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隊長は故障中②
しおりを挟む「どうした、エンマ」
静まり返る会場に凛とした低い声がする。エンマは慌ててそちらを向いた。
エンマと揃いの金の刺繍が入った白を基調としたタキシードを纏う美丈夫がこちらに歩いて来ていた。短い銀髪、紺色の色気のある眼差しをしたステファノである。
エンマは固まってステファノがこちらに来るのを見ていた。ルイージス王国の名を連ねる公爵家のパーティで騒動を起こしてしまった。
呆れられてしまう?ステファノはラミアナ様を選ぶの?
そんなのは嫌だ。
「好きなの。ステファノ様。ごめんなさい。ステファノ様が好きなの。」
小さな呟きはステファノに届いた様でステファノの目が見開かれる。
あ…言ってしまった
すると、溜めていた涙がポロリと落ちてしまった。
それを見た途端にステファノはエンマに近づき抱きしめ、辺りをゆっくりと見回した。
エンマを抱くその手は優しいのに、ステファノの纏う空気は冷気を放つほど冷たくなる。
「…どういうことかな?君かい?パレストリーナ伯爵令嬢、まさか、君が私のエンマに何かしたのか?」
ステファノの声に周囲は竦み上がる。低く怒りを宿す声は魔力量の違いも相まって威圧感が凄まじく怒りで人の息の根を止めることすら出来てしまいそうだった。
「…っあ、その女が…、ひっ!」
ステファノが冷気を殺気に変えた途端にラミアナは粗相をしドレスを濡らすと気を失ってしまった。
無理も無い。
誰もがそう思った。
☆
「エンマ、落ち着いたかい?」
チュッと目尻に口付けするこの方はどちら様でしょうか?
エンマです。ただ今パーティを抜け出し公爵家の2階にある奥まった客室でしょうか?本日のパーティ用の控室でしょうか?やたら豪華な部屋に連れて来られたのですが…
「エンマ、こっちを向いて」
チュッと今度は耳に口付けされてエンマはビクリとステファノを見た。
すると、溶けそうな眼差しにぶつかりエンマは訳が分からず呆然としてしまう。
どうなってこうなったの?
え?
この方本当にステファノ様よね?
なぜ糖度100%???
「んんっ…」
ぺろりと舐められてるのが唇だと遅れて気づいたエンマは目を見開いて息すら止めていた。
「エンマ、口開けて」
「へっ?…あっ…ふぁ」
ステファノの言葉に反応した途端に口の中に舌が這い回り逃げるエンマの舌を絡めて舐め上げてくる。
いやらしく蠢くステファノの舌が喘ぐしか出来ないエンマの思考を真っ白にして行く。
なぜこんなことになったのか。
くたりと力の抜けたエンマの身体を抱きとめたステファノは執拗に口付けしながらエンマの背を撫で抱きしめる。
背中からまた顔にと柔らかな輪郭をなぞっていたステファノの手が耳に移動するとエンマは知らずピクンと反応を示した。
ステファノの瞳が怪しく光って見える。エンマの唇を解放し、ステファノの口付けは耳に移動する。
ステファノは舐め上げて齧り付く様に耳たぶを喰む。そして噛んでじんじんする場所をまた執拗に舐めるのだ。
「あっ、ひゃっ、んん!耳嫌です、あ、ステファ…様」
息も絶え絶えのエンマは耳に口付け甘噛みしながら舐めて来たステファノに驚愕してその胸を押した。しかし騎士様はビクともしないし、なにかのスイッチでも入ったみたいにエロモードに突入していらっしゃるようだ。
ひぇ!どーしたら良いの?このままじゃ、私、食べられちゃう!
コンコン、コンコンと矢継ぎ早にノックと兄の低い低ーい声が聞こえる。たぶん「おい!開けろ!つか、何してやがる!!」
と言っている気がする。
ちっ、とステファノが舌打ちしエンマをソファーに寝かせると「少し待ってろ、エンマ」と不機嫌全開でやさぐれたように乱暴に扉を開けた。
「何の用だ」と言いながら廊下にロベルトを押しながら扉は閉められた。
いやいやいや、待って待って!
エンマは身だしなみを調えながらあたふたと羞恥に顔を染め頭を抱え。なんだ!何が起こった!誰だあの方は!と混乱する。
無表情がデフォルトのステファノが、不機嫌な顔、もしくは時々意地悪な顔くらいしか見たことのないステファノが……
デレた!?
もう、故障中としか思えないくらいにデレた!!
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