夫に家を追い出された女騎士は、全てを返してもらうために動き出す。

ゆずこしょう

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全てを返してもらいます。

帰宅。

昨夜は朝方まで皆で飲み明かした。私が大隊長を務めた部隊はほとんどが残り半年の任期ということで、残りはルエルが引き継いでくれるそうだ。

グラスドラゴンが魔物大量発生の原因だったらしく、グラスドラゴンが居なくなったことで残るところBランクからDランクの魔物ばかりらしい。

みなに軽く挨拶を済ませたあと、団長の所へ向かう。

「ダックワーズ団長、今までお世話になりました!」

「オディで構わんと言っているだろうが…。」

「またお会いした時はオディと呼ばせて頂きます。」

団長はこの魔物討伐が終わるまでここに残るらしい。
「エル。これを渡しておく。アドルフがここには来ていなかったという書類だ。あと、お前に払った今までの給金だな。月銀貨30~100枚だ。」
初めの半年は30枚で、小隊長になってからの2年は50枚。中隊長で70枚。大隊長で100枚だそうだ。

「あとはお前がレッドドラゴンと、グラスドラゴンを倒したからな。特別給金を含めて銀貨5000枚だ。金貨にすると50枚だな。」

「金貨ごじゅぅぅううう!?」


「そうだ。アドルフにはバレないよう30枚は自宅に送っていたからな。銀貨1800枚。ここまで書いてあれば役に立ちそうか?」

まさかの金額にびっくりしてしまった。大体、一家族銀貨20枚あれば暮らせるくらいの危険手当がついているにしてもかなり裕福な暮らしができる。

「あ、ありがとうございます!隊長……まさかの金額にビックリしました。」

「お前はそれだけの事をやったからな。まぁ、ラウルやマウロもお前より任期は3年ほど短かったが、ドラゴン倒してたからそれなりの金額をもらっているはずだ。本当にどうなってるんだ。お前ら兄弟は…」

「まぁ、兄とマウロは、規格外ですからね!あの二人は怒らせるとろくな事にならないです。」

あの二人がキレると本当に手が付けられない。
誰に似たのかと思うけど、普段温和な父さんが怒ると似たような感じだからそっくりなんだと思う。

「フ。それは知っている。どれだけケンカをしてきたと思っているんだ。」

確かに私より喧嘩の相手をしていたのは団長だ。それにしても団長が笑うなんて始めてみた気がする。

「そうですよね。顔合わせると毎回喧嘩してましたもんね!あと、余計なお世話かもしれないですけど、団長笑った方がいいですよ。それじゃあ、お世話になりました。」


団長から書類を受け取り、乗合馬車の停車場に向かう道すがら、たくさんの部下だった人が声をかけてくる。

「「「隊長!!お元気で。今までありがとうございました。」」」

「おう!お前らも残りの任期を乗り切れよ!」

片手をあげて伝えると「隊長も、旦那さんときちんと蹴りをつけてくださいよー」なんて言葉が返ってくる。

帰ってからもうひとつの戦いが始まるが負ける気はさらさらないけど、少しばかり仲間たちから勇気を貰った。


⟡.·*.··············································⟡.·*.

ダックワーズ団長視点。

「よかったんですか?気持ち伝えなくて…」

いつもどこに身を潜めているのか不思議に思っているが、エルがいなくなると同時に顔を出すのはバルコだ。

「今は言う時じゃない。それにあいつの兄には手紙を送ってある。」

ラウルには前もって、任期満了になることとエルが爵位を賜ったことを手紙で報告した。騎士爵があれば今後騎士団などで仕事がしやすくなるだろう。

他の爵位と違って名誉爵位だから世襲制などでもないし、領地などがある訳でもない。現にあの一家は全員騎士爵持ちだ。

それだけ規格外の家ということになるが、辺境伯に住んでいるような奴らは強い奴らが多い。
魔物だけでなく、他国からも狙われ続けてきたからだろう。そして仲間意識も強い。

「へぇ。なんて書いたんですか?」


「帰還したら顔を出すと…な。」


アドルフは今回のことが知れれば間違いなく皆から批判を受けることになるだろう。
顔はあまり覚えていないが、いつも影でエルのことを悪く言っていたのは知っている。

「後、エルに渡した書類とは別に、もうひとつ書類を送っておいた。」

辺境伯家からしてみればしがない商家よりもしがない洋食屋を敵に回す方がよっぽど怖い。なんて言ったって、1人でドラゴンを倒すヤツらが集まっているのだ。
現当主である兄もそれはわかっている。本人たちは知らないだろうが、あの一家がいるから辺境伯領に安心して住めると思っている人達もいるだろう。

「あとは無事に、エルの離縁が進むのを待つばかりだな。」


「まだ気持ちも伝えていないのに…帰って別の恋人ができていないことを祈りますよ。」


バルコが何か話していたが、俺は聞こえないふりをして、早くエルを迎えに行くことばかり考えていた。






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