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第15話 古代への贖い
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俺が手を離すとぼろぼろになったお嬢様は静かに床に崩れ落ちた。その口からはもうここへ来るまでに聞いた明るい声は聞こえてこない。
「俺は失敗したのか……失敗とは後味の悪い物なんだな……」
俺は動かなくなったマリアの襟を掴むと祭壇の前へと引っ張っていく。俺にはまだここでやる事がある。彼女の処遇を決めていいのは俺ではない、もっと深く望んでいる者がいるから。
俺は荒い息をつきながらも、マリアを祭壇の前へと連れてくると、そこの植物で囲っていた者を解放した。
それはまだこの現世に残っている影の残滓。ずっと昔から復讐を願ってきたダンジョンの主たちに残された思いだった。
影は戸惑いながらも俺に語り掛けてくる。
「人の子らよ。お前は勝利者として何を望むのか……」
「調和を……お前を苦しめてきたのは、この土地を侵略して移り住んできた人間たちかもしれない。だが、今を生きる人々には罪はない。どうか、これ以上の憎しみを残さないでほしい」
俺は、震えるお嬢様の肩を支えながら、彼女を影の前に差し出した。彼女が背負うべきものを背負わせるために──
「カナデさん……私……怖い、怖いんです、この場所が。お願いですから私を屋敷に連れ帰ってください。あったかいお布団で寝たいんです。あなたなら信頼できますよね? 失敗しない庭師なんですから……」
マリアは唇を噛み、涙をこぼす。俺には彼女の反省がありありと分かって、自然と笑みが零れてしまう。
「お嬢様、安心してください。俺はもう失敗ができる庭師になったんです。だから、最後まで見ていてください」
「え……?」
俺は彼女を祭壇の前へと突き飛ばすと、影へと願った。
「グレインフィールド家の末裔の娘を捧げる。これで足りるとは思えないが、どうか恨みの歴史をここで終わらせてほしい」
影は静かに俺の瞳を見つめ、やがて頷いた。
「この贖いを受け取ろう。我を残した民たちはもういない。なれば新しい命がこの地に根付くことを我も祈ろう」
その瞬間、影の姿は霧のように薄れ、ダンジョンの壁が崩れ始めた。
「え!? 待ってください、カナデさ……カナデさん! ぎゃあああああ!!」
植物たちの針が彼女の身体に次々と突き刺さり、血を流しながら覆い尽くされていき、影の牙の中へと飲み込まれていく。
俺はその場に長居することなく、速やかにダンジョンを脱出していった。
その後の戦況は、留守を任されていたマリアがいなくなった事で、領主も前線ばかりに出られなくなり、膠着状態となっていった。
屋敷が騒ぎになり、お嬢様の捜索が続けられたが、ただの庭師である俺には関わりのないこと。
少しの質問を受けただけで、再び各地で仕事をすることになった。だが、ふと思い出す事もある。
「カナデさん、また新しいダンジョンが出来たみたいなんです。一緒に行きませんか?」
「ええ、行きましょう、お嬢様!」
そんなあるはずのない光景を──
だが、失敗しても構わないと彼女は教えてくれた。
だから、俺はこれからも庭師としての仕事を続けていくのだ。
「俺は失敗したのか……失敗とは後味の悪い物なんだな……」
俺は動かなくなったマリアの襟を掴むと祭壇の前へと引っ張っていく。俺にはまだここでやる事がある。彼女の処遇を決めていいのは俺ではない、もっと深く望んでいる者がいるから。
俺は荒い息をつきながらも、マリアを祭壇の前へと連れてくると、そこの植物で囲っていた者を解放した。
それはまだこの現世に残っている影の残滓。ずっと昔から復讐を願ってきたダンジョンの主たちに残された思いだった。
影は戸惑いながらも俺に語り掛けてくる。
「人の子らよ。お前は勝利者として何を望むのか……」
「調和を……お前を苦しめてきたのは、この土地を侵略して移り住んできた人間たちかもしれない。だが、今を生きる人々には罪はない。どうか、これ以上の憎しみを残さないでほしい」
俺は、震えるお嬢様の肩を支えながら、彼女を影の前に差し出した。彼女が背負うべきものを背負わせるために──
「カナデさん……私……怖い、怖いんです、この場所が。お願いですから私を屋敷に連れ帰ってください。あったかいお布団で寝たいんです。あなたなら信頼できますよね? 失敗しない庭師なんですから……」
マリアは唇を噛み、涙をこぼす。俺には彼女の反省がありありと分かって、自然と笑みが零れてしまう。
「お嬢様、安心してください。俺はもう失敗ができる庭師になったんです。だから、最後まで見ていてください」
「え……?」
俺は彼女を祭壇の前へと突き飛ばすと、影へと願った。
「グレインフィールド家の末裔の娘を捧げる。これで足りるとは思えないが、どうか恨みの歴史をここで終わらせてほしい」
影は静かに俺の瞳を見つめ、やがて頷いた。
「この贖いを受け取ろう。我を残した民たちはもういない。なれば新しい命がこの地に根付くことを我も祈ろう」
その瞬間、影の姿は霧のように薄れ、ダンジョンの壁が崩れ始めた。
「え!? 待ってください、カナデさ……カナデさん! ぎゃあああああ!!」
植物たちの針が彼女の身体に次々と突き刺さり、血を流しながら覆い尽くされていき、影の牙の中へと飲み込まれていく。
俺はその場に長居することなく、速やかにダンジョンを脱出していった。
その後の戦況は、留守を任されていたマリアがいなくなった事で、領主も前線ばかりに出られなくなり、膠着状態となっていった。
屋敷が騒ぎになり、お嬢様の捜索が続けられたが、ただの庭師である俺には関わりのないこと。
少しの質問を受けただけで、再び各地で仕事をすることになった。だが、ふと思い出す事もある。
「カナデさん、また新しいダンジョンが出来たみたいなんです。一緒に行きませんか?」
「ええ、行きましょう、お嬢様!」
そんなあるはずのない光景を──
だが、失敗しても構わないと彼女は教えてくれた。
だから、俺はこれからも庭師としての仕事を続けていくのだ。
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