氷の貴公子は隣国の仮面令嬢に恋をする。

ゆずこしょう

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告白。

告白。リディアーヌ視点。

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お父様が、リュシアン様に何かいい方法がないかと聞くと、少し考えてから…私の方を見る。


なんだろうか…。



「そうですね…では…リディアーヌ嬢にお願いが…」




「は、はい…何でしょうか…?」






……


………



無言の時間が続いて、思わず私もゴクリと唾を飲み込んだ。




「好きです。私と婚約しましょう。」







「へ…?あ、あの…えっと…」

どういうこと?
前から好きって言ってはくれていたけど、ここで婚約について話す必要があるのだろうか。


「リュシアン様…今それどころではないと思うのですが…?」



「いや…今だからこそ聞いて欲しい。リディアーヌ嬢…私と婚約して欲しい…」



私があたふたしているのが分かったのだろう。サミュエル王太子殿下が溜息をついてから話し出した。


「はぁ…リュシアン…それでは言葉が足りないよ。リディアーヌ嬢。リュシアンが君を好きという気持ちは本当なんだ。その上で聞いて欲しい。これはね、アルデール国を守るだけでなく、君を守るために必要なことだからだ。」


そこからサミュエル王太子殿下が、リュシアン様の代わり話し出した。


「まず、子供がさらわれていること。おそらくまだ攫われているだけで、殺されてはいないだろう。」

殺す前にセリエール国からアルデール国へなにか要求をしてくる可能性が高い。


セリエール国の国王はお父様が民を見捨てることは出来ないことを知っている。


「要求の1つにお金の事も含まれるだろうが、婚約破棄を取り消すように言ってくるだろう。」



「ですが婚約破棄はサインも貰ってますし、成立しています。それにエピナール王太子がキャロット以外の女性と婚約したがるはずがないかと…」



「甘いな…セリエール国は一夫多妻制でも問題ない国だ。」


そういう事か…


第2王妃、側室として戻ってこいと言う可能性もある。それに愛していなくても、仕事を代わりにしてくれる人が居ればいいだろう。


場合によっては、部屋から出ずに仕事させられ続ける未来もあるかもしれない。


「そういう事ですか…。」


「そういう事だ。で、あれば…そうなる前に婚約してしまった方がいいと考えたんだろうが…それを理由にしたくないんだと思うよ。リュシアンはね…。」


なるほど…リュシアン様の気持ちはとても嬉しい。誠実な人だと言うのも凄くわかる。
それに、アルデール民の話をしても気味悪こともしなかった…

ルノアール国の改革をサミュエル王太子殿下としてきたような人だ。エピナールのような事はしないだろう。

でも好きかどうか…と言われると別だ…

まだ出会ったばかりで、相手の事をそこまで知っている訳では無い…


「エピナールの事があって信じきれないのは分かる。だが、俺はリディーのことを裏切らないと誓おう。もし、裏切ったとしたら…その時は…君の好きにしてくれて構わない。」

力強い目に吸い込まれそうになる。


この人なら信じられるかもしれない。


「わ、分かりました…よろしくお願いします。」


「い、いいのか?もし、婚約したら俺は君を離す気は無いが…。」


「はい。貴方のその目に負けました。これからよろしくお願いいたします。リュシアン様。」

リュシアン様に思ったことを伝えると、少しだけ口角を上げて「ありがとう。」と返してきた。
リュシアン様たちがここにきてから、1ヶ月以上時間が経っているけど、あまり笑ったりする顔は見なかったからなんだか新鮮な気持ちだ。


お父様の方を見ると反対をする気は無いのか頷いているだけ。

「リュシアン、リディアーヌ嬢。君たちの婚約はここにいる全員が承認だ。皆もよろしいだろうか?反対のないものは拍手を…」

サミュエル王太子殿下がいうと皆が立ち上がって拍手してきた。

反対する者がいないと分かると、

「これで2人の婚約は認められた。ルノアール国、国王に代わり、サミュエル・ルノアールがルノアール国の証人となる。」

そう言うとさらに拍手の音が大きくなった。



⟡.·*.··············································⟡.·*.


リューク視点。


「旦那様。アルデール国から手紙が届いております。あとリュシアン様からもです。」


リュシアンがアルデール国に向かってからというもの1度も連絡が来ることがなかった。
国王から、サミュエル王太子から1度手紙が来たことを聞いていたから無事にアルデール国に着いたことは知っていたが…

まさかアルデール国からとは何かあったということだろうか?
私は手紙を受け取るとすぐに中身を確認するとそこにはリュシアンとリディアーヌ嬢が婚約することになった旨が書かれていた。

それと、リュシアンからの手紙にはリディアーヌ嬢を一度連れていくとも書かれていた。


「まさか…そこまで話が言っていたとは…これは陛下とアリアンヌに知らせねばならないな…」


リュシアンとリディアーヌ嬢が婚約することになるとセリエール国が黙ってはいないだろう。話によるとエピナール王太子はリディアーヌを探していると聞く。

なぜ探しているのかは大体想像がつくが…

正直、アルデール国が平和協定を結んでくれるのであればセリエール国との協定はどうでもいいのだ。

今の国王になってから色々やりすぎだからな…


私は急ぎ国王の元に向かい、今後について話し合うことにした。
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