異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

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第5話 異世界の猫娘は名前で呼ばれたい

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「魔王軍ってなんで人間界に攻め込んでいるんだ?」
「え、成長戦略だニャ」

 ネーラは焼きたての魚をハフハフと食べながら、普通に答える。

「魔王軍が成長するにあたり、領土を広げ、農地を増やし、経済活動を活発にするためだニャ」
「え! なんか人に恨みがあったりとかじゃ無くて?」
「恨み言だけで何十万人の魔族は動かせないニャ。みんな、それぞれに家族があって、生活があるニャ」

 そういえば、ゲームとかの魔王ってなんで恨みだけで、世界を巻き込む大戦なんぞ引き起こすんだろうな。それについて行く部下も頭沸いてるな。

「じゃあ、魔王軍に占領された村や町はどうなっているのだ?」
「魔王軍の統治部の方々が管理しているニャ。施政のトップは魔族になり、法務部が新しい法律を人間に浸透させて、管理しているニャ。人間って人治国家だニャ。トップの気分次第でどうにでもなるから不正が多くて、法治国家を浸透させるのが大変だって同期がボヤいていたニャ。ああ、その子は法務部の係長だニャ」

 やっぱり、こいつは魔王軍の中でもポンコツか?
 しかし、こいつの話だけ聞くと魔王軍の方が王国よりまともそうだな。

「状況はどうなんだ? 魔王軍と王国の戦況は?」
「我が魔王軍は右上がりの成長線をとっているニャ。毎年、ノルマの十パーセントアップしてるニャ。でも、成長しすぎて、インフレ気味になっているって財務部が心配していたニャ。この調子で行けば、十年以内にこの大陸の人族の領土を全部取っちゃうから、海外戦略を考えなきゃ行けないニャ。去年、海外戦略計画部が立ち上がって、海外の市場調査をしているって言っていたニャ」
「その子も係長か?」
「いえ、専属課長って言っていたニャ。どうしてニャ?」
「いや、いい」

 聞けば聞くほどネーラだけが出世していないようで、同情してしまう。

「でも、人間も起死回生を狙って、勇者を召喚したって聞いたけど大丈夫なのか?」
「もう、召喚しちゃったのかニャ? その情報収集であたいが出張に来たニャ。四人の王女が勇者召喚するって情報を得ているニャ」

 しかし、こいつ秘密情報保守のコンプライアンスは教育されていないのか? 簡単に喋ってくれるな。

「ん、王女は五人じゃないのか?」
「ああ、闇の王女のことニャ? あの子は勇者召喚の儀式すら、させてもらえるかどうかわからないニャ」
「なんで?」
「だって、あの子は魔族との混血だからニャ。人間の王様が魔王様との取り引き材料に使うために、捕虜にした魔族に産ませた子だニャ。まあ、魔力が強いって聞いているから、上手く勇者を召喚出来たら、立場は改善されるかもしれないニャ」

 だから他の王女から、あんな風な扱いを受けていたのか。

「じゃあ、その勇者が役立たずで、王様に悪態をついて、逃げたりしたら?」
「殺されるんじゃないのかニャ? 闇の王女の処刑なら魔族への見せしめも兼ねて、民衆の前でギロチンが王道かニャ?」

 げ、やっちまったか? でもあのままだったら俺も殺されていたから、仕方がない。

「ちなみに殺されるのって王女だけ?」
「御付きもみんな殺されるのじゃないのかニャ? 御付きから殺されて、その恐怖から王女が濡れ衣を認めて命乞いニャ。そして殺される。って筋書きじゃないのかニャ? 人間たちならニャ」

 え、じゃあメイドのメイさんが真っ先に殺される?
 俺の性癖どストライクのメイさんが!?
 それはいかん! 助けに行かねば。

「処刑が行われるとしたら、どこだ?」
「多分、街の真ん中の処刑広場だニャ。まさか、さっきの話って例え話じゃなくて、本当なのニャ?」
「ああ、その通り。俺が逃げた闇の勇者だ」

 ネーラは猫の俊敏さそのものに、飛び退くと尻尾をピンと立てて俺を威嚇する。食べかけの魚を手に。

「あんた、敵だったのニャ?」
「おいおい、落ちついて俺の話を聞けよ。敵だったら助けたり、ご飯一緒に食べたりしないだろう」
「確かに……じゃあ、味方なのかニャ?」

 臨戦態勢を崩さないまま、こちらの話を聞こうとする。よしよし、とりあえず、聞く気はあるな。

「味方じゃないけど、敵でもないんだよ。そもそも、さっきこの世界に召喚されたばっかりだからな」
「そうなのかニャ。でもなんでこんなところにいるニャ? さっきの話だとあなた役立たずって言っていたけど、フェンリルを一撃で倒して役立たずってあり得ないニャ。他の勇者ってどれだけやばい存在ニャ?」
「さ~ね。一人はたいしたことなかったけどな。その話は後だ。さっきの話が本当なら、ちょっと助けに行きたいのだけど手伝ってくれないか? 人間に不利益になるなら、お前たちの利益になるだろう」
「闇の王女を助けに行くのニャ?」
「いいや」

 へ? と不思議そうな顔でこちらを見る黒猫耳獣人のネーラ。

「別に王女はどうでもいいんだよ。幼女に興味は無いから……それよりも闇の王女のメイドをね」
「そのメイドに何かのっぴきならない恩でもあるのかニャ?」

 ネーラは真剣な瞳で問いかける。
 俺は黒髪清楚な眼鏡巨乳メイドを思い出していた。

「俺の性癖ど真ん中何だよ。巨乳メイドってだけ神なのに、黒髪清楚で唯一神。それに眼鏡が付くともう世界の至宝。メイさんを失ったら何のために異世界転生したのか分からないんだよ」
「はぁ!? 性癖? 神? 至宝? そんな人が人間界にいるのニャ? それは魔族の脅威のはずなのに、情報が入ってきてないニャ」
「ああ、俺にとっての至宝であって、魔族には普通の人だと思うけどな。それより手伝ってくれるよな。あの狼から助けてやったし、飯も食わせてやったのだからな」
「わかったニャ。でも一点だけ確認したいニャ」

 やはり、助けてやったとはいえ、人間である俺を助けるのは簡単じゃないか。

「分かった。何だ」
「マモルはあたいくらいの胸のサイズはどうニャ?」
「……どうって?」
「好みかどうかって言うことニャ。言っとくけど服の上から見える以上に形はいいニャ」

 えーと、童貞に形がどうだこうだ言われても、分かるわけないだろう。しかしそれを言うと童貞がバレる。よし、ここは無難に行こう。

「い、いいんじゃないか? お、俺も無量大数ひじょうにおおくのおっぱいを見てきたが、上位に入るんじゃないかな?」
「イエス! イエスッ! いけるニャ!」

 ネーラは腰のあたりでガッツポーズをして喜んでいる。
 どこに行けるのかよく分からないが、喜んでいるネーラを見ると俺の答えは間違ってい無かったみたいだ。

「それで? 手伝ってくれるのか?」
「しょうが無いニャ。マモルがどうしてもあたいの助けが必要だニャ。それで、あたいは何すればいいのニャ?」
「俺はこれから、街に戻るのだが、どこが処刑場になるか分かるか? あと、逃亡ルートと足がほしい。俺は一人なら十分逃げ切れるが、メイさんを連れていると厳しいかもしれないからな。救出と追っ手の排除は俺がするから、お前はメイさんを連れて逃げてくれ」
「わかったニャ。じゃあ、はぐれた時の合流場所は、ここから川下に三十分ほど行った場所の小屋ニャ。それと……」
「それと?」

 報酬か? しかし、この世界でも金なんて持っていないぞ。

「お前じゃなくて、ネーラって呼んで欲しいニャ」
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