この世界で唯一の猫は俺~捕獲対象として賞金掛けられたが、相棒の黒龍(卵)とのんびり旅します

ロゼ

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王都

レストランテ・カルロッソ

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 風呂を出て部屋へ戻ると、シャンテがウキウキした声で『いつ行くのじゃ?』なんて聞いてきた。

「本当に行くのか?」

『当然じゃろ! きな臭さしか感じぬわ!』

 何だろうか、この飛龍は。人の問題に首を突っ込むのが好きすぎないか?

「僕も行きたいです」

『ギースは無理じゃな』

「僕もネコになれればよかったー!」

「楽しくないぞ?」

「えぇ! 絶対楽しいですよ! ね?」

『うむ、人間の裏側が垣間見えるからの、面白いぞ』

「ほらぁ!」

「いやいやいや」

 龍はみんなこんなにお節介な生き物なんだろうか?

「とりあえず朝飯食ってからな!」

 風呂で聞いたが、朝食はラッシュ麦のチーズリゾットだそうだ。

「こだわりの四種のチーズを使ったリゾットなの。飽きがこないように味を変えるソースも数種類あるから、沢山食べてちょうだいね♡」

 相変わらずウインクには慣れないが、味変ソースも添えてあるとなれば無限に食べられそうである。

 しばらくするとチーズのいい香りが漂ってきて、下から俺達を呼ぶ声がしたため食堂へと向かった。

「どうぞ召し上がれ。お口直しにココッタのコンポートもどうぞ」

 テーブルにはチーズリゾットと温サラダにココッタのコンポートが並んだ。

「いただきます」

 リゾットを一口。

 熱々のリゾットにギースは少々苦戦しているようだ。

 鼻腔をくすぐるチーズの濃厚な香りと、口の中に広がるラッシュ麦の少しプチプチとした食感。

「うんまっ!!」

 思わず口に出てしまっていた。

『どれ! 我にも!!』

 シャンテにも一口やる。熱くないかと心配になったが、シャンテは熱くても平気なようだ。

『おぉ! これは良いぞ! チーズの濃厚さと小気味よいラッシュ麦の食感! 隠し味は白ワインか!? 胡椒も後から風味を届けてくれるわ!』

 シャンテの口が止まらないのを気にせず朝食を済ませ部屋に戻った。

『さぁ、参ろうか!』

「食ったばっかで動きたくねぇよ! それにカルロッソの営業は午後からだぞ? 今行っても仕込み中だろうが」

『アースは阿呆なのか? 営業中よりもむしろそういう時間の方が隙が生じるもんじゃぞ? 客には見せぬ顔も見せようて』

 言っていることはよく分かるが、なぜ俺?

『美味い飯を破格の値段で食えておるのじゃろ? ちぃとばかしその恩に報いでも良かろう?』

「確かにそうだが……」

 本来ならばカルロッソに行かなければ食べられない料理を宿代込で庶民に優しい金額で提供してもらっているのは確かだ。

 まぁ、何を言ってもシャンテに付き合わされるのは分かっているので、少しだけ休ませてもらってから行動することにした。

 レストランテ・カルロッソは南側エリアの中央に位置する場所に建っている貴族の屋敷に似た佇まいの店だった。

 人の姿では場違いすぎて目立ってしまうため今回も猫の姿で屋根を伝って移動している。

    カルロッソの裏庭に降り立ちそっと建物へと近付くと、上手い具合に裏口が開いておりそこから店内へと侵入出来た。

 スープか何かの仕込みをしているようで店内にはいい香りが漂っていたが、女将の料理ほど食欲はくすぐられない。

『あまりそそられん香りじゃな』

 シャンテも同じ意見のようだった。

 通用口だったようで、通路を進むと正面のドアは客席に続いており、右の通路脇は厨房になっていた。

 厨房の前にはカウンターがあり、そこに出来上がった料理を置くとウェイターが客席に届けるようになっているようである。

 厨房の中に入ると見付かってしまうため通路から様子を伺っていたが、皆黙々と作業をしているようで、人の気配はするが声は聞こえない。

『何ていうのか、活気がないのか?』

『昔行った食堂はもっと賑やかじゃったのぉ。何人かいるようじゃが誰一人喋らんとはちと不気味じゃの』

 厨房付近にいてもそれ以上何もないため通路を進んだ。

 厨房の隣は食料庫になっており、その中では若くて小柄な男が野菜の皮剥きを黙々としていた。

『覇気がないのぉ』

 木箱に腰を下ろしてひたすら黙々と作業をしている男にはシャンテが言うように覇気は感じられない。

 通路の最奥右側には上へと繋がる階段があり、二階はVIPルームが三室あるだけだった。

 階段はさらに上の階へと続いていたため三階へ向かう。

 三階には二つの部屋があり、階段からすぐの部屋は事務処理などを行うような部屋があり、簡素な机と帳簿などが並ぶ棚があるだけで無人だった。

 シャンテが帳簿を見たがったので机の上にあった帳簿を見てみたのだが、見方を知らないためよく分からない。

『ほぉ、なるほどの』

 シャンテには分かるようでその後何冊かの帳簿を棚から取り出すよう指示されたので一時的に人間の姿に戻った。

 猫の姿に戻り隣の部屋へと侵入した。

 オーナー室のようなのだが、趣味の悪い調度品が並んでおりどうにもドリスを彷彿とさせる。

『何とも趣味の悪い部屋じゃの。このような部屋では落ち着かんぞ』

 金ピカな裸体の女性の像があったり、芸術性が理解出来ない金ピカの歪な壺があったり、ギラギラした物が多い。

 オーナーは不在なので部屋の中を物色してみた。

『アースよ、見てみよ』

 デスクの引き出しを漁っているとシャンテが声をかけてきた。

『これは俗に言う裏帳簿というやつじゃの』

 無造作に開かれて置きっぱなしにされているノートには何やら商品名と金額が書いてある。

「帳簿の見方なんて知らないから分かんないけど、裏帳簿って相当ヤバイんじゃねぇのか?」

『良いものではないの。普通は存在しない、してはいけないものだろうからの』

 そんなもんが無造作に置いてあるとは現オーナーは馬鹿なんだろうか?

『迂闊者なのか、この部屋に誰も入っては来ないと安心しての所業か……理解は出来んの』

 しばらく裏帳簿を見ていたシャンテだが、興味が失せたようで他の場所を漁れと指示をし始めたのでそれに従った。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

犬斗
2024.05.13 犬斗

渾身の猫パンチ!
可愛いです!

2024.05.13 ロゼ

ありがとうございます♪

解除
いな@
2024.05.03 いな@

オッス^•ω•^ฅ

オラ^ ̳>𖥦< ̳^‪‪ネコニャー!!!

2024.05.03 ロゼ

ニャ-( ฅ•ω•)( •ω•ฅ)ニャー

解除

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