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第3話 メアリに家の事を教えよう
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僕は自分の部屋に戻りベッドの上に寝転ぶと天井を眺めた。
「さてと、これからどうしようかなぁ。せっかく来てくれたんだから何かしらの仕事を与えないとね。家事はできるって言っていたし、料理を作ってもらうのが一番良いんだけど、調理器具のある場所までは説明してなかったな」
部屋は案内したけれどどこに何があるのかまでは教えていなかった。
見れば分かるかもしれないが、勝手に触られるのも何だか危ない気がする。
しっかりしていそうでも彼女にとっては初めて来た家なのだし、ついていた方が安心かもしれない。
「ちょっと様子を見てくるか」
そう思って僕は部屋を出た。廊下を歩いていると丁度その時、リビングの扉が開かれた。そこから出てきたのはメアリだった。
「あ、ご主人様」
「どうしたの? 何かあったのかい」
「はい、実はお湯を沸かしたかったのですが、ガスコンロが無いようで困っていました」
「え? ガスコンロ? あ、そうか。ごめんね。気が付かなくて。この家はオール電化なんだ」
「えええ!? オール電化ってあの!? 本当にお金持ちなんですね」
「別にそんなたいした物じゃないと思うけど。今ならわりとどの家にもあると思うよ?」
他人の家を見たわけじゃないので知らないが。
そんなお金持ちじゃなくてもごく普通の一般家庭に普及している物だと思う。
「そんな、ご謙遜を。これがオール電化なんだあ……」
メアリは感心したように目を輝かせているが、僕の方は困ってしまった。彼女はどんな家で暮らしていたのだろうか。
謎は深まるばかりだが、今は目の前の事をやっていこう。
メイドの彼女にこの家の事を教えてやらないと。
「まあ、とりあえず使い方を教えるよ」
「はい」
そう言って僕はメアリと一緒にコンロ前へと移動した。
「このコンロはこう使うんだよ」
「な~るほど! ガスの元栓はどこですか?」
言いながらコンロの奥や下の棚を見るメアリ。
「そういうのは無いんだ。ガスじゃないからね」
「へえ~」
メアリは興味津々といった様子で見つめてくる。
その視線に何だか照れ臭くなりつつも使い方を教えてあげた。
「次は水を出してみようか」
「それぐらいなら分かりますよ」
「本当かなあ」
「本当ですってば!」
そう言ってメアリは蛇口を捻る。
「ほら、出た!」
「うん、出たね」
メアリは嬉しそうに笑った。その笑顔に僕も何だか嬉しくなる。
「ところでご主人様、これって火が出てないですよね? 本当に温まってるのかなあ」
「おっと、うっかり触ると危ないよ。火傷に注意」
「ああ、すみません。でも、それじゃあこれはどうやってお水を温めているのですか?」
メアリは表面が赤く光ってるだけで温まってるのが不思議なようだ。
「それはね、僕にも詳しい事は分からないけど多分電気で温めてるんだと思うよ」
「電気で?」
「そう、電化というぐらいだから多分そうだよ」
「へぇ~、不思議な事もあるものですね」
詳しく突っ込まれると僕も困るところだったが、彼女はそれで納得してくれたようだった。水も湧いてきた。
それから彼女は料理の下ごしらえをテキパキと進めていく。僕がフォローする必要は無さそうだ。
「もう分かりましたからご主人様は戻られても結構ですよ。後はメアリにお任せください」
「いや、もう少し見てるよ。君がどう料理を作るのかも興味があるしね」
「そうですか? では、じっくりと見学していてください」
メアリは楽しげに笑いながら包丁を振った。
トントンと小気味よい音が響く。
さすがメイドとして来ただけあって手つきが慣れている。日頃から家の事をしているのかもしれない。
その音を聞いていると何だか心地よくなってきた。
「ふわぁ」
「眠いんですか? ご主人様」
「ん? ああ、少しね」
「お疲れなのでしょう。少しお休みになられたらいかがですか?」
「いや、これぐらいなら大丈夫だよ」
「そうですか? でも、無理はなさらずに。ご飯が出来たらお呼びしますから」
「うん、分かった」
そう言ってソファに腰掛けながら彼女の背中を眺めていると、だんだんと瞼が重くなって来た。
うーん、もう少し彼女の働いている姿を見ていたいんだけどな。
「ご主人様、出来上がりましたよ」
「う、う~ん」
「ご主人様!」
「あ、ご、ごめん。ちょっとぼうっとしてたよ」
いつの間にか眠っていたらしい。
「ご主人様、やっぱり体調が悪いんじゃありませんか?」
「い、いや、そんなことはないよ」
ちょっと眠っていただけで心配されてはこっちの方が恐縮してしまう。
「そうは見えませんけど」
「本当に平気だって。それよりご飯を食べよう」
僕の言葉にメアリは心配そうな顔をしながら料理を運んできた。
テーブルに並べられたのはオムライスにサラダ、それにスープが並んだ。どれも美味しそうだ。
「さあ、召し上がれ」
「いただきます」
まずは一口食べてみる。
「どうでしょう?」
「うん、おいしいよ」
「良かったです」
そう言ってメアリは微笑んだ。
「もう少し量を増やした方が良かったでしょうか」
「いや、これでちょうど良いよ。君は食べる方?」
「うーん、わたしもこれぐらいですね。ご主人様のようなお金持ちならもっと食べられるのかと。テーブルにドーンとか」
「いや、僕だって普通だよ。でも、足りないと思ったら遠慮なく言ってね」
「はい、ありがとうございます」
僕達は食事を進めていく。
そしてあっと言う間に完食してしまった。
「さてと、これからどうしようかなぁ。せっかく来てくれたんだから何かしらの仕事を与えないとね。家事はできるって言っていたし、料理を作ってもらうのが一番良いんだけど、調理器具のある場所までは説明してなかったな」
部屋は案内したけれどどこに何があるのかまでは教えていなかった。
見れば分かるかもしれないが、勝手に触られるのも何だか危ない気がする。
しっかりしていそうでも彼女にとっては初めて来た家なのだし、ついていた方が安心かもしれない。
「ちょっと様子を見てくるか」
そう思って僕は部屋を出た。廊下を歩いていると丁度その時、リビングの扉が開かれた。そこから出てきたのはメアリだった。
「あ、ご主人様」
「どうしたの? 何かあったのかい」
「はい、実はお湯を沸かしたかったのですが、ガスコンロが無いようで困っていました」
「え? ガスコンロ? あ、そうか。ごめんね。気が付かなくて。この家はオール電化なんだ」
「えええ!? オール電化ってあの!? 本当にお金持ちなんですね」
「別にそんなたいした物じゃないと思うけど。今ならわりとどの家にもあると思うよ?」
他人の家を見たわけじゃないので知らないが。
そんなお金持ちじゃなくてもごく普通の一般家庭に普及している物だと思う。
「そんな、ご謙遜を。これがオール電化なんだあ……」
メアリは感心したように目を輝かせているが、僕の方は困ってしまった。彼女はどんな家で暮らしていたのだろうか。
謎は深まるばかりだが、今は目の前の事をやっていこう。
メイドの彼女にこの家の事を教えてやらないと。
「まあ、とりあえず使い方を教えるよ」
「はい」
そう言って僕はメアリと一緒にコンロ前へと移動した。
「このコンロはこう使うんだよ」
「な~るほど! ガスの元栓はどこですか?」
言いながらコンロの奥や下の棚を見るメアリ。
「そういうのは無いんだ。ガスじゃないからね」
「へえ~」
メアリは興味津々といった様子で見つめてくる。
その視線に何だか照れ臭くなりつつも使い方を教えてあげた。
「次は水を出してみようか」
「それぐらいなら分かりますよ」
「本当かなあ」
「本当ですってば!」
そう言ってメアリは蛇口を捻る。
「ほら、出た!」
「うん、出たね」
メアリは嬉しそうに笑った。その笑顔に僕も何だか嬉しくなる。
「ところでご主人様、これって火が出てないですよね? 本当に温まってるのかなあ」
「おっと、うっかり触ると危ないよ。火傷に注意」
「ああ、すみません。でも、それじゃあこれはどうやってお水を温めているのですか?」
メアリは表面が赤く光ってるだけで温まってるのが不思議なようだ。
「それはね、僕にも詳しい事は分からないけど多分電気で温めてるんだと思うよ」
「電気で?」
「そう、電化というぐらいだから多分そうだよ」
「へぇ~、不思議な事もあるものですね」
詳しく突っ込まれると僕も困るところだったが、彼女はそれで納得してくれたようだった。水も湧いてきた。
それから彼女は料理の下ごしらえをテキパキと進めていく。僕がフォローする必要は無さそうだ。
「もう分かりましたからご主人様は戻られても結構ですよ。後はメアリにお任せください」
「いや、もう少し見てるよ。君がどう料理を作るのかも興味があるしね」
「そうですか? では、じっくりと見学していてください」
メアリは楽しげに笑いながら包丁を振った。
トントンと小気味よい音が響く。
さすがメイドとして来ただけあって手つきが慣れている。日頃から家の事をしているのかもしれない。
その音を聞いていると何だか心地よくなってきた。
「ふわぁ」
「眠いんですか? ご主人様」
「ん? ああ、少しね」
「お疲れなのでしょう。少しお休みになられたらいかがですか?」
「いや、これぐらいなら大丈夫だよ」
「そうですか? でも、無理はなさらずに。ご飯が出来たらお呼びしますから」
「うん、分かった」
そう言ってソファに腰掛けながら彼女の背中を眺めていると、だんだんと瞼が重くなって来た。
うーん、もう少し彼女の働いている姿を見ていたいんだけどな。
「ご主人様、出来上がりましたよ」
「う、う~ん」
「ご主人様!」
「あ、ご、ごめん。ちょっとぼうっとしてたよ」
いつの間にか眠っていたらしい。
「ご主人様、やっぱり体調が悪いんじゃありませんか?」
「い、いや、そんなことはないよ」
ちょっと眠っていただけで心配されてはこっちの方が恐縮してしまう。
「そうは見えませんけど」
「本当に平気だって。それよりご飯を食べよう」
僕の言葉にメアリは心配そうな顔をしながら料理を運んできた。
テーブルに並べられたのはオムライスにサラダ、それにスープが並んだ。どれも美味しそうだ。
「さあ、召し上がれ」
「いただきます」
まずは一口食べてみる。
「どうでしょう?」
「うん、おいしいよ」
「良かったです」
そう言ってメアリは微笑んだ。
「もう少し量を増やした方が良かったでしょうか」
「いや、これでちょうど良いよ。君は食べる方?」
「うーん、わたしもこれぐらいですね。ご主人様のようなお金持ちならもっと食べられるのかと。テーブルにドーンとか」
「いや、僕だって普通だよ。でも、足りないと思ったら遠慮なく言ってね」
「はい、ありがとうございます」
僕達は食事を進めていく。
そしてあっと言う間に完食してしまった。
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