異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

文字の大きさ
3 / 52

第3話 異世界転生も楽じゃない

しおりを挟む
 今日一番のざわつき。
 え!? レベル一って普通の人? いや、それ以下? 武具不明って、おいおい。俺はコンバットスーツを持ってるぞ。しっかり鑑定してくれよ。まあ、実戦に出れば俺が一番役に立つって、わかるだろうから、まあ良いか。

「ノアール! 何なんだ、こいつは! 本当は勇者召喚などできなかったから、そのへんの村人を連れてきたんだろう!」

 王様、なんで怒っているの?

「これだから、妾の子は」

 茶色の髪の毛ということは、土の勇者の王女様かな。
 妾の子ってノアールのことか? だから、他の王女と年が離れているのか?

「汚れた血で召喚した勇者ってやっぱり、役立たずなのね」

 水の王女が冷たく言い放つ。
 いやいや、実力を見ないで、鑑定だけで決めないでくれよ。

「ノアールよ。この不祥事の責任、どう取るつもりだ」
「待ってください、お父様」
「国王だ!」

 王の見る目は娘に対する暖かい物ではなかった。俺はその目を知っている。出来の悪い部下を見る駄目上司の冷たい目だ。

「国王陛下、鑑定の間違いではないでしょうか? わたくしは勇者召喚に成功しました。メイドのメイが証人です」
「メイドなど証人になどならん。本当に召喚した勇者がこんな役立たずだったのならば、そちらの方が大問題だ。失敗したのならば、やり直せばいい。しかし、一度しか出来ない勇者召喚でこんなクズを召喚したのであれば、お前自身の資質の問題だ。この勇者もどきだけでなく、お前も処分しなければならない」

 ん? 俺が本物の勇者だと認められれば、俺もノアールも処分。俺が替え玉だと言えば、ノアールは助かる。しかし、実際には召喚は成功しているから、二度と召喚は成功しない。あれ? どっちに転んでも二人とも終わっていない?

「それでも、マモルは勇者です。私が召喚した、れっきとした闇の勇者です。今はレベルが低いかもしれませんが、勇者として召喚されたマモルをわたくしは信じます」

 小さな女の子とは思えない、凛として真っ直ぐ、絶対君主の王に意見を言う。

「わたくしは処分されても構いません。しかし、マモルに関しては勇者として扱っていただきますようお願いいたします!」

 笑い声が響く。二階の貴族たちだけでなく、姉妹であるはずのその他の王女からも。黙っているのは緑色の髪の王女だけだった。
 おいおい、こんな小さい子の必死の願いをあざ笑うのかよ。人間として終わっているぜ、お前ら。

「分かった」

 その反応を見て、王様は低い響き渡る声で言った。
 とりあえず、俺はおとがめなしか?

「闇の勇者はこの場で処分。第五女ノアールは再度、勇者召喚を行い。失敗、もしくは再度、無能勇者を召喚した場合は処分とする」

 うぉぉぉーーー!!!
 王の間はどちらとも取れない叫び声で埋め尽くされる。
 あれ? とりあえず、俺、殺される? 勇者だよね、俺。それも、わざわざ召喚された。
 やっべ、逃げないと。
 俺が逃げ出そうと立ち上がった瞬間、首に剣先を突きつけられる。
 水の勇者は冷たい青色の瞳で俺を睨んでいた。

「神聖なる勇者を語る偽者め。嘘が暴かれたからと言って逃げ出すとは何事だ」
「ちょっと、待ってくれ。俺の話を聞いてくれ!」

 俺は水の勇者に話しかける。しかし、返事をしたのは別の奴だった。

「まあ、たかだか詐欺師に、武器を使うのはどうかと思うぞ」

 そう言って土の勇者はそのガタイの良さそのままの、くっそ重いボディーブローを俺に打ち込む。
 俺は胃液を吐き出して悶え苦しんだ。

「殺せ! 殺せ!」
「首を刎ねろ! 刎ねろ!」

 貴族たちが無責任に煽る。
 おい、マジか! 俺が何をしたって言うんだよ!

「衛兵!」

 左右に控えていた兵隊が俺に群がる。後ろ手に押さえつけられて、首を前に突き出させられる。

「ちょっと待て、俺の話も聞いてくれ! なあ、王様!」
「暴れるな。苦しむだけだ」
「やめてください。マモルの話も聞いてあげて!」

 黒髪の王女が叫ぶように王に嘆願する。
 しかし、国王は醜い物でも見るような目で、首を横に振った。
 他の勇者達も様々な表情で俺を見ていた。

~*~*

 さあ、斧が振り下ろされるまでに回想は終わったな。
 ここで、冒頭に戻ったよ。
 さて、さすがに誰も助けてくれなさそうだから、自分でどうにかするか。
 そうして、とうとう斧が振り下ろされる瞬間、俺は行動に出た。

「蒸着!」

 俺の言葉とともに体が光り、0.05秒でコンバットスーツが装着される。
 振り下ろされた斧は、コンバットスーツに弾かれる。
 俺が大好きな特撮の宇宙刑事がつけている戦闘強化服。
 銀色の金属で全身を包み、部分的にライトが光っている。いろいろな機能が内蔵されている機械仕掛けの魔法の戦闘強化服。
 レベル一の無能勇者だと判定されていたとしても、コンバットスーツさえ着れば無敵なはずだ。
 俺は、押さえつけている兵隊を跳ねのけて、起き上がる。

「あ、悪魔!」
『チュートリアルを開始しますか?』

 王の言葉とコンバットスーツのナビ声が重なる。

「後で」
『了解しました』
「何なんだ! お前は!」

 水の勇者の言葉を無視する。おまえ、さっき俺の話を無視したよな。
 俺はとりあえす、王に話しかける。

「王様!」
「な、なんだ」
「ふざけるな! このくそじじぃ! いきなり殺そうとしやがって! 今、謝るなら許してやる。ここに土下座して謝りやがれ!」
「ふ、ふざけるな! ワシを誰だと思っている! この反逆者を殺せ! 勇者たちも、やつを殺せ!」

 やっぱり、素直に謝らないか。それなら、仕方がない。このまま王様をぶっ飛ばしてもいいのだが、指名手配になるわけにはいかないし、何より、この勇者たちの実力がいまいちわからない。
 ここは逃げの一手か。
 俺は光の剣レーザーブレードを抜き、最寄りの壁へと飛ぶ。
 ザッシュ!
 壁が豆腐のように切り刻まれ、外の空気が流れ込む。
 ずっと、建物の中にいたため、気がつかなかったのだが、今の時間は夜だった。
 都合がいい。

「詐欺師め、逃げる気か!」

 ガタイの良い土の勇者が俺を挑発する。
 あ、忘れ物をしていた。

「ぐぁ!!」

 俺は土の勇者の腹に一発入れる。
 クの字になったまま壁に激突する。俺は胃液だったが、奴は血を大量に吐いた。
 骨が折れて、内蔵が傷ついたのだろう。

「一発は一発だからな。それから、そこのくそ国王! てめえへのお礼参りはまた後日だ! 人の話も聞かずに殺そうとしやがった報いは受けてもらうからな」

 とりあえず、土の勇者にお返しをした後、闇夜に紛れて、俺は城から離れた。
 異世界生活一日目。
 命を狙われるの巻。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...