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第42話 霊界への門
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「さあ、行きますよ」
そう言って悪魔が手を上げた時だった。巨大な槍が宙に浮かんでいる塊に突き刺さり、そのままレヴァイアタンを巻き込んで地面に叩き落とす。
「あれはロンギヌスの槍! ということは、おっさん!」
ロック鳥を落とそうとしたガドランド最大の対空魔法。その巨大な槍はドラゴンすら落とすと言われている。
「待たせたな。お前ら」
四人の師匠にして親である男がそこに立っていた。美しいエルフの女性を後ろに従えて。
「師匠!」
「親父!」
「ガーさん! やった?」
「まだだ。あれぐらいで、死んでくれれば、お前らもここまで苦労しないだろう」
ガドランドの言葉に呼応するように、巨大な木々や岩の塊は一瞬で塵となり、そこにはレヴァイアタンが何もなかったように立っていた。
「不意打ちはひどいですね。いやいや、まだこんな人間がいるとはね。楽しくなってきましたね」
「悪いが、楽しんでいる暇はないぞ」
ガドランドが地面を蹴ってレヴァイアタンの両腕を切り落とし、袈裟斬りをする。
「ガーさん、そいつすぐ回復しちゃう」
「わかってる」
ガドランドは胸の傷口に手を突っ込むと、中から拳ほどの大きさの玉を取り出した。血に濡れた青い玉は中に黒い炎が揺らめいていた。それはフリートの秘宝。
「キサマ! それを返せ!」
それまでの余裕がどこに行ったのか、焦り始めたレヴァイアタンは切り落とされた手を伸ばそうとする。それだけで、それが悪魔の弱点だと言っているようなものだった。
「持っていてくれ」
ガドランドはフリートの秘宝をアマンダに投げ渡す。
「ウェイン!」
「はい! 師匠」
ガドランドに合わせて、何回も剣を振る騎士。ふたりの剣戟にレヴァイアタンは粉々の肉片に姿を変える。
「まだだ、肉体と霊体を引き離す!」
ガドランドは集まろうとする肉片の中心に手を突っ込むと、黒いモヤの塊を肉片から引っ張り出す。
「ロレンツ! クリス!」
「光の牢獄」
「炎の爆弾」
黒いモヤが離れた肉片を光の丸いドームに閉じ込め、炎の爆弾を放り込む。
「火力が足りねえ。おっさん、頼む」
「任せろ、地獄の炎!」
ガドランドは左手を光のドームに突っ込むと、手のひらから青い炎がドーム内を満たす。一万度以上の高温の炎。ドームの中でどんどんと温度を上げるガドランドの左手もダメージを受ける。
光のドームから手を引き抜くと、骨が見えるほど焼けただれていた。
「ぐぁぁああー!」
痛みに耐えながら、肉片を燃やし尽くす。
「ガーさん!」
ルカは慌ててその手に、ハイポーションをかける。クリスが封印魔法に集中している。そんな時の回復はルカが行う。
全て燃やし尽くしたあと、光のドーム内の炎は消えてなくなった。
「ああ、私の肉体が! ならば、他の肉体を」
黒いモヤの塊となった嫉妬の悪魔は、魔力が豊富で安全そうな個体へ襲いかかる。つまり、アマンダが次の標的になった。
「悪いな。てめえの汚い手で、この人を触らせる訳にはいかねんだよ!」
ガドランドは焼けただれた左手で霊体になっているレヴァイアタンを掴むと、腰に差してある短剣を抜く。この世のものと思えない七色に妖しく光る短剣。ダンジョンの中でアマンダに見せたあの短剣だった。
「我、ガドランド・ラッセルの名において、風、地、火、水、日、闇の偉大なる精霊王との盟約に置いて、霊界の門を開け!」
ガドランドは暗闇の空中に六芒星を描き、その中心に短剣を刺しまわす。それは霊界への鍵を開ける行為だった。
そう言って悪魔が手を上げた時だった。巨大な槍が宙に浮かんでいる塊に突き刺さり、そのままレヴァイアタンを巻き込んで地面に叩き落とす。
「あれはロンギヌスの槍! ということは、おっさん!」
ロック鳥を落とそうとしたガドランド最大の対空魔法。その巨大な槍はドラゴンすら落とすと言われている。
「待たせたな。お前ら」
四人の師匠にして親である男がそこに立っていた。美しいエルフの女性を後ろに従えて。
「師匠!」
「親父!」
「ガーさん! やった?」
「まだだ。あれぐらいで、死んでくれれば、お前らもここまで苦労しないだろう」
ガドランドの言葉に呼応するように、巨大な木々や岩の塊は一瞬で塵となり、そこにはレヴァイアタンが何もなかったように立っていた。
「不意打ちはひどいですね。いやいや、まだこんな人間がいるとはね。楽しくなってきましたね」
「悪いが、楽しんでいる暇はないぞ」
ガドランドが地面を蹴ってレヴァイアタンの両腕を切り落とし、袈裟斬りをする。
「ガーさん、そいつすぐ回復しちゃう」
「わかってる」
ガドランドは胸の傷口に手を突っ込むと、中から拳ほどの大きさの玉を取り出した。血に濡れた青い玉は中に黒い炎が揺らめいていた。それはフリートの秘宝。
「キサマ! それを返せ!」
それまでの余裕がどこに行ったのか、焦り始めたレヴァイアタンは切り落とされた手を伸ばそうとする。それだけで、それが悪魔の弱点だと言っているようなものだった。
「持っていてくれ」
ガドランドはフリートの秘宝をアマンダに投げ渡す。
「ウェイン!」
「はい! 師匠」
ガドランドに合わせて、何回も剣を振る騎士。ふたりの剣戟にレヴァイアタンは粉々の肉片に姿を変える。
「まだだ、肉体と霊体を引き離す!」
ガドランドは集まろうとする肉片の中心に手を突っ込むと、黒いモヤの塊を肉片から引っ張り出す。
「ロレンツ! クリス!」
「光の牢獄」
「炎の爆弾」
黒いモヤが離れた肉片を光の丸いドームに閉じ込め、炎の爆弾を放り込む。
「火力が足りねえ。おっさん、頼む」
「任せろ、地獄の炎!」
ガドランドは左手を光のドームに突っ込むと、手のひらから青い炎がドーム内を満たす。一万度以上の高温の炎。ドームの中でどんどんと温度を上げるガドランドの左手もダメージを受ける。
光のドームから手を引き抜くと、骨が見えるほど焼けただれていた。
「ぐぁぁああー!」
痛みに耐えながら、肉片を燃やし尽くす。
「ガーさん!」
ルカは慌ててその手に、ハイポーションをかける。クリスが封印魔法に集中している。そんな時の回復はルカが行う。
全て燃やし尽くしたあと、光のドーム内の炎は消えてなくなった。
「ああ、私の肉体が! ならば、他の肉体を」
黒いモヤの塊となった嫉妬の悪魔は、魔力が豊富で安全そうな個体へ襲いかかる。つまり、アマンダが次の標的になった。
「悪いな。てめえの汚い手で、この人を触らせる訳にはいかねんだよ!」
ガドランドは焼けただれた左手で霊体になっているレヴァイアタンを掴むと、腰に差してある短剣を抜く。この世のものと思えない七色に妖しく光る短剣。ダンジョンの中でアマンダに見せたあの短剣だった。
「我、ガドランド・ラッセルの名において、風、地、火、水、日、闇の偉大なる精霊王との盟約に置いて、霊界の門を開け!」
ガドランドは暗闇の空中に六芒星を描き、その中心に短剣を刺しまわす。それは霊界への鍵を開ける行為だった。
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