【TS転生】どうやら異世界に転生したらしい

転生のオプションを弄ったのは？

「もう一回、言って下さい！」
コンスタンティナの言葉に侍女は生暖かい眼差しで微笑ましげに頷いた。
「あらあら、ふふっ。コホン、では。もう一度申し上げます。
コンスタンティナお嬢様がフロヒオン殿下の婚約者最有力候補、となっております！」

フロヒオン・レオ・ジャスティ。

知りもしないはずの第一王子殿下とやらの名前が頭に浮かんだ。

そう、そう。この名前、確か慶吾が転生した先で授かるらしい名前だ。

ん？
誰、ケイゴ

んん？


私はその日、急に思い出してしまった。
色々、ぶっちゃけて言うなら思い出してはまずかったんじゃないかな？って事なんかも思い出してしまった。

きゅぅー、と頭の中が絞られた様な、細いストローで脳みそを吸われた様な。不思議な感覚だった。

その日から私は約3日ほど寝込んだ。

熱を出していた私は熱にうなされながら前世を、死後のパラダイスを、この世界に転生した経緯を思い出した。



日本の片田舎でごく普通に生きていた俺は大学はちょっと都会で、と受験勉強をそれはそれは頑張った。
悪友の慶吾も、お前が行く県ならちょうど行きたい大学あるしそこ受けるわ、受かったら金貯まるまで一緒に暮らそうぜ？ということで晴れて大学に合格した俺達はその日朝から引越し作業に追われていた。
引越し作業の途中でガムテープが切れてしまって、ついでにアイスとアクエリよろ～！と言う慶吾をジト目で睨みながらも買い出しに出かけた。

あっ
俺は横断歩道で目の前を渡る小学生くらいのガキと、ガキの進行方向に突っ込んでくる乗用車を見て、咄嗟にガキを抱え込んでいた。

そっから先は闇の中だ。

あの時、俺が抱え込んでいたガキはちゃんと助かったと天使のお姉様に教えてもらった。マジで良かった！無駄死にじゃなかったんだな。
『成也は優しい。』
小さな天使も飛んで来てそう言った。
ここは俺のパラダイスだ。パフパフし放題のラッキースケベ満載。まさに天国！

天国バンザイ！！

そうやってニマニマしていた俺は転生する時が来たとの事で転生の間とやらに連れてかれた。

真っ白な空間に立つ神様は凡人には見えない仕組みなのか、後光が眩しすぎるからかそのお姿は見ることが出来ない。
頭に神様の声が直接届く様なその澄んだ声が言った。


「二種類の転生先がありますがあなたはどちらがよろしいですか？」
と…

神様の魔法だろうか、頭に映し出されたのは地球で、なんと俺の姪っ子の息子として転生する。というパターンと
見たことの無い世界、魔法やファンタジーの世界にしかいないと思っていた生き物が普通に生息する異世界でそこそこ裕福な貴族の息子として生まれ変わるというパターン

生前の徳を積んだ実績によりランク分けされ、更に選択肢がレベルアップするらしい転生先の種類だが、俺は結構頑張ったんだな。

まぁ、そんな二択を出されても俺は悩むことも無く。もちろん友人達とifの話しなんかをしていた中二(中二病)の頃にも言った様に平和な地球ラブなので転生先には地球を選んだ。

選んだはずだった…

しかし、ここから先はたぶんあの時の俺は知らない出来事なのだろう。

知らない映像が流れてくる。

俺の悪友の慶吾。奴の魂は徳を積みまくっていたらしい。慶吾としての人生においても俺同様、誰かを庇い事故にあって亡くなったそうだ。しかも最後には神様が庇護する者を、地球の未来に必要な少年の命を死してなお救っていた。(ドナー登録)

そんな慶吾のランクとレベルはMAX。様々なオプション装備も充実設定でまさに転生チートの俺TUEEEE状態だったそうだ。

んでそのオプションに装備されたらしい俺。

は？なんだオプション装備の俺って！？

ま、待てよ。落ち着け！

えっと。なになに…

慶吾が同じ時期に成也も転生するんなら
同じ世界が良いと言った為、急遽俺は転生先を慶吾が転生する世界に変更となった。

なぜに？えっ？オプション装備だから？なにそれ！？

慶吾曰く、永遠の相棒だからな。とな？
やばいわ。照れる！くそっ！マジで照れるじゃねぇか！

フロヒオン・レオ・ジャスティ。ジャスティ王国の第一王子として慶吾は俺よりもひと足早く、しかし、俺の転生に関する設定は全力で全てやり終えてから転生したらしい。
俺は転生の設定が色々と変更になった為少し経って転生する事になった。まぁその頃俺はなんにも知らずに眠りの揺籃という揺籃の中で寝ていたから知らないけど。

んで、慶吾が何を全力でやったかと言うと。神様が相方が離れて産まれぬように少しばかり設定を弄る許可を出したので慶吾が俺の分までオプション設定を行い、長時間かけ、結構こだわった設定をしてくれたらしい。


うんうん…なるほど、なるほど…
道理で聞いてた仕様と違う訳ね──

って、俺をこんな身体にしたのはお前かぁぁぁぁ！！


公爵家の天使なご令嬢。

ダリアの妖精姫。

その名は、コンスタンティナ・クレーティ・ダリア。

そう、俺は何の因果かご令嬢としてこの世界に転生していたのだ。