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第45話 四人の会議
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時は少し戻り、嫉妬の悪魔レヴァイアタンが霊界へと送り返された満月の美しい夜。
ガドランドは治療を終えて、深い眠りについた頃、四人のイケメンはリビングに集まっていた。
議題は、たったひとつだ。アマンダがガドランドにふさわしいかどうか。
「私は断固反対だ。あの女性はそもそも嘘を吐いて師匠に近づいた。どんな理由があれ、師匠に対して嘘をつく人間はふさわしくない」
口火を切ったのは正統派騎士のウェイン。渋い表情を作り強い口調で言い切った。
「俺も反対だ。あの女、これまでどれだけ男をたらしこんでいるか、わかりゃしねえ。おっさんには、もっと清楚な女が似合っている」
ワイルド系色男のロレンツは、特徴的な太い眉をへの字にして賛同する。
「ルカも無しだな。戻ってきたとは言え、金をだまし取ろうとする人間は信用できないかな」
さわやかな幼顔のルカは、その茶色い巻き毛を人差し指でくるくると弄びながら答える。
「これまで、みんな意見は一緒か。クリスはどうだ? 同じエルフとしての意見も聞きたい」
三人は中性的な優男のクリス意見を待つ。
「僕も反対」
これで全員一致の意見だが、同じエルフなのになぜ反対するのか、三人には謎だった。
「理由は?」
「あのひと、ババア。おそらく百歳以上」
「はぁー!!!!」
「本当?」
「年上だとは思っていたけど、そんなに上とは」
エルフ族は非常に長寿な種族である。人族の倍以上の寿命を持ち、成人までは人と変わらず成長するが、その後はゆっくりと老ける。
人間の目には二十代後半に見えるアマンダだったが、エルフのクリスの見立てでは最低でも百歳を超えている。
「それじゃあ、満場一致で……」
ロレンツが全員の意見をまとめようとしたとき、控えめなノックが玄関から聞こえてきた。
ドアを開けるとそこには百歳以上を生きる女性エルフが立っていた。
「夜分遅くすみません。ガドランドさんにお話が……明日には旅立ってしまうので」
その瞳は誰が見てもどう見ても恋する乙女の瞳だった。
「おっさんはもう寝てるが、どんな用だ? まさか、愛の告白じゃないだろうな。あんたはおっさんにはふさわしくない。そもそもあんたの目的は、もう果たせただろう。悪いが帰ってくれ」
ロレンツの厳しい言葉にほかの三人は無言で賛同する。
わかっていたことだった。そもそも嘘をつき、彼らを巻き込んだのはアマンダのほうだ。利用し、利用価値がなくなれば、おさらばするだけの関係のつもりだった。
しかし、芽生えてしまったこの気持ちを伝えたかった。
人のいいガドランドならば、素直にこの気持ちを伝えたらすべてを水に流して受け入れてくれるかもしれない。そんな淡い期待をもっていたのは否定できない。しかし、ガドランドの四人の子供たちに、ここまできっぱりと拒否の意思を見せられて、逆に吹っ切れた。
「そうですね。あの人と別の形で出会えたらよかった……いや、別の形で出会ったとしたら、私にあの人の本当の良さが分かったかどうか……ありがとうございます。私は、ずるい女でした」
自分でも、受け入れられるとは思っていなかった。ただのわがままだと。
自分に納得させるように四人にそう言ったガドランドに恋した女性は、もうひとりのエルフの方を向く。
「クリスさん。私、あの人にエルフの村へ連れて帰るように言われたの。そのときは私も同じエルフとして……人の世界で過ごしたエルフとしてそれが良いと思っていたわ。でも……あなたはもう、この家の家族なのよね」
クリスは静かにうなずく。
「そうよね。でも、気が向いたらでいいから、一度、エルフの村へ遊びにいらっしゃい」
アマンダはあえて帰るという言葉を使わなかった。それが、アマンダにできるクリスへの最大の気遣いだった。
「分かった」
アマンダはそれだけ聞くと夜の街へと帰って行ったのだった。
ガドランドは治療を終えて、深い眠りについた頃、四人のイケメンはリビングに集まっていた。
議題は、たったひとつだ。アマンダがガドランドにふさわしいかどうか。
「私は断固反対だ。あの女性はそもそも嘘を吐いて師匠に近づいた。どんな理由があれ、師匠に対して嘘をつく人間はふさわしくない」
口火を切ったのは正統派騎士のウェイン。渋い表情を作り強い口調で言い切った。
「俺も反対だ。あの女、これまでどれだけ男をたらしこんでいるか、わかりゃしねえ。おっさんには、もっと清楚な女が似合っている」
ワイルド系色男のロレンツは、特徴的な太い眉をへの字にして賛同する。
「ルカも無しだな。戻ってきたとは言え、金をだまし取ろうとする人間は信用できないかな」
さわやかな幼顔のルカは、その茶色い巻き毛を人差し指でくるくると弄びながら答える。
「これまで、みんな意見は一緒か。クリスはどうだ? 同じエルフとしての意見も聞きたい」
三人は中性的な優男のクリス意見を待つ。
「僕も反対」
これで全員一致の意見だが、同じエルフなのになぜ反対するのか、三人には謎だった。
「理由は?」
「あのひと、ババア。おそらく百歳以上」
「はぁー!!!!」
「本当?」
「年上だとは思っていたけど、そんなに上とは」
エルフ族は非常に長寿な種族である。人族の倍以上の寿命を持ち、成人までは人と変わらず成長するが、その後はゆっくりと老ける。
人間の目には二十代後半に見えるアマンダだったが、エルフのクリスの見立てでは最低でも百歳を超えている。
「それじゃあ、満場一致で……」
ロレンツが全員の意見をまとめようとしたとき、控えめなノックが玄関から聞こえてきた。
ドアを開けるとそこには百歳以上を生きる女性エルフが立っていた。
「夜分遅くすみません。ガドランドさんにお話が……明日には旅立ってしまうので」
その瞳は誰が見てもどう見ても恋する乙女の瞳だった。
「おっさんはもう寝てるが、どんな用だ? まさか、愛の告白じゃないだろうな。あんたはおっさんにはふさわしくない。そもそもあんたの目的は、もう果たせただろう。悪いが帰ってくれ」
ロレンツの厳しい言葉にほかの三人は無言で賛同する。
わかっていたことだった。そもそも嘘をつき、彼らを巻き込んだのはアマンダのほうだ。利用し、利用価値がなくなれば、おさらばするだけの関係のつもりだった。
しかし、芽生えてしまったこの気持ちを伝えたかった。
人のいいガドランドならば、素直にこの気持ちを伝えたらすべてを水に流して受け入れてくれるかもしれない。そんな淡い期待をもっていたのは否定できない。しかし、ガドランドの四人の子供たちに、ここまできっぱりと拒否の意思を見せられて、逆に吹っ切れた。
「そうですね。あの人と別の形で出会えたらよかった……いや、別の形で出会ったとしたら、私にあの人の本当の良さが分かったかどうか……ありがとうございます。私は、ずるい女でした」
自分でも、受け入れられるとは思っていなかった。ただのわがままだと。
自分に納得させるように四人にそう言ったガドランドに恋した女性は、もうひとりのエルフの方を向く。
「クリスさん。私、あの人にエルフの村へ連れて帰るように言われたの。そのときは私も同じエルフとして……人の世界で過ごしたエルフとしてそれが良いと思っていたわ。でも……あなたはもう、この家の家族なのよね」
クリスは静かにうなずく。
「そうよね。でも、気が向いたらでいいから、一度、エルフの村へ遊びにいらっしゃい」
アマンダはあえて帰るという言葉を使わなかった。それが、アマンダにできるクリスへの最大の気遣いだった。
「分かった」
アマンダはそれだけ聞くと夜の街へと帰って行ったのだった。
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