サイクリングストリート

けろよん

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第二章 新たな道へ

第36話 残りの走者

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 翼はホワイトボードを前に改めて問いかける。

「では、残りはそちらの二番と三番ですけど」
「あたしが出ます」

 挙手したのは美久だった。

「あなたは確か高橋さんでしたわね」
「はい、あたしも結菜様の助けとなるために走ります」
「では、どちらにしますか。姫子さんか叶恵さんか」

 聞かれるまでもなかった。美久の相手は一人しかいない。

「悠真さんがわたしの応援を……キャー」

 などと、一人で盛り上がっている女ではなく、

「叶恵さん、お願いします」
「ほう」

 周囲から感心の声が上がった。指名されて叶恵は礼儀正しく美久に頭を下げた。

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 優美なお嬢様の笑顔で微笑む叶恵には付け入る隙が全く見当たらない。これと戦った渚が化け物だったのだと改めて認識してしまう。
 だが、結菜と麻希が戦わないなら自分がやるしかない。ほんの一かけらでも役に立てれば。美久は大魔王に無謀な戦いを挑む決心をした。

「挑戦するのはいいことですわね。では、最後の2番ですが……」

 翼は一同を見る。一瞬、銀河と目が合ったが、素通りさせて渚に聞いた。

「誰にしますか。渚さん」
「そうね……」
「ちょっと、何で俺を無視するんだよ、翼姉ちゃん!」

 銀河が声を上げる。その声にため息をついたのは渚だった。

「銀河は駄目よ。相手は女子高のお嬢様達よ。男のあなたが参加するのはフェアとは言えないでしょ?」

 その意見に翼も賛同した。

「ええ、絶対駄目とまではいいませんが、殿方にはご遠慮いただくとわたくしも助かりますわ」
「殿方って、へへ」
「顔を赤くしない」
「いてっ」

 銀河は渚に尻を叩かれた。痛みに涙目になりながら銀河は渚に訊いた。

「じゃあ、やっぱり姉ちゃんが?」
「いえ、わたしは西島さんにお願いしようと思ってるわ」
「西島?」

 この場にいない生徒の名前に誰もが首を傾げる。渚は説明した。

「我が校の生徒に西島さんという非常にスポーツが得意な生徒がいるの」
「聞いたことがありませんわね。それほど優秀なら注目されると思うのですけど」
「優秀といっても、うちはスポーツで注目されるような強豪ではないからね。全国大会に行けたこともあんまり無いし。西島さんはいろんな部活の助っ人に引っ張りだこなんだけど何とか予定を開けさせるわ」
「では、姫子さんの相手は西島さんっと。姫子さん、お願いしますわね」
「は……はい」

 いきなり名前を呼ばれて姫子は慌てて返事をした。
 翼は書いていたマジックのキャップを締めた。

「では、これでメンバー決めは終わりですわね。何か意見はありますか?」
「一ついいかしら」
「はい」

 また渚が一つの提案をする。結菜はもう言うことはないのではと思ったのだが。
 渚の話はこうだった。

「試合に使う自転車は通学用の普通の自転車にして欲しいの。うちには新しくレース用の自転車を購入する予算なんて無いし、そちらに高額の本格的な自転車を用意されたら勝ち目はないもの」

 自転車に何か違いがあるのだろうか。結菜にはよく分からない話だった。
 翼は言う。

「自転車ならこちらで用意しても構いませんわよ」
「そこまで翼に世話になるわけにはいかないわ。それにこの子達はそういう乗り物には慣れていないし」
「確かに乗り慣れた物の方がいいかもしれませんわね。では、そうしましょうか」

 結菜にはよく分からないところで話が飛び交ってまとまった。

「自転車は通学に使用される一般の物を使用」

 翼はわざわざホワイトボードにそう書いた。

「他に意見はありませんか? こちらとしても勇者の全力を見たいのですから、いくらでもそちらの走りよい意見を提示してくれて構いませんのよ」

 そうは言われても結菜には特に意見はなかった。
 ハンデをくれとか言ったらまた勇気が無いとか思われそうだし。
 特に意見が無かったので翼は会議をそこで切り上げた。

「では、決まりましたわね。勝負の日はいつにします?」

 翼は渚に訊く。

「来月の第3日曜日にしましょう。その日なら特に予定はないし、いいと思うわ」
「では、来月の第3日曜、楽しみにしています」

 こうして結菜達は翼達と自転車で勝負することになった。
 コースはかつて勇者が通ったとされる道バニシングウェイ。
 その日を目指して特訓することになった。
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