【完結】転生ババアの下剋上~貴方の居場所はもうありませんので、愛人とお幸せに~

ゆずこしょう

文字の大きさ
20 / 70
帰省。

またあいつか!!

「エルダ。申し訳ないのだけど、お母様とお父様に明日帰ることになったことを伝えてくれる?」


手紙を読み終えると、タイミングを見計らったようにエルダが入ってきた。
私の様子を見て、エルダもスフェレライト領で何かあったのだと何となく察したらしい。


「承知いたしました。」と一言いうと、エルダは部屋から出ていく。


部屋に一人になったのを確認した後、私は大きなため息をついた。


「本当。あのくそ野郎は…どこまで言ってもくそ野郎なのね。大事なあそこをちょん切ってやりたいくらいだわ!」


どこで仕入れたのかわからないが、私がいないタイミングを見計らってオディロンが帰ってきたそうだ。何かするわけではなかったが、小麦粉やお米を大量に詰め込んで家を出て行ったらしい。
侍女や、従者が止めたようだが「俺に逆らうのか!!逆らうとどうなるかわかっているのか!」と言って脅してきたとのこと。

残っている侍女や、従者は孤児だった者ばかりで、ここを追い出されたら行く場所がない人ばかりだ。そんなことを言われて言い返せるものは一人もいなかった。


「小麦粉とお米ね…確かに今お米はおにぎり屋のお陰で高く売れているし、スフェレライト領の小麦に柔らかいパンを作る秘密があるのではないかと思われているから高騰していたけど…。もしかして売るつもりなのかしら。」


小麦だって他の地域の物とあまり変わらないし、お米だって使い方がわからなければ、おかゆになるか芯の残ったぼそぼそのご飯になるかだけど。絶対オディロンは何も知らないのだろうと思う。



そして手紙で一番気になったのは最後の一文…。


”また…1つの袋を置いて去っていきました。”


1つの袋と聞くと、1年前にあいつが置いて行ったものを思い出す。


「取りあえず、手紙はここで途切れているし、明日帰って確かめなければならないわね…できれば急ぎだから馬で帰りたいところだけど…カイトスとアルナイルをどうしようかしら…」


明日帰るのにどうしようかと考えていると、エルダが戻ってきた。


「ジェラルディーナお嬢様…旦那様と、奥様がお呼びです。執務室にいらっしゃるとのことですので、至急向かってください。」


お父様とお母様にこのことについて少し相談できるのはありがたい。一旦自分だけ帰って数日後にカイトスとアルナイルを迎えに来るのも一つだろう。お母様なら良いと言ってくれそうだし…


「わかったわ!」

私は部屋から出て急いでお父様たちのいる執務室へ向かった。



執務室に着くと、ノックもそこそこに扉を開ける。


「お父様、お母様お待たせして申し訳ございません。」


「いや、構わん。先ほどエルダから話は聞いている。明日急遽帰らなくてはならなくなったそうだな。」


「はい、実は…」
手紙に書いてあった内容を話す。オディロンが家に訪れたこと。備蓄として置いておいたお米や小麦粉を持ってまた家から出て行ったこと。従者や侍女が止めても止まらず、それどころか暴言を吐いてきたことなどをだ。


「そして、また1つの袋を置いて行ったそうなのです…。手紙はそこで途切れていたので、確認できていないのですが、嫌な予感がしてしまって…。」


1つの袋と聞いた瞬間、お父様やお母様の顔がみるみる険しくなっていった。


「そうだな…それは早めに確認した方がいいだろう。話は大体わかった。明日、お前は馬で先に帰りなさい。カイトスとアルナイルは、馬車で私たちが連れていく。フレイチェもそれでいいか?」


まさか、お父様が2人を連れて馬車で来てくれるとは思っていなかったが、私がまた王都に迎えに来るとなると時間がかかるし、とてもありがたい。


「えぇ、構わないわ!むしろ今お昼を過ぎたばかりだし、馬で行けばスフェレライト領には陽が暮れる前に着くでしょう。こちらのことはいいから、ジェラルディーナは今から戻りなさい。明日朝いちで私たちもそちらへ向かうから。わかったわね?」


お母様の言葉を聞いて、お父様の方を見ると「そうだな…その方がいいかもしれん。」と独り言のように小さい声で一言いうと少し考えてから、

「出発は1時間後だ。それまでに準備をしておきなさい。」


と一言言ってお父様は出て行った。

まさかここまでとんとん拍子話が進むとは思っていなかったけど、今は家族に感謝しかない。

私は部屋に戻って急いで準備をした。



***


ジェラルド視点。


ジェラルディーナから話を聞いた後、私は急いで王宮へと向かった。向かったのは国王の元ではなく、ラルフリードのところだ。
王都からスフェレライト領までの道程で危ないところがあるわけではないが、一人で帰らせるのも気が引けた私はラルフリードにお願いしようと思ったのだ。

ラルフリードのいるであろうエリオット殿下の執務室へ向かうと、タイミングよく3人が執務室から出てくるところだった。


「ラルフリード。」


「ち、父上!?父上がここに来るなんて珍しいじゃないですか!!何かあったんですか?」


声をかけるとラルフリードがこちらに気付いて近づいてくる。ここまで急いできたからか、少し息が上がってしまっていた。


「急ですまぬが、ジェラルディーナがスフェレライト領に戻ることになった。急ぎだから馬で戻るんだが、お前に護衛を頼みたくてな。」


私の雰囲気と、急遽帰ることになったこと、それも馬でときたら何かあったことは察しが付くだろう。ラルフリードは何も聞かずに頷く。


「わか…「わかった。俺が行こう!」」

 




……


………


「「「え!?」」」


ラルフリードの言葉に被せるように返答してきたのは、ここまで話を聞いていたエリオット殿下だった。


「エリオット殿下が行くのですか?」


「あぁ。それに私が1年間はスフェレライト領の領主代行のようなものだ。だからスフェレライト領に行っても問題ないだろう。それに領主代行として、何が起こったのか心配でもあるからな。」


取ってつけたような言い訳に、皆溜息をつく。



「「「(どうせ、ジェラルディーナと一緒にいたいだけだろうが…)」」」



「仕方がありません。王子が行くと言ってきかないのですから、ラルフリードと私が一緒についていきましょう。フローライト伯もそちらでよろしいでしょうか?」


これ以上言っても埒が明かないと思ったフィリベールが3人で行くことを条件に出して、ひとまず話はまとまった。


「構わない。何があったかはジェラルディーナから話を聞いてくれ。私は明日カイトスとアルナイルを連れてスフェレライト領に向かうから。頼んだよ。」


それだけ伝えると、私は急いで邸に戻った。


感想 52

あなたにおすすめの小説

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

妃殿下、私の婚約者から手を引いてくれませんか?

ハートリオ
恋愛
茶髪茶目のポッチャリ令嬢ロサ。 イケメン達を翻弄するも無自覚。 ロサには人に言えない、言いたくない秘密があってイケメンどころではないのだ。 そんなロサ、長年の婚約者が婚約を解消しようとしているらしいと聞かされ… 剣、馬車、ドレスのヨーロッパ風異世界です。 御脱字、申し訳ございません。 1話が長めだと思われるかもしれませんが会話が多いので読みやすいのではないかと思います。 楽しんでいただけたら嬉しいです。 よろしくお願いいたします。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

お言葉ですが今さらです

MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。 次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。 しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。 アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。 失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。 そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。 お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。 内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。 他社サイト様投稿済み。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

分厚いメガネを外した令嬢は美人?

しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。 学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。 そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。 しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。 会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった? この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。 一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。