恋の魔女の初恋

三原みぱぱ

文字の大きさ
18 / 30

第18話 僕と高橋の朝

しおりを挟む
  次の日、僕が学校に行くと、いつもの朝の雰囲気ではなかった。
 どこかみんな浮き足だったようで、緊張感のある雰囲気だった。
 クラスメイトは声を潜めて話していた。
 そんな異様な雰囲気を感じ取りながら、僕は自分の席に着くと、カラオケ大会を主催した高橋がやってきた。
 カラオケで武田と黒柳の二人とペアになった事だろうか? あれは黒柳がやったことだし、もう、2週間も前の事だ。今更、何かを言われても困ると思っていると、思いもかけない言葉を投げかけられた。

「なあ、菊池。昨日、どこに行ってた?」

 その声は平穏を装いながら、まるでアリバイを確認している刑事のようだった。
 なぜ、彼が昨日の事などを聞くのだろうか? 僕と彼とは仲が良いわけではない。突然、僕の家に遊びに来て、僕がいないことに意気消沈して帰って行ったというようなこともないだろう。そもそも、もしもそんな事があれば、携帯に連絡をするだろう。カラオケの時にクラスのみんなで連絡先は交換しているのだから。
 僕は彼の意図が読めないまま、素直に答えた。

「動植物園に行ったけど」
「それは、お前、一人で行ったのか?」
「いや、武田さんとだけど」

 僕の言葉にクラスがどよめいた。陰キャの代名詞のような僕とクラスの、いやこの学校の有名人である武田が二人で出かけていたことに動揺が走ったのだろう。
 その反応を見て、僕はしまったと思った。武田に迷惑がかかると。
 一緒に出かけたのは事実なのだが、それによって、彼女がおかしな目で見られるのは不本意だ。
 僕は慌てて言い直そうとしたとき、それは不可能だと気づかせられた。

「見間違いじゃなかったのか。なんで、お前が彼女と一緒にいるんだよ」

 恐らく昨日の僕達を、誰かが偶然に見かけたのだろう。しかし、誰もそれを信用していなくて、高橋が代表して確認に来たのだろう。だから、僕が、『行っていない』もしくは『一人で行った』と行っておけば、気のせいで終わった話だろう。
 もう、ここから修正する事は無理だろう。そうであれば、本当のことを言ってしまった方が良いだろう。

「お礼だって」
「はぁ、あ~分かった。そういうことか。最低だな、お前」

 何をどう、理解したのかは分からないが、とりあえず高橋は納得して自分達のグループに戻って行くと何か話をしていた。
 まあ、納得してくれて僕はホッとした。武田がいないとはいえ、あまり周りが騒ぐといい気はしないだろう。
 学校で彼女に話しかけるのは避けた方が良いだろう。彼女に変な噂が立つのは心苦しい。
 そんな事を考えながら、午前中の授業が終わり、昼休みになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

『 ゆりかご 』 

設楽理沙
ライト文芸
  - - - - - 非公開予定でしたがもうしばらく公開します。- - - - ◉2025.7.2~……本文を少し見直ししています。 " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。 ―――― 「静かな夜のあとに」― 大人の再生を描く愛の物語 『静寂の夜を越えて、彼女はもう一度、愛を信じた――』 過去の痛み(不倫・別離)を“夜”として象徴し、 そのあとに芽吹く新しい愛を暗示。 [大人の再生と静かな愛] “嵐のような過去を静かに受け入れて、その先にある光を見つめる”  読後に“しっとりとした再生”を感じていただければ――――。 ――――            ・・・・・・・・・・ 芹 あさみ  36歳  専業主婦    娘:  ゆみ  中学2年生 13才 芹 裕輔   39歳  会社経営   息子: 拓哉   小学2年生  8才  早乙女京平  28歳  会社員  (家庭の事情があり、ホストクラブでアルバイト) 浅野エリカ   35歳  看護師 浅野マイケル  40歳  会社員 ❧イラストはAI生成画像自作  

椿の国の後宮のはなし

犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。 若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。 有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。 しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。 幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……? あまり暗くなり過ぎない後宮物語。 雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。 ※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。

処理中です...