なぜかモテない最強冒険者は訳あり美女を救う ~イケメン弟子たち、俺がモテないのはお前達のせいじゃないよな?~

三原みぱぱ

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第41話 悪魔の攻撃

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 黒い霧が男を包み込み、それまで切りつけるたびに噴出していた血はなくなる。ウェインの剣はまるで鎧に当たったかのように、はじかれるようになった。切られて落ちた腕もひとりでにその主のもとへ移動し、元通りにくっついてしまった。

「ウォオオ!」

 その様子を見たウェインは、ロレンツの忠告を無視して斬り付ける。ここで決めないとまずい状況になる。騎士としての直感だった。
 レヴァイアタンの体を縦に真っ二つにするつもりで放った渾身の必殺の一撃。タイミング的にもこれ以上ないはずだった。
 しかし、その剣先は左の拳によってそらされ、地面に突き刺さり、レヴァイアタンの右の拳は金属の鎧をヘコませ、ウェインの腹に食い込んでいた。

「ぐっふぁ!」

 攻撃を食らったウェインは、体をくの字になって、胃液をぶちまけながら倒れる。

「さあ、この体も馴染んできましたね。さあ、どんどん来なさい。なるべく長くわたくしを楽しませてくださいね」
「炎の爆弾!」
「それはもう見たよ」

 レヴァイアタンは何か握り締めるポーズをすると、魔法の種火は闇の手によって握りつぶされてしまった。

「光の縄!」

 闇のオーラをまとった大男に、クリスの光のロープが巻き付き、拘束する。

「稲妻!」

 巨大な雷が天より降り注ぐ。一面に肉の焼ける匂いが充満する。

「石の槍!」

 地面から突き出た石の槍が黒焦げの体を貫く。

「とどめだ!」

 痛みを噛み殺したウェインが、拘束された黒焦げの首を跳ねる。
 転がり落ちる頭を見て、ルカが叫ぶ!

「危ない!」

 その顔は黒焦げでもなく、やけどもなく、綺麗なスキンヘッドの生首が笑っていた。
 黒い炎が首なしの体から立ち上り、光の拘束を解くと生首をボールのように足で蹴り上げて、首にのせる。

「さて、大体の体の耐久性は分かりました。魔法はどうですかね? ブラックサンダー」
「光の盾」

 レヴァイアタンは右腕を天高く上げて漆黒の雷撃を四人に降り注ぐ。それを四人の頭上に現れた光の盾が防ぐ。

「もたない!」
「ぎゃっ!」

 しかし、光の盾に降り注ぐ漆黒の雷撃は威力を増し、盾を破壊して四人に降り注ぐ。漆黒の雷撃を受けた四人は倒れてしまう。
 ウェインは追撃を恐れて、悪魔の姿を目で追う。スキンヘッドの悪魔は四人のことなど眼中にないように、その魔法の出力と自分の体の調子を確かめていた。

「これならば、いけそうですね。おや? よかった、あなたたちもまだ元気じゃないですか。まだまだ死なないでくださいよ。さあ、もっと遊びましょう。はっはっはっは!」

 笑いながらその巨躯がゆっくりと宙に浮かぶ。

「テンペスト」

 宙に浮いた悪魔を中心に風が吹き荒れ、竜巻となった。

「みんな、こっちへ」

 ウェインは自分の大剣を地面に突き立てて、風に飛ばされないように踏ん張る。
 ほかの三人もウェインのところへ集まり、風に飛ばされないように剣やウェインに捕まる。しかし、風は勢いを増して小石や小枝を巻き上げ、ますますその勢いは強くなるばかりだった。木々は悲鳴を上げ、石が巻き上げられ、教会の屋根が飛び、木の根が地上に現れる。

「まずい。石の壁」

 四人の周りに石の壁が現れて、風とそれによって巻き上げられた物がガンガンと当たる音が響く。
 どれくらい時間がたっただろうか、とうとう暴風が収まった。

「何が嵐だ! そよ風程度じゃねえか。げっ!」

 ロレンツは毒を吐きながら解除された石の壁の向こうで、宙に浮かんでいるレヴァイアタンを見上げて声を上げる。
 レヴァイアタンの頭上には、教会の屋根や大木、岩が舞上げられてひとかたまりになり、その大きさは領主の屋敷ほどの大きさになっていた。

「クリス、アレを防げる魔法を持っているか?」
「ない」
「だよな」

 ロレンツはあきらめ顔で、その巨大な塊を見上げる。

「さて、これも防げますかね? はっはっはっは」

 スキンヘッドの悪魔は嬉しそうに笑う。
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