みぱぱのお仕事海外旅行記

三原みぱぱ

文字の大きさ
23 / 38

タイ 社員旅行 後編

しおりを挟む
「サワディ・カップ」

 今日は自由時間です。
 昨日は観光地を回ったので、今日は買い物に行きます。
 さて、今日は何曜日でしょうか? そう、土曜日です。
 タイで土曜日に買い物に行くということは……そう、ウークエンドマーケットです。
 そこは小さな露店が数多く並ぶ市場です。
 色とりどりの衣服。小物が数多く並びます。木彫りや陶器のお土産の数々。
 蒸し暑い気温の中、広すぎて迷ってしまうほどの露店街を、ミネラルウォーター片手に見て回るみぱぱ。

「しゃっちょうさん、そこのしゃっちょうさん。やすいよ!」

 ちょっとおかしな日本語が聞こえてきます。
 もろ、タイ人です、という顔のおじさんがにこやかに話しかけてきます。

「私は社長じゃないですよ」
「しゃっちょうさんじゃない? じゃあ、ぶっださん」
「そう仏陀です。横になった方が良い? ってそれはぶっだじゃなくて、部長だろう。それに部長でもないよ」
「ぶっださん、ちがう? じゃあ、ひらしゃっいんさん、ひとついかが?」

 おじさんは食い下がります。

「誰が平社員だ……あ、平社員です。で、何売ってるの?」
「ガルーダあるよ。ガルーダ知ってる?」
「ああ、大将軍ガルーダだろう。知ってる知ってる」
「だれもコンバトラーVのアンドロイドの話をしていないよ。15体も試作機を作ってたら、商売あがったりだよ」

 おじさんはやれやれと言った顔で俺に言いました。

「じゃあ、もしかしてビックガルーダ!?」
「もう、コンバトラーVネタは良いわ! ガルーダと言ったら神様だよ。ホラ、安くしてやるから買っていけ!」
「え? いくら?」
「ブイブイブイビクトリーで二本でどうね。日本だけに~」
「おい! 結局コンバトラーVかい! よし、買った!」

 木彫りのガルーダ像を買ったみぱぱは上機嫌で他の店を回ります。

「あら、みぱぱさん、上機嫌ですね」

 そこにはちょっと退屈そうな山下さんと社長がいました。

「あれ? 二人とも買い物ですか?」
「まあ、そうですね」
「他の買い物来ている人もいますよ。別のアクティビティに行ってるメンバーもいます」
「あら、そう。みんな楽しそうね」
「楽しいですよ。仕事じゃなくて海外に来れるなんて最高です!」
「その割にはクルーズでは寝てましたけどね」
「アイガー!」
「それを言うならアイヤー! でしょう」

 元気がなさそうな山下さんと社長が気になりますが、海外に関してはみぱぱなんかよりもよっぽど詳しい山下さんのことです。タイなんかは来すぎて退屈なのかも知れません。
 さて、お土産品も買ったみぱぱ達社員一同は夜、ホテルのロビーに集まります。
 最後の夜、社員みんなでタイ舞踊とタイ料理に行きます。もちろん会社持ちです。
 長椅子にみんな座ります。みぱぱの会社だけで無く、他のツアー客も多くいます。
 金キラキンの衣装に身を包んだ女性達。長いつけ爪、頭には塔を乗っけています。
 エキゾチックな音楽が鳴り始めて女性達は妖艶な動きで踊り始めました。
 そしてテーブルには食事が並べられます。
 串焼きや海鮮料理、そしてグリーンカレー。

「みぱぱ、これあげる。ここってタバコ吸えるのかな~」

 森谷さんが、料理をみぱぱにくれました。
 その他の人も次々とみぱぱに料理をくれます。
 タイ料理と言えばパクチー。
 今でこそ日本でもパクチーが一般的になり、好きな人が多いですが、当時はパクチーなど食べ慣れていません。
 おじさんたちを中心にパクチーがきつい料理はみぱぱに回ってきます。
 基本的に何でも食べるみぱぱは次々と料理を平らげていきます。

「みぱぱさん、これ食べますか?」

 同僚の林原さんがグリーンカレーをそっと渡してきます。

「どうしたんですか?」
「辛くて食べられません」

 そう、林原さん、辛いのが苦手です。

「じゃあ、いただきます」

 そう言って、二人前以上の料理を食べてお腹いっぱいになったみぱぱですが、流石に食べ過ぎました。
 げっぷも出ます。

「パクチー臭い」

 次の日の午前中、初めての社員旅行は終わり、帰国しました。

「そういえば、山下さん、体調は大丈夫ですか? ウィークエンドマーケットで会った時、なんだか元気がなかったみたいですが」
「別に体調が悪かったわけじゃないのよ。ただ……」
「ただ、なんですか?」
「せっかくの社員旅行なのに私と社長は誰からも観光に誘われなくて、寂しかったのよ。あの時もみぱぱさんはそそくさとどこか行ってしまうし」

 そう、山下さんと社長は仕事で海外に行きますが、観光ではあまり行ったことがなく、どうしていいか分からなかったようです。
 その上、誰かがオプショナルツアーや観光に誘ってくれるのを待っていたそうです。

「そんなの、言ってもらわないとわからないですよ。山下さん達は海外慣れているので、自分たちでプラン立ててるもんだと思ってましたよ」

 黙っていては誰もわかりませんよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

処理中です...