【R18】死にたがりの山田さん

やまだ

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死にたがりの山田さん

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山田さんは、死にたがり。


「……何してんの山田さん」

雪の中橋の上に立ってボーッと下を眺めていた山田さんに声をかけた。


「…川田くん。ひさしぶり」

「うん、ひさしぶり。はいはい降りて、はいこっち」

振り返った山田さんの手を掴んで降ろし、そのまま手を引いて俺の家に連れてく。


コーヒーを淹れて手渡して、自分も飲みながら話しだす。

「で、今度は何。奨学金とられた?それともまた殴られた?」

「殴られたかな、多分」

「多分?」

「体触られて、逃げてきたから…多分」

「ふーん、やっぱクソだわ」

娘より男をとった母親って、リアルに聞いたら胸糞度半端ない。

カップを両手で持って下を向いたまま、山田さんは死にたいと一言呟く。


「言ってな、今日はどうされたい?」

手からカップを引き抜いてテーブルに置き、顎を掴んで唇を食べる。トロンとした目で山田さんが俺を見る。

「痛くないの……優しくして」

「ん、了解」


優しくね。それなら寝室まで王子様みたいにお姫様を連れて行こう。



「……っ」

「今日感度イイね」

「、ふ…っ」

手で口を塞いで声押さえてんの、つまんね。

「声出して」

山田さんの両手を頭の上で押さえつけようとして、今日は優しくだったと思い直して俺の背中に抱き着かせる。

「だして、さゆき」

「––––は、っあ…」

ヤってる時しか呼ばせてくんない名前で呼んでみたけど、反応良いのに今日は声控えめなのな。

「優しくイかせてあげる」

「っ、あぁっ!」

「その調子」

キスしながらクリトリス触ったらすぐ跳ねる。


弱いところなんか全部知ってる。

「あっ、あ…あっ、かわ…っふ、く…んんぅ」

「気持ちイイ?もう挿れさして」

何回かイかせてから、ゴムを着けて挿れた。


「…あー、気持ちい。今日ヤバイねさゆき。蕩けそう」

すぐ出そう。

射精感をやり過ごして、口内を蹂躙して、好きなトコだけ突き続ける。中ももう痙攣してきた。


「うあ…っ、ん、ふッ…う、」

「イく?俺もう、無理…っは」


出したあと山田さんの横に仰向けで倒れ込んで、二人とも無言の中、息が整うまで動かない。


手だけ繋がってる状態で、山田さんは涙を流す。


「ごめん、ありがと………帰るね」

「もう帰んの」

一人だけ起き上がって制服を着だした彼女に言った。

「うん…あんまり遅いと怒られる」

「何もしなくても変わんねぇじゃん、どうせまたすぐ死にたがんだろ」

「……うん」



山田さんは、死にたがり。


「ねぇ、俺らもう卒業じゃん。もう良いじゃん」


死にたがりのフリをして俺を待つ。


「俺山田さんが可哀想だから慰めてるわけじゃないんだけど」

「川田くん?」


「死ぬとかフリでも出来なくなるし」

今日の俺は優しい王子様だからな。それらしく手をとって指先にキスした。


「幸せにしてあげるよ、咲幸」
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