氷の貴公子は隣国の仮面令嬢に恋をする。

ゆずこしょう

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婚約式

ルノアール国に向けて。

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リディアーヌ視点。


婚約が決まってから数日後。

私たちはこれからの動きについて話し合っていた。
婚約した以上、アルデール国にずっといることは出来ない。それにアルデール国としてもずっとこのままでいる訳には行かないだろう。


「一度、リュシアン様のご両親にも挨拶に行かなくてはならないですし、一度ルノアール国へ行った方がよろしいですね。」


「そうだな。俺達もずっとここにいる訳には行かない。で、あればルノアール国で盛大に婚約式を行うのはどうだろうか。」


「それはいい案かもしれないな。そこにセリエール国の方たちも呼んで全てを片付けるのはどうだろうか。」


確かにこれからも色々と言われるのは困る。で、あれば先にこちらから呼び出して全てを終わらせることもひとつだろう。


「それはいい案ですね。お父様…もし良ければ私たちも平和協定に参加させて頂くのはどうでしょうか?勿論、他の国々との話し合いもあると思いますし、すぐには無理でしょうが…サミュエル王太子殿下。一つだけ教えて頂きたいのですが、今後セリエール国は平和協定から抜けることがあるのでしょうか。」


セリエール国が平和協定に入っている以上、アルデール国としては参加したくない。それに今のセリエール国は平和とは程遠い。本当にこのままでいいのかと言われると難しいところである…。


「その辺りについては、俺の弟が調査をしていることだろう。だが俺達はアルデール国の民をこのままにしておく気はない。君たちを少しでも守れるように出来れば平和協定に参加して欲しいところだ。そうすればもっと交流が増えて発展していくと思うからね。」


半分くらいの人は他国と関わりを持っているが、残りの半分は未だに外に出ることはしていない。
そう言った人達は昔家族が攫われたり、虐められたりして来た人たちだ。外の人達が全員危なくない人だと頭で理解はしていても中々外に出られないのだろう。


今まで私たちの話を聞いているだけだったリュシアン様が、口を開いた。


「アルデール国王陛下。いえ、義父上殿。出来れば私としてもルノアール国とアルデール国で交流が持てれば良いと思っております。ですので、私たちの婚姻がその架け橋になれば嬉しいのですが…もし良ければ一度我が国にいらしていただけませんか?きっと私の両親も義父上殿に会いたいと思っているかと…。」


「…そうだな。1度は挨拶しないといけないし、婚約式はルノアール国で行うことになるだろう。セリエール国のこともあるから、どうしても慎重になってしまうのは許して欲しい…」

いい関係を築いていたはずが代替わりしたことでどんどん変わってしまったセリエール国。

他の領主たちの中には私たちよりも長く生きているものばかりだ。恐らく先代よりもっと前こセリエール国国王陛下を知っているものもいる。

そういった人達からすればあまりいい印象は抱かないだろう。


「そちらについては重々承知しております。では、婚約式の日取りを決めるために私たちは一度ルノアール国へ戻りますので、日にちが決まりましたらいらしてください。」


「では、リュシアン様。私もリュシアン様のご両親に挨拶をさせて頂きたいですし、婚約式の準備もあると思いますので一緒にルノアール国へ行きたいのですがよろしいでしょうか?」

リュシアン様に一緒に行きたいことを伝えると、少し吃驚してから、「分かった」と返事をしてくれた。


⟡.·*.··············································⟡.·*.


リュシアン視点。


まさかここまでトントン拍子に話が進むとは思っておらず、リディーが一緒にルノアール国へ来てくれるといった時は吃驚した。

ただ、婚約式を行うとなるとドレスの準備なども必要になってくる。
本当は母上に任せようと思っていたのだが、一緒に準備が出来るのであればリディーが着たいものを準備してあげられるだろう。


セリエール国の夜会で見たドレスも素敵ではあったが、リディにはもっと大人っぽいドレスの方が似合うだろう。

赤なども似合うだろうが、紺などの少しシックな色もいいだろう。それに出来れば俺の色のドレスや装飾品をつけて欲しい…金髪に合わせた黄色とか目の色に合わせた水色もいいな。



少し前の俺だったらこんなこと思うなんてこと無かったのにな…


恋というのは不思議なものだ。


自分で全て決めたい所だが…俺にはそういったセンスがない…ルノアール国に戻ったら一度母上に相談してみるか。


婚約式の件も含めて行わなければならないことは沢山あるが、リディーと一緒にいられると思うだけで頑張れそうだ。


俺達の未来のためにもセリエール国はここで潰しておかなければならないだろう。

「まずは戻ったらセリエール国をどうするか、父上たちに相談だな…」


こうして俺は翌日、リディー、サミュと一緒にルノアール国に戻った。
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