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婚約式
ルノアール国。リュシアン視点
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ルノアール国に戻ると、父上と母上が出迎えてくれた。前もって手紙を送っておいたから準備をして待っていてくれたのだろう。
「おかえり。リュシアン。それにようこそルノアール国へ。リディアーヌ嬢。」
「ただいま帰りました。父上、母上。」
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。リディアーヌ・アルデールと申します。これからよろしくお願いいたします。お義父様、お義母様。」
リディーが2人のことを父、母と呼んでくれている。いい響きだ。まだ結婚した訳では無いが…家族になったようで幸せだ。
リディーが挨拶をすると父上も母上も快くリディーを受け入れてくれた。
「さて、リュシー、リディー。婚約の話リディーの父であるアルデール国国王陛下から連絡を貰っている。それでだ、今後のことについて話しておきたい…」
4人で夕食を食べ終えたあと、俺は父に呼ばれリディーと一緒に執務室へ向かった。
「はい。」
「で…だ。リディアーヌはアルデール国の姫という事になる。姫をこの国に迎え入れることになるのだ。アルデール国とルノアール国は友好国となるに等しい。しかしだ、今セリエール国の事があるからな。先にこちらを片付けてしまいたいと言うのが私と国王陛下の考えだ。」
アルデール国がセリエール国から独立してからまだ数ヶ月。セリエール国からしたら面白くはないだろう。
「お前たちはアルデール国にいたから知らないかもしれんが…エピナール王太子殿下が血眼になってリディアーヌを探しているという情報が入っている。」
父上の話によるとリディアーヌが居なくなったことで今まで上手く回っていたことが一切回らなくなっているそうだ。
国王の仕事、エピナールの仕事。そして宰相の仕事。全てを行っていたのがリディーだったと言っていたし、回らなくなるのは当たり前だろう。
「それに…だ。人口の半分以上は他国へと移動している。今セリエール国は国民も減っていて、どこの領地も閑散としている状態だ。」
「まさか…そのようなことになっていたのですね。それで国民たちは大丈夫なのでしょうか?」
国の心配よりも民の心配か…。いつも民たちのことを思っているのもリディアーヌのいいところだな。
「それは安心して欲しい。それぞれの国に連絡をして受け入れ態勢は整えておる。勿論、ルノアール国でもな。ただ、それでも受け入れには限界があるから、セリエール国を何とかしなければならない。」
確かにいくらバラけて受け入れたとしても限界があるだろう。父上たちの話し方的にもしかしたらセリエール国をアルデール国国王陛下に任せようとしているのではないだろうか。
「この話はアルデール国王陛下が来てから国王陛下同士で話をする予定だが…民達は皆、オデール公爵が戻ってきたら戻りたいと言っているのだ。」
ここまで話したらリディアーヌもわかったのだろう。
「セリエール国をアルデール国にすると言うことですね…。」
「そういう事だ。話が少し逸れてしまったが、今回の婚約式。セリエール国の王族を招待して偽の婚約式を1度行おうと思っている。恐らくあいつらの事だ。何かしら仕掛けてくると思っている。」
セリエール国の状態を考えれば戦を仕掛けてきてもおかしくないだろう。
もし戦を仕掛けてくれば…それこそセリエール国は終わりだ。平和協定のなかで戦をすれば協定国から外されることとなる。これは協定を組む上でのルールだ。
そこを父上や国王陛下は狙っているということだろう。
「分かりました。リディー。君を見世物とするのは忍びないが…大丈夫だろうか…?」
アルデール国に戻ってから仮面令嬢と呼ばれていた時と違い、少しづつ表情が元に戻ってきたリディアーヌ。
またあのボンクラ王子と、キャロットという女にあったら元に戻ってしまう可能性もあるかもしれない。
出来れば会わせたくないが、これが一番スムーズに事が進むことだろう。
「大丈夫ですよ。それにこれ以上、民たちが苦しむ姿は見たくありませんし、この一回で全てが終わると思うと、頑張れるというものです。」
「ありがとう。では婚約式の準備をしようか。父上には、アルデール国王へ書状を送っていただいてもよろしいですか?」
「あぁ、勿論だ。その辺りはこちらに任せなさい。リディアーヌ。少し落ち着くまでは大変かもしれないが、ルノアール国もいい所だ。少しずつ慣れていってほしい。」
父上はそれだけ話すと執務室から出ていった。
「リディー。すまないな…守ってやりたいのだが、お前を矢面に出すことになる…ただ、俺はお前をエピナールに渡すつもりは無い。今回だけ辛抱してくれ…。」
リディーと2人になるのはなんだか久しぶりな気がする。いつもサミュが近くにいたし、いい雰囲気になるという事もあまりなかった。
愛している婚約者を元婚約者に合わせるのは出来ればしたくない…。
「クスッ。充分守ってもらっていますよ?いつも真正面から気持ちをぶつけてくれるのは本当に嬉しいです。ですので、リュシアン様はそのまま真っ直ぐなリュシアン様でいてくださいませ。それに私の直感が言っているのです。今回の作戦、絶対上手く行きます。だから大丈夫です!」
リディアーヌの直感が…たしか昔からよく当たるとサーニャが言っていたな。
以前言っていた特殊能力…もしかしたらリディーの場合はこの直感なのかもしれない。
こうして俺たちは婚約の準備を進めた。
「おかえり。リュシアン。それにようこそルノアール国へ。リディアーヌ嬢。」
「ただいま帰りました。父上、母上。」
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。リディアーヌ・アルデールと申します。これからよろしくお願いいたします。お義父様、お義母様。」
リディーが2人のことを父、母と呼んでくれている。いい響きだ。まだ結婚した訳では無いが…家族になったようで幸せだ。
リディーが挨拶をすると父上も母上も快くリディーを受け入れてくれた。
「さて、リュシー、リディー。婚約の話リディーの父であるアルデール国国王陛下から連絡を貰っている。それでだ、今後のことについて話しておきたい…」
4人で夕食を食べ終えたあと、俺は父に呼ばれリディーと一緒に執務室へ向かった。
「はい。」
「で…だ。リディアーヌはアルデール国の姫という事になる。姫をこの国に迎え入れることになるのだ。アルデール国とルノアール国は友好国となるに等しい。しかしだ、今セリエール国の事があるからな。先にこちらを片付けてしまいたいと言うのが私と国王陛下の考えだ。」
アルデール国がセリエール国から独立してからまだ数ヶ月。セリエール国からしたら面白くはないだろう。
「お前たちはアルデール国にいたから知らないかもしれんが…エピナール王太子殿下が血眼になってリディアーヌを探しているという情報が入っている。」
父上の話によるとリディアーヌが居なくなったことで今まで上手く回っていたことが一切回らなくなっているそうだ。
国王の仕事、エピナールの仕事。そして宰相の仕事。全てを行っていたのがリディーだったと言っていたし、回らなくなるのは当たり前だろう。
「それに…だ。人口の半分以上は他国へと移動している。今セリエール国は国民も減っていて、どこの領地も閑散としている状態だ。」
「まさか…そのようなことになっていたのですね。それで国民たちは大丈夫なのでしょうか?」
国の心配よりも民の心配か…。いつも民たちのことを思っているのもリディアーヌのいいところだな。
「それは安心して欲しい。それぞれの国に連絡をして受け入れ態勢は整えておる。勿論、ルノアール国でもな。ただ、それでも受け入れには限界があるから、セリエール国を何とかしなければならない。」
確かにいくらバラけて受け入れたとしても限界があるだろう。父上たちの話し方的にもしかしたらセリエール国をアルデール国国王陛下に任せようとしているのではないだろうか。
「この話はアルデール国王陛下が来てから国王陛下同士で話をする予定だが…民達は皆、オデール公爵が戻ってきたら戻りたいと言っているのだ。」
ここまで話したらリディアーヌもわかったのだろう。
「セリエール国をアルデール国にすると言うことですね…。」
「そういう事だ。話が少し逸れてしまったが、今回の婚約式。セリエール国の王族を招待して偽の婚約式を1度行おうと思っている。恐らくあいつらの事だ。何かしら仕掛けてくると思っている。」
セリエール国の状態を考えれば戦を仕掛けてきてもおかしくないだろう。
もし戦を仕掛けてくれば…それこそセリエール国は終わりだ。平和協定のなかで戦をすれば協定国から外されることとなる。これは協定を組む上でのルールだ。
そこを父上や国王陛下は狙っているということだろう。
「分かりました。リディー。君を見世物とするのは忍びないが…大丈夫だろうか…?」
アルデール国に戻ってから仮面令嬢と呼ばれていた時と違い、少しづつ表情が元に戻ってきたリディアーヌ。
またあのボンクラ王子と、キャロットという女にあったら元に戻ってしまう可能性もあるかもしれない。
出来れば会わせたくないが、これが一番スムーズに事が進むことだろう。
「大丈夫ですよ。それにこれ以上、民たちが苦しむ姿は見たくありませんし、この一回で全てが終わると思うと、頑張れるというものです。」
「ありがとう。では婚約式の準備をしようか。父上には、アルデール国王へ書状を送っていただいてもよろしいですか?」
「あぁ、勿論だ。その辺りはこちらに任せなさい。リディアーヌ。少し落ち着くまでは大変かもしれないが、ルノアール国もいい所だ。少しずつ慣れていってほしい。」
父上はそれだけ話すと執務室から出ていった。
「リディー。すまないな…守ってやりたいのだが、お前を矢面に出すことになる…ただ、俺はお前をエピナールに渡すつもりは無い。今回だけ辛抱してくれ…。」
リディーと2人になるのはなんだか久しぶりな気がする。いつもサミュが近くにいたし、いい雰囲気になるという事もあまりなかった。
愛している婚約者を元婚約者に合わせるのは出来ればしたくない…。
「クスッ。充分守ってもらっていますよ?いつも真正面から気持ちをぶつけてくれるのは本当に嬉しいです。ですので、リュシアン様はそのまま真っ直ぐなリュシアン様でいてくださいませ。それに私の直感が言っているのです。今回の作戦、絶対上手く行きます。だから大丈夫です!」
リディアーヌの直感が…たしか昔からよく当たるとサーニャが言っていたな。
以前言っていた特殊能力…もしかしたらリディーの場合はこの直感なのかもしれない。
こうして俺たちは婚約の準備を進めた。
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