異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

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第1話 四十才童貞って大魔法使いだっけ?

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 ここは、剣と魔法と魔王の世界。
 勇者として、この世界に転生された俺の名は伊江いえまもる
 最近の異世界物のはやりは「お前はクビだ!」から始まるのだろうけれど、俺はちょっと違うぜ。
 いきなり、物理的ににされそうになっている。
 俺は胃液を口から垂らしながら、左右から兵士に後ろ手で床に押さえつけられ、頭上には今にも振り下ろされそうな斧が怪しく光る。
 それを冷たく見下ろす醜き王。そして四人の勇者と五人の王女たち。
 そして、俺の首が飛ぶのを今か今かと歓喜の声を上げる貴族たち。
 たった一人、処刑の中止を王へ叫ぶ黒髪の小さな王女。

 さて、俺の首と胴が離れる前に、なんでこうなったか思い出してみよう。

~*~*~

 俺は長年ニート、もとい自宅警備隊ニート! 結局ニートかい。 と一人ボケ突っ込みしているのは伊江いえまもる、三十九才。
 明日、四十才になる引きこもりニートである。ちなみに童貞である。
 三十才魔法使いになれなかったので、このまま四十になっても大魔法使いにはなれないと悟った守は、一大決心をした。
 この日のために親から、くすねた金を握りしめて、風俗店へと向かう夜八時。
 電車に乗れば、池袋に九時までには付けるはずだ。久しぶりの外の風に思わず、大好きな宇宙刑事シリーズのオープニング曲を口ずさんでいた。

「お! こんなところに亀が……珍しいな」

 サッカーボールほどの大きさの亀が、道路を横切ろうとしていた。
 ここはそれほど交通量は多くないが、全く車が通らないわけでもない。
 こりゃ、危ないな。そう思った瞬間、トラックが走ってきた。はい、トラックです。異世界転生でおなじみの。
 俺は特撮ヒーローさながら、道路に飛び出し、亀を助けようとする。
 いけるか? 運動不足のアラフォーが。
 クラクションとブレーキ音が夜空に響き渡る。
 間一髪、亀を捕まえると、そのままの勢いで道路の向こうへ走る。
 夜の道路。なぜか開いているマンホール。亀を抱えた童貞アラフォーニートはマンホールの闇に吸い込まれてしまったのだった。

~*~*~

 俺が目を覚ますと、そこは竜宮城ではなく……どこだ、ここは?
 四角いタイルを敷き詰めた四角い舞台。なにやら建物があり、屋根に大きな看板が付いていた。

「天下一武道会? これって……」
「目が覚めましたか?」

 建物の陰から出てきたのは、一人の老人だった。
 おいおい、テンプレではここは女神だろうよ。なんでサングラスにつるっぱげで髭の長い爺さんが出てくるんだよ。ご丁寧に背中に亀の甲羅をしょって、杖まで持ってよ。コスプレか?

「あんたは? いや、名前はいいや、いろいろ面倒になりそうだから、それで俺はどうなったんだ? ここはどこだ?」
「私はあなたに助けられた亀です。亀といってもただの亀ではないんですよ。千年生きた亀千年かめせんねんです。千年生きたお祝いに神様の眷属になったのですが、ちょっとした手違いであんなところにいたのですが、車にひかれそうになり、助けていただいてありがとうございます」
「その手違いってなんだ」
「ちょっとパンティが欲しくなって、竜神にパンティをお願いしようと……」

 ちょっと待て、ちょっと待て、若干違うがそれってあれか? DBってやつか? データーベースとは違う方の。やばいやばい、このままいくと宇宙の戦士に殺されそうだ。

「あんたの話は分かったから、もう深くは突っ込まない。それでここはどこで、俺はどうなったんだ?」
「ここは精神と時の……」
「ストーップ! 分かった。俺が悪かった。だからそれ以上言わないでくれ。俺はどうなったか? これからどうなるのかだけ教えてくれ」

 危ない、まだ怒られないギリギリの線だろう。

「私を救ってくれた心優しいあなたにお願いがあります。ある世界に勇者として転生していただきたい。魔王が世界を征服しようとしています。あなたの力で世界を救ってください」

 はい、来ましたよ。異世界転生。魔王を倒す系か~。のんびりもふもふスローライフ系じゃないのね。まあいいや。それならそれで、なにか転生特典があるのだろう。スマフォとか、盾とか、死に戻りとか。

「そうか、でもこのまま転生したってすぐ死んじまう、ひ弱系現代人だぜ。なにか特典はあるんだろうな」
「それはもちろん、元気玉とかめはめ波を……」
「いやいや、いい加減、DBから離れろ。俺が欲しいのは三つだ。若く頑丈な肉体と言語理解能力、そしてコンバットスーツが欲しい」
「コンバットスーツと言いますと?」

 俺はDBマニアの亀千年にコンバットスーツについて事細かく説明した。
 簡単に言うと機械仕掛けの魔法の鎧。オーバーテクノロジーの塊である。
 俺が大好きな宇宙刑事が身につけているスーツのことだ。

「了解しました。では、これからあなたは勇者として王女に召喚されます。何卒、魔王を倒して平和な世界を取り戻してください」

 こうして俺は光に包まれて、転生したのだった。
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