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第28話 僕の本当の答えと試験結果
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二人は黙って、じっと僕の言葉を待った。
どこからか今年最後の桜の花びらが、夏を思わせる温かな風に乗って舞った。
そうだった。僕達がここでよく遊んでいた理由の一つに、なぜか一本だけ植えられていた桜があったからだった。
毎年、最後に咲く桜。
『この桜が散れば、もう夏だね』
アマリリスのような笑顔で、そう言う彼女が大好きだった。
僕は気持ちを落ち着けて、はっきりと言った。
「英里子、僕と付き合って欲しい」
僕は武田の手を取り、そう言うと彼女は何が起きたのか理解できないように、一瞬固まった。
「本当に、ボクでいいの」
「確かに僕はつーちゃんが大事な人だし、好きだった。でもそれはもう、十年前の話だ。だから、今は英里子の方が大事だ」
黒柳は間違いなく僕の大事な初恋の人だ。しかし、それは今の彼女ではないし、彼女が好きだったのも、今の僕ではないはずだ。
僕は過去ではなく、今を取る。
先ほどの屋上での告白は、今の僕の気持ちで間違いない。
だから僕は武田を選ぶ。
僕の答えを聞いた黒柳は涙を拭って、見せた顔はどこか吹っ切れていた。
「あ~あ、これで本当に、ぼくの長い初恋は終わっちゃったな」
そう、僕達の初恋は長すぎたのだ。十年前の幼く、純粋で、綺麗な初恋はただ、心の一番大事なところにのみ存在する。彼女が僕にくれた物は消えることなく、もう、忘れることもなく永遠に残り続けるだろう。
『さよなら、僕の初恋』
まるでそのまま消えてしまいそうな黒柳を見て、武田が心配そうに確認をする。
「ねえ、月子。このままどこかに行っちゃうって事は無いわよね。ボクは彼と同じくらい、キミの事が好きなんだから」
「あーくん、きみの彼女はいきなり浮気宣言してるけど大丈夫?」
力の抜けた、いつも屋上で見せる子供っぽい黒柳が顔を見せる。
そんな彼女を見て、僕も力が抜けてくるのを感じて、いつもの調子で答えた。
「しょうがないよ。さっきは僕も二人とも好きだって言ったんだから」
「なんて、寛容なカップルなのよ。でも、そんな二人をぼくも好きだよ。だから、高校を卒業するまではこの街にいるつもりだよ」
そうして、誰が言うでもなく、三人で抱きしめ合って、笑い始めた。空はすっかり暗くなり、綺麗な満月が空に浮かんでいた。
「ところで、つーちゃん。試験の結果はどうなったの?」
「ああ、忘れてたわ」
「そんなんで、良いの?」
武田が思わずツッコんだ。
それもそうだ。彼女は一人前の恋の魔女になるために、これまで修行をしたのだろう。武田に色々とアドバイスをしたりしたのもその目的のためだった。それを忘れていたというのは、あまりにも呑気だろう。それは武田もツッコむだろう。
「良いのよ。ぼくが大好きな二人が幸せになってくれれば」
「本当に、恋の魔女の試験をなんだと思ってるのよ」
そう言った黒柳は、空の上から声をかけられた。見上げると、大きく美しい月をバックにほうきに乗った魔女が、そこにいた。それは、先ほど会った黒柳の母親だった。
すらりとした真っ黒なワンピースにつばの大きなとんがり帽子。絵本に出てくる魔女そのままの姿をしていた。
やはり、彼女が恋の魔女であり、今回の試験官だったんだ。
「黒柳月子に恋の魔女の試験結果を伝えます」
「はい」
黒柳は姿勢を正して、試験官の顔をした母親の方を向いた。
「あなたは不用意にも、対象者に自分が恋の魔女だと明かしてしまいました」
「はい」
「その上、試験対象者が自らの初恋の相手である事を知られてしまうだけでなく、本来ならば、手助けをになければならない相手に自らの恋心を伝えてしまう大きな失態を犯しました」
「はい」
やはり、恋の魔女と言うことを人に話してはいけなかったのだ。まあ、恋の手助けをする相手に対して好きだと告白するは、普通に考えてアウトだろう。本来の目的と変わってしまう。
「結果は不合格です。帰ったら魔法を封印するわね」
「はい」
どこからか今年最後の桜の花びらが、夏を思わせる温かな風に乗って舞った。
そうだった。僕達がここでよく遊んでいた理由の一つに、なぜか一本だけ植えられていた桜があったからだった。
毎年、最後に咲く桜。
『この桜が散れば、もう夏だね』
アマリリスのような笑顔で、そう言う彼女が大好きだった。
僕は気持ちを落ち着けて、はっきりと言った。
「英里子、僕と付き合って欲しい」
僕は武田の手を取り、そう言うと彼女は何が起きたのか理解できないように、一瞬固まった。
「本当に、ボクでいいの」
「確かに僕はつーちゃんが大事な人だし、好きだった。でもそれはもう、十年前の話だ。だから、今は英里子の方が大事だ」
黒柳は間違いなく僕の大事な初恋の人だ。しかし、それは今の彼女ではないし、彼女が好きだったのも、今の僕ではないはずだ。
僕は過去ではなく、今を取る。
先ほどの屋上での告白は、今の僕の気持ちで間違いない。
だから僕は武田を選ぶ。
僕の答えを聞いた黒柳は涙を拭って、見せた顔はどこか吹っ切れていた。
「あ~あ、これで本当に、ぼくの長い初恋は終わっちゃったな」
そう、僕達の初恋は長すぎたのだ。十年前の幼く、純粋で、綺麗な初恋はただ、心の一番大事なところにのみ存在する。彼女が僕にくれた物は消えることなく、もう、忘れることもなく永遠に残り続けるだろう。
『さよなら、僕の初恋』
まるでそのまま消えてしまいそうな黒柳を見て、武田が心配そうに確認をする。
「ねえ、月子。このままどこかに行っちゃうって事は無いわよね。ボクは彼と同じくらい、キミの事が好きなんだから」
「あーくん、きみの彼女はいきなり浮気宣言してるけど大丈夫?」
力の抜けた、いつも屋上で見せる子供っぽい黒柳が顔を見せる。
そんな彼女を見て、僕も力が抜けてくるのを感じて、いつもの調子で答えた。
「しょうがないよ。さっきは僕も二人とも好きだって言ったんだから」
「なんて、寛容なカップルなのよ。でも、そんな二人をぼくも好きだよ。だから、高校を卒業するまではこの街にいるつもりだよ」
そうして、誰が言うでもなく、三人で抱きしめ合って、笑い始めた。空はすっかり暗くなり、綺麗な満月が空に浮かんでいた。
「ところで、つーちゃん。試験の結果はどうなったの?」
「ああ、忘れてたわ」
「そんなんで、良いの?」
武田が思わずツッコんだ。
それもそうだ。彼女は一人前の恋の魔女になるために、これまで修行をしたのだろう。武田に色々とアドバイスをしたりしたのもその目的のためだった。それを忘れていたというのは、あまりにも呑気だろう。それは武田もツッコむだろう。
「良いのよ。ぼくが大好きな二人が幸せになってくれれば」
「本当に、恋の魔女の試験をなんだと思ってるのよ」
そう言った黒柳は、空の上から声をかけられた。見上げると、大きく美しい月をバックにほうきに乗った魔女が、そこにいた。それは、先ほど会った黒柳の母親だった。
すらりとした真っ黒なワンピースにつばの大きなとんがり帽子。絵本に出てくる魔女そのままの姿をしていた。
やはり、彼女が恋の魔女であり、今回の試験官だったんだ。
「黒柳月子に恋の魔女の試験結果を伝えます」
「はい」
黒柳は姿勢を正して、試験官の顔をした母親の方を向いた。
「あなたは不用意にも、対象者に自分が恋の魔女だと明かしてしまいました」
「はい」
「その上、試験対象者が自らの初恋の相手である事を知られてしまうだけでなく、本来ならば、手助けをになければならない相手に自らの恋心を伝えてしまう大きな失態を犯しました」
「はい」
やはり、恋の魔女と言うことを人に話してはいけなかったのだ。まあ、恋の手助けをする相手に対して好きだと告白するは、普通に考えてアウトだろう。本来の目的と変わってしまう。
「結果は不合格です。帰ったら魔法を封印するわね」
「はい」
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