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戻ってきた元悪役令嬢
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しおりを挟む少しずつ近付いてきたダートと唇を合わせて、お互いにきつく抱きしめる。
息継ぎの間隔が長くなってきて、合間の呼吸がどんどん荒くなっていく。
「…っは、やべぇ頭沸騰しそう」
「好きで頭いっぱい?」
「うん、溢れそうなくらい」
「それじゃあ鼻血も出ないね?」
ダートが目を見開いて、喉を鳴らした。愛情表現って、これが最大だと思うんだ。
「ねぇ、もうそんな痛くないと思わない?こわいのもないよ」
「っ、ディアナ」
「ダートがこわい?」
「怖くねぇ…けど、いきなり」
「寸前まで散々やっといてどこがいきなり?」
「だって、ずっとゆっくり進めてきたのにこんな、宥めるためみたいに」
「そんなつもりないよ、宥めるためとかじゃない」
二人とも同じ気持ちでって言ってくれるから、そんなダートが愛しいなって思う。
同じだけ返したいって気持ちがどんどん強くなって、結構前から先に進んでみたかった。優しいダートに甘えて、自分から言い出さなかっただけ。
俯くダートの顔を覗き込んで口付けて、開かないダートの唇を舌で何回か往復してみた。
「ディアナ」
私の名前だけを呟いたダートがまた私を抱き上げて、そのままベッドまで移動して覆い被さってくる。
荒い息と共に熱い舌が入ってきて、流れてくる唾液を飲み下しながら首に縋り付いた。
熱いダートの体から熱が移ってくるように私の体も熱くなる。
何度も唇を重ねて、達して、ようやくダートのモノが入り口に押し付けられた。
うん、全然こわくない。恥ずかしくない。
「いっ」
「–––––––ぅ、っあ」
でも痛みを堪えた時に声が出ちゃって、その後すぐダートが離れていく。気にしないでいいのにって思いながら目を開けたら、ダートは掌で口元を隠してた。
「うぅぅぁ~、オレ本当かっこわりぃ」
「?なにが」
「あー、ディアナ気付いてねんだ…そっかぁ……まぁかっこ悪いのなんか今更だしなぁ」
ダートは私の足元で縮こまって座る。
「あのな?あの…途中でイっちゃった。先っぽしか挿れてなかったけど、すっげ興奮してたからちょっとディアナの中動いただけで太刀打ち出来なかったわ」
「え」
力入れちゃ駄目だったのか。
「痛かったろ?もー今日やめよっか。いつでもできるし」
ダートはヘラっと笑って言ったけど、それは嫌だ。
「もう無理?」
「や、無理つーか、無理させたくないっつーか」
「今度はちゃんと力抜くから、もう一回」
「……どしたのディアナ、挿れなくても気持ちくするよ?」
欲求不満で言ったわけじゃない。
「ちゃんとダートと繋がりたい。駄目?」
ちょっとでも多くダートに伝わればいい。そうなったところで何も変わらないかもしれないけど、何もしなかったら変わりようがない。
多分触れば元気になるんだよなって思って、上掛けをめくろうとしたら手首を掴まれた。
そのまま押し倒されて、両手はシーツに押し付けられる。
「触んなくても今の台詞だけできたわ。もー駄目、ディアナが可愛すぎる…」
大きく口を開けたダートが最初から舌を出して真上から近付いて来て、そのまま食べるみたいに荒々しく何度も貪られる。
いつもより乱暴なのに、見下ろしてくる時のダートの表情にクラクラする。
眉間に寄った皺が、火照った顔で口開けたまま睨む様な表情が、なんかものすごく色気を感じて格好良い。
「………ん」
目を閉じるのがもったいなくて見惚れてたら、さっきと違って一気にダートが私の中に挿入ってきた。
「いてぇ?」
「ちょっと…でも全然大したことないね、魔王の攻撃のが痛かった」
「は、…そりゃそうだ」
胸の上にあったかい滴が落ちてくる。
「ダート」
「……ちょっと待って、すぐとまる」
こーゆー時って女の方が泣くもんじゃないかな。
「ダート、大好きよ?愛してる」
「–––––––なぁんで今言うの?!う、とまんねぇじゃん」
「だってこんな時まで泣くから」
可愛くって、愛しくって、ぽろっと口から出ちゃった。
「ちが、すっげ幸せで涙出ただけ。ディアナを幸せにしたいのに、いつもオレばっかだ。勝手に不安になって、奪って」
ダートの涙はとまらない。
「ダートがそうやって、全身で愛情を伝えてくれるのが好き」
俯くダートの顔を私の方へ向けさせる。
「私より弱くても、守ろうと必死になってる姿が好き」
「…なにお前、オレ泣かせにかかってんの」
「幸せよって言いたいの。ダートが私を好きで居てくれるだけですごく幸せ。さっきの王子様よりダートの方が100倍良い男だね」
情けなくて、強くて、泣き虫で、私が欲しかったのばっかりくれる、優しい人。
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