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婚約式
セリエール国の最後。リディアーヌ視点。
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来て早々、思っていた通りの動きをするエピナールと、セリエール国の国王。
恐らく次は…顔を真っ赤にして怒り始めるはず…
セリエール国王の顔を見ていると思っていた通りに顔が少しずつ赤くなっていく。まるでやかんが少しずつ沸騰していくようだ。
「なんだと!?この私が直々に許すといっておるのだ!!それに私は認めていないぞ!セリエール国から独立することも、エピナールとの婚約破棄もだ。婚約破棄するのであれば…そうだな金貨1億枚を用意すれば破棄してやってもいいだろう。そもそもリディアーヌが全て悪いのだ。エピナールという婚約者がいながら別の男と婚約など断じて許せん!」
「い、い、いちおくぅぅぅ!?」
思わず金貨の金額にお父様も目を回している。そもそも今までだってかなりの金貨を出していたというのに…
そもそも何故私がすべて悪いというのだ。段々聞いていて腹が立っていた私はついに口を開いた。
「セリエール国王陛下。今まで我慢してきましたが…いい加減我慢の限界です!金貨を一億枚用意しろって…それはこちらのセリフですわ。今までオデール領で支払ってきた夜会やお茶会の金額、それとあなたたちが購入した高級品、ドレスすべて合わせたら金貨1億枚を軽く超えております!こちら今までオデール領で肩代わりしてきましただ金額の書類です!そ・れ・と…こちらは今までエピナール王太子殿下がキャロット様に使ってきたお金の金額です。キャロット様とエピナール王太子殿下が一緒に居られるようになってからですから約5年分ほどでしょうか。」
両手に書類を持って2人の前に突き出す。
2人は私から勢いよく紙を取ると紙を破いて証拠隠滅しようとする。
「こんなもん…こうしてやる!」
「全く、キャロットに嫉妬しているからってこんなものまで用意して、そこまで王妃になりたいのか!!」
どうしてそうなるんだ…誰も王妃になりたいなんて思っていないのに…
「あの、全く王妃になりたいなんて思っておりません。私は貴方のことをこれっぽっちも好きだと思ったことがないのです。それに、紙を破かれたところでこちらに控えもありますので…」
もう一枚別の書類を手に取るとずかずかと私に近寄ってきた瞬間、隠していたナイフを大きく振り上げた。
何となく何かを隠し持っているだろうなとは思っていたけどまさかナイフだったとは…。
これは防御が間に合わないなとボーっと眺めていると、リュシアン様が持っていた剣でナイフを防いだ。
「リュシアン様…すみません。」
「大丈夫か…?リディアーヌ…まったく気が強いのも君のいいところだが、君がいなくなったら私は生きていけない。わかってくれ…」
普段あまり表情が動かないリュシアン様が悲しそうな顔をして私を抱きしめてくる。
「申し訳ございません…。」
「いや、いいんだ。君が無事ならそれで…。あとはサミュエルたちに任せよう。」
リュシアン様の後ろを見ると、こちらにサミュエル王太子殿下と、国王陛下、そして平和協定を結んでいる国々の重鎮たちが歩いてくる。
「話は全て聞かせてもらった。君たちは今私の大事な側近の婚約者に手を上げようとしたね。平和協定を結ぶ約束の一つとして、お互いの国の者には手を出さないというルールがある。もし手を出せば…その時は平和協定から抜けてもらうことになるが…それを分かっていて手を出したということでいいだろうか?」
まだ結婚はしていないからアルデール国の民ではあるけれど、リュシアン様と婚約をしているという時点でルノアール国の準国民であることは変わらない。そういうことだろう…
「うっ…私は手を出してはおらん。手を出したのは…エピナールだ!」
「父上!なんてことを言うんですか!?今ナイフを持っているのは父上ではございませんか!!」
罪の擦り付け合いをする2人…擦り付け合いをしたところで何も変わらないというのに…
「見苦しいぞ。セリエール国は今後平和協定から外す事となった。これは平和協定に参加する国々全ての総意である。それだけでは無いぞ。セリエール国に住んでいた半分以上の民たちは現在他の国へ移動している。理由はお前達が一番わかっているだろう。そこでだセリエール国の領地はアルデール国の領地とする。」
「そ、そ、そそんな横暴な!それに勝手に他の国に領地を渡すなど出来るわけないでしょう。」
確かにセリエール国の中の事を他国がホイホイ口に出していいことでは無い…出来るとしたら領地を全て制圧する他ないのだが…
「ま、まさか…」
私の言葉にサミュエル王太子殿下がウインクをしながら口に手を当ててきた。話すなと言うことだろう。
「ふん。お前の国などもう既に私たち平和協定に参加する国が制圧しておる。」
ルノアール国王陛下が、見下すように伝える。
「セリエール国の騎士達は私たちが周りを囲んだだけで白旗を降っているそうだぞ。お前たちを信頼する家臣などもうセリエール国にはいないようだ。」
セリエール国の中で中枢を担っていた貴族たちは全員捕まえたと報告も入っているらしい。
そこまで伝えると、全てが無くなったことを理解した国王陛下は床に膝をついた。
「まさか、そんなまさか…」
信じきれないのかブツブツと何かを言っているが誰も聞く耳を持つものは居なく、この場を去っていった。
こうしてセリエール国はアルデール国と名前を変え、差別のない国を作っていくことになったのである。
恐らく次は…顔を真っ赤にして怒り始めるはず…
セリエール国王の顔を見ていると思っていた通りに顔が少しずつ赤くなっていく。まるでやかんが少しずつ沸騰していくようだ。
「なんだと!?この私が直々に許すといっておるのだ!!それに私は認めていないぞ!セリエール国から独立することも、エピナールとの婚約破棄もだ。婚約破棄するのであれば…そうだな金貨1億枚を用意すれば破棄してやってもいいだろう。そもそもリディアーヌが全て悪いのだ。エピナールという婚約者がいながら別の男と婚約など断じて許せん!」
「い、い、いちおくぅぅぅ!?」
思わず金貨の金額にお父様も目を回している。そもそも今までだってかなりの金貨を出していたというのに…
そもそも何故私がすべて悪いというのだ。段々聞いていて腹が立っていた私はついに口を開いた。
「セリエール国王陛下。今まで我慢してきましたが…いい加減我慢の限界です!金貨を一億枚用意しろって…それはこちらのセリフですわ。今までオデール領で支払ってきた夜会やお茶会の金額、それとあなたたちが購入した高級品、ドレスすべて合わせたら金貨1億枚を軽く超えております!こちら今までオデール領で肩代わりしてきましただ金額の書類です!そ・れ・と…こちらは今までエピナール王太子殿下がキャロット様に使ってきたお金の金額です。キャロット様とエピナール王太子殿下が一緒に居られるようになってからですから約5年分ほどでしょうか。」
両手に書類を持って2人の前に突き出す。
2人は私から勢いよく紙を取ると紙を破いて証拠隠滅しようとする。
「こんなもん…こうしてやる!」
「全く、キャロットに嫉妬しているからってこんなものまで用意して、そこまで王妃になりたいのか!!」
どうしてそうなるんだ…誰も王妃になりたいなんて思っていないのに…
「あの、全く王妃になりたいなんて思っておりません。私は貴方のことをこれっぽっちも好きだと思ったことがないのです。それに、紙を破かれたところでこちらに控えもありますので…」
もう一枚別の書類を手に取るとずかずかと私に近寄ってきた瞬間、隠していたナイフを大きく振り上げた。
何となく何かを隠し持っているだろうなとは思っていたけどまさかナイフだったとは…。
これは防御が間に合わないなとボーっと眺めていると、リュシアン様が持っていた剣でナイフを防いだ。
「リュシアン様…すみません。」
「大丈夫か…?リディアーヌ…まったく気が強いのも君のいいところだが、君がいなくなったら私は生きていけない。わかってくれ…」
普段あまり表情が動かないリュシアン様が悲しそうな顔をして私を抱きしめてくる。
「申し訳ございません…。」
「いや、いいんだ。君が無事ならそれで…。あとはサミュエルたちに任せよう。」
リュシアン様の後ろを見ると、こちらにサミュエル王太子殿下と、国王陛下、そして平和協定を結んでいる国々の重鎮たちが歩いてくる。
「話は全て聞かせてもらった。君たちは今私の大事な側近の婚約者に手を上げようとしたね。平和協定を結ぶ約束の一つとして、お互いの国の者には手を出さないというルールがある。もし手を出せば…その時は平和協定から抜けてもらうことになるが…それを分かっていて手を出したということでいいだろうか?」
まだ結婚はしていないからアルデール国の民ではあるけれど、リュシアン様と婚約をしているという時点でルノアール国の準国民であることは変わらない。そういうことだろう…
「うっ…私は手を出してはおらん。手を出したのは…エピナールだ!」
「父上!なんてことを言うんですか!?今ナイフを持っているのは父上ではございませんか!!」
罪の擦り付け合いをする2人…擦り付け合いをしたところで何も変わらないというのに…
「見苦しいぞ。セリエール国は今後平和協定から外す事となった。これは平和協定に参加する国々全ての総意である。それだけでは無いぞ。セリエール国に住んでいた半分以上の民たちは現在他の国へ移動している。理由はお前達が一番わかっているだろう。そこでだセリエール国の領地はアルデール国の領地とする。」
「そ、そ、そそんな横暴な!それに勝手に他の国に領地を渡すなど出来るわけないでしょう。」
確かにセリエール国の中の事を他国がホイホイ口に出していいことでは無い…出来るとしたら領地を全て制圧する他ないのだが…
「ま、まさか…」
私の言葉にサミュエル王太子殿下がウインクをしながら口に手を当ててきた。話すなと言うことだろう。
「ふん。お前の国などもう既に私たち平和協定に参加する国が制圧しておる。」
ルノアール国王陛下が、見下すように伝える。
「セリエール国の騎士達は私たちが周りを囲んだだけで白旗を降っているそうだぞ。お前たちを信頼する家臣などもうセリエール国にはいないようだ。」
セリエール国の中で中枢を担っていた貴族たちは全員捕まえたと報告も入っているらしい。
そこまで伝えると、全てが無くなったことを理解した国王陛下は床に膝をついた。
「まさか、そんなまさか…」
信じきれないのかブツブツと何かを言っているが誰も聞く耳を持つものは居なく、この場を去っていった。
こうしてセリエール国はアルデール国と名前を変え、差別のない国を作っていくことになったのである。
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