幸せになりたい貧乏神

梅千野 梅雄

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貧乏神

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 日本には、八百万やおよろずの神がいるという。しかし八百万も神がいたら、幸せな神もいれば、不幸な神もいる。忙しい神と、暇な神が出てくる。

 神様が全てにおいて優れている、人を救うものだなんて飛んだご都合主義だ。

 神様にも苦労というものはある。

 神様の世界も大変なのだ。

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 僕が小さい頃、それこそ小学生の頃、神様というものはなんでも出来る存在、絶対的なものだと信じ、人間ではたどり着けない領域だと信じ込んでいた。
もっとも、当時の僕があまりにも幸福を追い求めすぎたからだろう。
 僕は無宗教だったが、この考えが今も続いてたとすればそれらしい宗教の教祖にでもなっていたかもしれない。

 それくらいには重症だった。

 困っている人がいたらどうしても放置できなかった。
クラスメイトが少しでも悩む素振りを見せれば直ぐに相談に乗ろうとした。RPGゲームで村人の依頼を片っ端から受ける主人公みたいなものだ。
 今思えばかなりおかしい奴だったと思う。
でも、それで少しでも喜んでくれるなら、と超絶圧倒的慈善活動とも言えることをしていた。(それを利用しようとわざとそうしていたやつも少なくなかったと、今更になって気づいた、そのことに気づくには、まだ僕は幼かったのだろう。)
 こうすれば、なんでも出来る、誰でも救える神様に近づけると錯覚していたのだろう。
 この僕の飛んだ見当違いな思想は中学に入るまで続いた。

 僕一人ではそこまでこんなくだらない思想は長持ちしなかっただろう。そう、僕一人では。

 小学生の頃、僕のような飛んだ見当違いな思想をもつ友人がいた。僕のように神様というものを信じていたのだ。
 人間は普遍的な思想でなくても誰かもう一人いるだけで異常に「自分の考えはあっている、間違ってなんかない。」というさらに厄介な状態に至るようだ。その小学生の頃の凝り固まった思想は 中学に入るまでは治らなかった。

 先程中学に入るまで続いたと言ったがそこから察せるようにその友人とは中学で別れることとなったからだ。
 
 しかし別れるということがこの場合はであることを誤認してはならない。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「あぁ、疲れた。」
 そう吐露しながら、帰路を辿る。
生憎の雨だ。疲れた仕事帰り、しかも残業終わりに降られると気分が落ちる。そうなると無性にアルコールを煽りたくなるが、気分が落ち込んだ時に飲むアルコールは瞬く間に身体を酩酊させていくので我慢する。

 日中様々な人がいて、活気に満ちている商店街も、夜になれば、雨の音を聞くばかりである。
五月蝿い雨音に意識を向けないように何気なく歩いていると、建物の壁に寄りかかって、佇んでいる人が目に入った。
 髪はボサボサで服もボロボロ、靴はおろか靴下すら履いていない。身体の熱を逃がさないように小さくまとまってシャッターによりかかっていた。

 その人に歩み寄り、自分の傘にいれてやる。結局のところ、本質的なところはあまり変わっていないようだ。

「誰……。」
 身なりがボロボロすぎて遠くではわからなかったが女性だった、しかもまだ十代程の、若い女の子だったのだ。しかしその声は余りにも生気が抜けていた、体力も残ってないのだろう。

「まぁ、ただのサラリーマンだよ。」
「傘、くれるの。」
「いや、あげるつもりは無いよ。君は、帰るところはあるの。どうしてここにいるの。」
「……。」
 ただ彼女は苦しそうにうつむいていた。その時、彼女は吐き出してしまった。しかし吐瀉物は綺麗だった。胃液だけの何も入っていないものだった。
 この子、二、三日は何も食べてない……。この道は人もよく通る、しかしこの子はこの有様、誰も、助けようとしなかったのか……。

「大丈夫か。ずっとここにいても体壊すから、ひとまずうちに来るか。」
「……。何か考えてますか。すいません、人間不信なもので。」
「そりゃ普通なら疑うよ。でも僕は君をほっとけないんだ。」
「わからない、なんで貴方はそんなに優しくしようとするのですか。」
「ただの善意なんだけど嫌なら構わないよ。なら僕にできることはなくなってしまうのね、警察にでも行くか。」
 僕の言葉に彼女は恐怖に震えるのように、縋るように言った。

「やめてください。警察はやめてください。」
「警察に行けない事情があるか、でも別に君が何をしていようと何者だろうと僕の知ったことではない。知ろうともしないよ。ならせめてこれでも使って、何か温かいものでも食べて。身体が冷えると良くないから。」
僕は財布から千円札をとりだし、少女に渡そうとした。すると彼女は驚き、声を大きくした。

「待ってください。私は赤の他人ですよ。どうしてこんなこと。」
「君が、苦しそうだから、放っておけないからだよ。それ以上も以下もない。君、何も食べてないだろう、それも何日も。だからだよ。たまに偽善者とか言われるんだ。そんなつもりもないのにね。」
僕がそう自分のことを話終えると彼女は丸めた身体の爪先をみて、考えていた、そこから少しの時間が経ってから
「……。傘、返します。」
「君が濡れるよ。」
「大丈夫です。一緒にはいるので。」
「わかった。」
 僕はその言葉を瞬時に理解し、僕の傘に彼女を入れる。
 僕は疲れた体を引きずり、やせ細った少女と雨の道を歩く。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 コンビニに寄った。晩飯のためだ。僕は一応自炊できるが残業があった日はこうしてコンビニ弁当で済ますことが多い。

「何か食べたいものがあれば好きなものを選んでいいよ。」
「……。無理。」
「それはまたどうして。」
「こんなに美味しそうなものが沢山ある中でひとつ選ぶなんてできない。」
「誰がひとつだけって言った。さっき渡した千円で色々買えるだろう。」
 そうは言ったが彼女は自分からは選びそうもないので消化に良さそうなものを適当に僕が選ぶことにした。

 もっとも、コンビニ飯をここまで美味しそうなものとしてみている時点でたまに何かを食べれたとしてもそれはちゃんとした食べ物では無かったのだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 会計を済ませ、再び岐路を辿る。コンビニ飯は楽だがあまり美味しくない上高いので基本的には使いたくない。
 僕の家はコンビニからはそう歩かないで着く場所にある。僕の家は二階庭付きの戸建、それは、1人で住むには大きすぎるほどの。

 鍵を開け部屋に入り仕事鞄と買ったコンビニ飯をテーブルにおき、ネクタイを解く。この一連の作業はもう長い間しているのでそう時間はかからない。彼女は端っこに寄ってじっとしていた。

「ご飯食べるか、いや先にお風呂入って貰おうかな。」
「……。覗く気ですか。」
「そんな悪趣味なことしないよ。それ以前に君、もうボロボロだろう。雨にもずっと当たってたし、このままにして風邪をひかれても困るから。あ、先にお湯を張っておかなくちゃか。ちょっとまってて。」

 そう言い残して、僕は風呂場に向かった。
彼女の目からは生気を感じられない。まだそう生きていないはずなのに、この世に絶望をしているかのように、これから元々光のない瞳からさらに光が失われてしまうのかもしれない。
 あの子は一体何があったというのだろう。今の僕に知る術はない。

 いや、きっとあの子のような子は沢山いる。昔にも一度、そういう子を見た気がする。

 しかし今は疲れの方が勝ったので考えるのをやめた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 わからない、あの人が考えていることが。
お風呂に入れさせてもらって髪と身体を洗って湯船に浸かって雨で完全に冷えきった身体を温める。身体中の血が急に巡り出すようで指先がじんじんした。久しぶりに生きている感じがした。
 
 あそこにいる時、時々、人に声をかけられた。でも、それは全員裏のある人だった。なにかやましい考えを持って話しかけてきた。なのに、あの人には一切の裏を感じれなかった。本当にいい人なのか、あの人もあの人なりに考えているのか、私にはわからない。

 でも、もし本当にいい人だとしたら、私は、あの人から離れなくちゃいけない。近くにいてはいけない……。

 優しい人に助けられると、離れるのが辛くなると自分でもわかっているのに、優しさに甘えようとしてしまった。昴さんには迷惑をかけたくない。

 ずっと昔、昴さんみたいな人に命を救われて、それで、その人は離れていってしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「洗うと綺麗だね。女の子なんだから身だしなみはしっかりしなよ。とりあえず服は汚れだけ落としといたから今はそれで我慢してて、多分僕の服だとサイズ合わないし君もあまり着たくないだろう。」
 お風呂から上がった彼女は先程までとはまるで様相が違った。ボサボサの髪は綺麗になり、元の色を取り戻していた。彼女の髪は墨汁よりも黒い綺麗な黒色だった。肌も華奢で白い、不健康な痩せではあるが顔立ちは整っていて容姿はとても可愛いと言えるものだった。

「晩御飯、早く食べよう。もう温めてるから、すぐ食べれるよ。」
「食べてなかったんですか。私なんて気にせず先に食べてるものとばかり。」
「久しぶりに誰かと一緒に食べられるからね。君もひとりで食べるよりもいいだろう。」
「やっぱり変な人。」
「ん、今ちょっとだけ微笑んだ。そういう表情もできるじゃないか。ほら座って、食べよう。」
 彼女はは僕の向かいの席に座った。僕達は手を合わせ、「いただきます。」といい、食べ始めた。

「しかし、ごめんな、本当だったらちゃんとした料理作って食べさせたかったんだけど、残業で疲れた時はコンビニ弁当で済ますことが多いから。」
「私が食事で選り好みすると思いますか。」
「そりゃそうだけどさ。そういえばまだ君の名前聞いてなかったね。」
「……。神々 紫苑みわ しおん
「紫苑か、花の名前だね。僕は神喰 昴かみじき すばるだよ。」
「神を喰べるんですね、貴方は。」
「あぁ、君ほどじゃないけど珍しいだろ。」
 そう他愛のない会話をした。会話とは呼べないような言葉と言葉がただ出てくるだけなこともあった。それでも人がいる食事は久しぶりで内心嬉しかった。会社でも昼休みは1人で弁当を食べているので本格的に僕はひとり飯しかしていないのだ。

「ごちそうさまでした。」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「僕はもう寝るよ。使ってない部屋があるから使いたい部屋があったら使ってくれて構わないよ。」
 そう言って彼は自分の部屋に行ってしまった。昴さんはすごい広い家に住んでいて、使ってない部屋がいくつもある。家族はいないのかな。

 今日はここで寝させてもらうとして、それから、私は、昴さんから離れなくちゃいけない。
 明日には、ここを出ないと、出ないとあの人に迷惑がかかる。

 だって私は、私は……。

貧乏神だから。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 朝、いつもと違う新鮮な感じを噛み締める、きっといつもはいない女の子がいるからだろう。

 いつもなら一人だけの家に、神喰昴以外の人がいるからだ。そう考えながら台所での作業をしていると廊下から音がした。昨日、家に招き入れた紫苑という女の子だ。
「おはよう。よく寝れたかい。」
「おはようございます。昴さん。」
 朝食を作りながら目をこすりながら部屋に来る紫苑と言葉を交わす。
 今日は土曜日、休みなので朝もゆっくりできる。普段よりも1人分多めの量の朝食をつくる。

「今日はどうしたい。休みだから何かしらできるけど。」
「いえ、結構です。何もしなくても。お風呂とご飯と寝る場所をありがとうございました。」
 紫苑はそう言って部屋を出ようとした、それを見て僕は考えるよりも先に声をかけ、呼び止めていた。

「君があまり他人の家にいたくないのはわかる、でも、君はここを出てから、行くあてはあるのかい。食べるものもなければ、寝る場所もないだろう。警察には行きたくないのなら尚更だと思うけど。」
「でも、私がそばにいたら、昴さんに迷惑がかかる。だって、私は……。」
「貧乏神、だから僕のそばにいることで僕に不幸がかかると思っているのかい。」
僕が彼女の言おうとしていたことを遮りそう告げると、彼女は目を大きくして驚いた。
「……。神がいるって信じてるタイプの人ですか。」
「いや、神を信じてるなんて、ただの虚しい偶像崇拝だと思ってるよ。神が信じてる人を全て救うなんて考えるのがおかしい、神が全て、人を助けるお助けマンじゃない。でも、そうだろう。君は人とは何か違うオーラって言うのかな。なんか説明しにくいけど君はただの人間ではないと思ったんだ。」
「……。」
「その無言は認めたってことでいいんだね。君が、もし、もし本当に貧乏神だとしたら、それこそここから出ない方がいいんじゃないか。外に出て、色んな人が君に触れ、不幸になってしまうかもしれない。それよりも、僕のそばにいて不幸の矛先が1人だけに向くがいいと思うんだ。」
 よくこうもペラペラ言えるものだ。
 それは自ら不幸を望んでいるようにも捉えられるものだ。だが僕は不幸を好む人ではない、不幸を噛み締め生温い自己憐憫に浸りたいとち狂った人間ではない。

 しかし、僕は彼女を、生に苦しんでいる人を放っておけないから。

……。それに僕はきっと大丈夫だろう。僕は普通ではない。

「貴方は、優しいのではなくただの馬鹿なんですね。」
「それが僕という人間さ。で、どうしたい。ここにいても、誰も怒らない。」
「じゃ、どうなっても知りませんからね。」
「どうなったっていいから、君を迎えるんだよ。」

 紫苑は控えめな笑みを浮かべ、テーブル席に座った。その顔は半分不安だっがもう半分は嬉しそうだった。最初の絶望に満ちた顔よりもずっと#_生きている_・__#感じがした。

「じゃあ、食べよう。朝ご飯は僕の手作りだ。沢山食べなさい。」
 そう言うと紫苑は初めて会った時からは想像もできないような張りのある声で「いただきます。」と言った。
 それは彼女が初めて感じた〈幸せ〉だった。


 僕はこれから、貧乏神と生活をすることになった。



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