる敵は正直減っていないのだ。
中国に毛利も控え、一向宗と連携を重ねているようだし、北陸には一向宗に長尾までいるし、武田は相変わらずに迷惑以外にない戦をあっちこっちに仕掛けている。
今川の弱体化は本来ならば喜ばしいはずなのだが、武田次第で脅威に繋がる恐れまである。
後北条についても不安はあるが、とりあえず直接的に領地が接しているわけでないので今まで通り無視しているが、そのうちどうにかしないといけない。
そう、俺の今の立場では、二国の政以外にもこの国のかじ取りまで考えないといけないことになりつつある。
今のところ朝廷に関しては近衛の出奔後に義父である太閤が公家を抑えているので、まだ多少時間は稼げているが、それすらいつまでも時間が許されるはずもない。
すでに一部の公家たちは、建武の新政再びなぞと騒ぎだしてくるのまで出ているのだ。
確かに俺が公家の立場で二国を領しており、また、政を手伝わしている公家たちにも銭払いだが、俸禄を出している。
ならば俺たちにもと、働きもしない公家たちが京あたりで騒ぎだしているのだ。
太閤殿下が、働きたければ口をきいてやると彼らに申しているはずなのだが、働くという下賤なことなどできるかと言っているとか。
叡山を先に措置すべきか、彼ら邪魔な公家の処分を先にすべきか悩ましい状況になっている。
とにかく戦が無いのだけでもありがたいと思うしかない。
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