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アジュアール国へ。
アジュアール国の最後
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マルヴィナ王妃視点。
国王陛下であるアンドレアスが倒れてから3年。ずっと機会を狙っていたもののなかなか動くことが出来ずにいた。
私たちが迂闊に動けば他のもの達が処刑される。
この3年間でどれだけの人が処刑されたか分からないほどだ。
中には処刑ではなく毒殺された人もいる。
これからも動けずこのまま我慢し続けなければならないかと思った時…
私たちの元に光が差し込んだ。
ドラウゴン国。海の先にある国であるにもかかわらず、私たちの国にまで名前が轟いている国だ。
戦は負け知らず。内政は常に安定していると言われており、他国も下手に戦争を仕掛けることは無いと聞く。そして、助けを求めれば助けてくれる優しい人達ばかりだとも…
そんな王族であるメロライン姫が今目の前にいる。こんな年端もいかない子にお願いするなんて申し訳ないとも思ったが、私は恥を忍んでお願いすることにした。
「マルヴィナ王妃。これからここは戦場になります。私が動けば私の兄と仲間達が来るでしょう。そこでお願いが…もし、兄達が来たら中に入れてください。恐らく王宮側には別のものが向かってくれるでしょう。王宮に味方はおりますか?」
「えぇ、私の息子エリアスと、その側近がいるはずです。側近たちは事情を知っているので大丈夫かと。」
エリアスも13歳。国王陛下のこと、国の事は理解できるとしになっているはずだ。フェサリスが味方かは分からないところだけれど、私残りの全てを任せて先に脱出することにした。
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メロライン視点。
「さぁ、やりますか!」
腕や足を軽く回してから剣を片手に動き出す。久しぶりに暴れられると思うととても楽しみだ。
先程マルヴィナ王妃が言っていたことを思い出し、私は今いる方向と真逆にある大きな建物内に侵入した。
中からは異様な匂いが込み上げてくる。取り敢えず鼻を布で覆ってから少しづつ進んでくると、女性たちの泣き叫ぶ声が聞こえた。
成程。どうやらこの義弟。加虐趣味があるらしい。
私は一つ一つの扉を蹴破りながら先に進む。
「どーこーにーいーるーのーかーなー!」
出てくるのは女性たちばかりでなかなか義弟やその仲間が出てこないが、1番奥の扉から光が漏れ出しているのが見える。
「あそこか…。」
扉に耳を近づけて中の様子を伺ってると女性が泣き叫びながら謝っている声が聞こえてくる。
「もう、いい加減にしてください。上納金もお支払いしていますし、我が家にはもうお支払いできるものがありません。」
「なんだと?俺に楯突いていいと思っているのか!お前の家族同様、処刑してやってもいいんだからな!!」
バシバシと女性を叩くような音と同時に凄い言葉を耳にするヘルムート。
私はあまりの胸糞悪さに扉を蹴破った。
「こんにちわぁ!ヘルムートさぁん。いやねぇ、お話全て聞かせてもらいましたよぉ?」
そこにいた女性は裸のまま急いでこの場を去っていく。外に出れば誰かしらに会えるだろう。
「な、なんだ!お前は!」
「あははぁ!気づかないですぅ?お前が残るように言ったんだろぉが!このクズ野郎。」
ヘルムートの顔面を拳のまま勢いよく殴る。メリメリという音と共に右頬が綺麗にへこんだ。
「あぁ、これは先程の女性の分ですね。貴方何人の女性をいたぶってきたのでしょうか。」
倒れているヘルムートの前髪を鷲掴みこちらに顔を向けると、ヘルムートが大きな声を出した。
「お前ら!こいつをすぐ捕まえろ!俺のペットにしてやる!!」
するとゾロゾロと狭い部屋の中にたくさんの男たちが入ってくる。
どこをどう見てもこの国の貴族とは思えない服装。恐らく盗賊の類いだろう。
「わぁ!私をペットですかぁ。それはそれは兄様達が聞いたら、さぞお怒りになられるでしょうね。」
勢いよく壁を殴ると、バラバラと壁が崩れる。
案外この建物造りが甘いらしい。
「見晴らしも良くなりましたし、2回戦と行こうか。このクズ共。」
その言葉と同時に床を蹴ると後ろにいた野盗たちが剣を持ちだした。
1.2.3.4......軽く20人はいるようだ。
私は一人一人の攻撃を交わしながら的確に相手の急所をついて行く。毎回思うけど、剣を使う間もなく倒れてしまうのはどういう事だろうか。
20人の男を気絶させたあと、ヘルムートの方に向き直った。
「ヘルムート。お前の所業は全て王妃から聞いている。モルガンとの関わりについて聞きたいことがあるから生かしておいてやるが、地獄を見ることになるのは忘れるなよ。」
そう言って剣を股間スレスレに突き刺してやると、ズボンが湿っていくのが見える。
大の大人が漏らしてしまったようだ。
「メローラ!!」
「あっ!ボァ兄様!!助けに来てくださったんですね!」
「お、お、おま…この建物殴ったな!この建物が崩落したおかげで他の建物も崩れている。どんな力で殴ればそんなことになるんだ!!!」
私の前まで鼻息荒くズカズカと歩いてくるボァ兄様。
「え、え、えぇっと…ハハハハ…ハァ…すみません。」
そこまで強く殴ったつもりはなかったんだが、まさかここまでなるとは思っていなかったのは本当だ。
「はぁ…壊してしまったものは仕方ない。取り敢えずその男を捕まえろ。王宮に行く。あちらはあちらで
ミルとウェインがカタをつけているはずだ。」
目の前にいたヘルムートとその他の盗賊たちを簀巻きにし王宮まで運ぶ。後宮のことはマルヴィナ王妃がなんとかしてくれるそうだ。
そして王宮についてみると、こちらはこちらでミル兄様が暴れたのであろう痕跡が至る所にあった。
これをみて、ボァ兄様がまた頭を抱えたのは言うまでもない…。
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