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第46話 アマンダの後始末
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アマンダたちが街を去ってから、ガドランドはアマンダがだまし取ったお金の返却の手伝いをお願いするために、おネエ保安官のタレニアの元を訪れていた。
「あら、あんた、あの時の……」
「ガドランドだ。あの変な化粧はやめたんだな。そっちの方がよっぽどいいと思うぞ」
「あら? あたしに惚れたの? あら残念。あたしの好みじゃないのよね。それよりもなにか用事があったんじゃないの?」
「ああ、それは……」
既にルカの調査により、アマンダがだまし取った先は判明していた。あとはその返却方法だった。
ガドランドが力ずくで押さえつけるという手もある。領主の力を借りるというやり方もある。しかし、一番穏便なのは彼ら、裏稼業の連中と太いパイプを持つ保安官を通した方が、スムーズにことが運ぶ。
「それくらい、お安い御用よ。あなたには貸しもあるからね」
タレニアはあの日、ガドランドを傷つけた負い目がある。ガドランドのお願いは、いとも簡単に叶えられた。
いくら裏稼業の男たちとはいえ、金が返ってくる上、保安官とこの街最強のガドランド一家を敵に回す者はいなかった。
~*~*~
「おお、ガド。今回はご苦労だったな」
ガドランドは領主カールスバーグ公へ一連の騒動の報告を行った。マリウスがアマンダに貢いでいた話はうまくごまかして。
「わかった。教会については、危険思想に染まっている者がいないか極秘に調査するようにしよう。奴隷商に関しては引き続き、保安官たちにお願いするしかないのだがな」
「そのあたりは領主にお任せいたします。あと、マリウス様に個人的なお話があるのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、マリウスか。最近なんだか元気がなくてね。君からも元気付けてやってもらえないか」
「分かりました」
自室で引きこもっているマリウスのもとに一人で訪れた。
そこでガドランドはアマンダがエルフであること、そして奴隷を買い戻すためにマリウスに貢がせていたこと。奴隷は無事に解放されて、だまし取った金の返却をガドランドに依頼したこと。そしてアマンダは酒場の仕事をやめてエルフの村へ帰っていってしまったことを包み隠さず説明した。また、父親のカールスバーグ公にはマリウスが今回の件に関わっていることは黙っていることも合わせて話をしたのだった。
「そうですか。ひと時の淡い夢だったのですね」
傷心のマリウスに多くを語らず、ガドランドは金を返却すると帰って行った。
「あら、あんた、あの時の……」
「ガドランドだ。あの変な化粧はやめたんだな。そっちの方がよっぽどいいと思うぞ」
「あら? あたしに惚れたの? あら残念。あたしの好みじゃないのよね。それよりもなにか用事があったんじゃないの?」
「ああ、それは……」
既にルカの調査により、アマンダがだまし取った先は判明していた。あとはその返却方法だった。
ガドランドが力ずくで押さえつけるという手もある。領主の力を借りるというやり方もある。しかし、一番穏便なのは彼ら、裏稼業の連中と太いパイプを持つ保安官を通した方が、スムーズにことが運ぶ。
「それくらい、お安い御用よ。あなたには貸しもあるからね」
タレニアはあの日、ガドランドを傷つけた負い目がある。ガドランドのお願いは、いとも簡単に叶えられた。
いくら裏稼業の男たちとはいえ、金が返ってくる上、保安官とこの街最強のガドランド一家を敵に回す者はいなかった。
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「おお、ガド。今回はご苦労だったな」
ガドランドは領主カールスバーグ公へ一連の騒動の報告を行った。マリウスがアマンダに貢いでいた話はうまくごまかして。
「わかった。教会については、危険思想に染まっている者がいないか極秘に調査するようにしよう。奴隷商に関しては引き続き、保安官たちにお願いするしかないのだがな」
「そのあたりは領主にお任せいたします。あと、マリウス様に個人的なお話があるのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、マリウスか。最近なんだか元気がなくてね。君からも元気付けてやってもらえないか」
「分かりました」
自室で引きこもっているマリウスのもとに一人で訪れた。
そこでガドランドはアマンダがエルフであること、そして奴隷を買い戻すためにマリウスに貢がせていたこと。奴隷は無事に解放されて、だまし取った金の返却をガドランドに依頼したこと。そしてアマンダは酒場の仕事をやめてエルフの村へ帰っていってしまったことを包み隠さず説明した。また、父親のカールスバーグ公にはマリウスが今回の件に関わっていることは黙っていることも合わせて話をしたのだった。
「そうですか。ひと時の淡い夢だったのですね」
傷心のマリウスに多くを語らず、ガドランドは金を返却すると帰って行った。
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