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悪役令嬢になりましょう!
悪役令嬢セット。
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「なんて…天気のいい朝かしら…私の心はどんより雲がかかっているというのに…」
朝起きて、大きく伸びをすると窓を見る。
本当に雲ひとつない快晴だ。
「おはようございます。ヴェロニカお嬢様。」
「おはよう。ハンナ。今日もいい天気ね。」
ハンナに朝の挨拶をすると、私は貴族院に行く準備を始める。
貴族院は15歳から18歳までの3年間、貴族としての教育を受ける場だ。アドルフ様は3年生で私と学年も違うため、上手く行けば合わなくて済むだろう。
まぁ…アドルフ様が迎えに来れば別だけど…
「アドルフ様な迎えに来ると思う?」
「どうでしょうか…昨日はヴェロニカ様の事すら記憶から抹消されていましたけどね。」
記憶から抹消って…。
もっとオブラートに包むとかできないのかしら。
確かに頭の片隅にでも覚えていれば私を置いて帰ったりはしないと思うけど、本当にこの家の人たちは使用人含めて言葉を隠すということをしないんだから!!
「と、言うのはあちらに置いておきましょう。」
箱を右から左に動かすように手を動かすハンナ。
「いやいや、置いておかなくていいから!」
私のツッコミに、不思議そうな顔で見つめてくる。
「本当に置いておかなくていいのですか?」みたいな顔はやめて欲しい。
「では、本題に…「今の話が本題じゃなかったの!?」」
思わずハンナの言葉を遮ってしまった私は悪くないと思う。
「はい。こちらをイザベラお嬢様から預かりまして…なんでも悪役令嬢セットと言うらしいです。こちらを着て貴族院に行くようにと…」
大きな箱をドサリと置くハンナ。見るからに重そうなんだけど一体何が入っているのだろうか…
というか、あのお姉様が準備したのだ…
ロクなものでは無いと言うのは想像がつく。
恐る恐る箱の中を覗くと…箱の中はキラキラと光っていた…
…
……
………
「ハンナ…これは…?」
思わず現実逃避したくなった私はハンナの方を見る。
「はい、こちらが悪役令嬢セットでございます。」
私は思わず、頭に手を置いて天を仰ぐ。楽しそうな顔をしながら準備をするお姉様の顔が目に浮かんだ。
「それは分かったわ…と、取り敢えず中を確認しましょうか…」
どこで買ったのか分からない真っ赤なドレス。胸元にとおきなリボンと、アクセントなのかわコラないが袖には白いフリルが着いている。
貴族院は服装自由だから何を着てもいい訳だけど、こんな派手なドレス着ていける訳が無い…そもそも皆動きやすい格好で来てるのに、誰がこんなドレスで行くというんだ。
そして縦巻きロールのカツラ。しかも髪の色は私の髪色と同じ金髪である…。
箱の中にはまだ色々入っていて、赤いパンプスに、赤い扇子。それとドレスに合うようなジャラジャラした宝飾類…扇子はご丁寧にファーまで着いている。
「今どきこんなにコテコテな悪役令嬢いるわけないだろ!」と、ツッコミたくなった私は間違っていないと思う。
「ほんと…このセット昨日の今日で一体どうやって準備したのかしら…」
思わず溜息が漏れる。
「ヴェロニカ様。イザベラ様から伝言がありまして…「こちらを着て行かなければ悪役令嬢は完成しないわ!やるからにはとことんやりなさい!やらなければ、殺られるだけよ!!」…との事です。」
私は誰に殺られに行くのかしら…。
って言うよりもイザベラお姉様の方が私よりもよっぽど悪役令嬢ですよ…
着ていかなきゃ着ていかないでお姉様に後から
「やっぱり言ったじゃない。インパクトが足りないのよ!」
と言われる未来が見えた私は、
仕方なく、仕方なーく…お姉様の用意した悪役令嬢セットに着替えて貴族院に行くことにした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
貴族院に着くと、目線が一斉にこちらを向く。
同情の目、好奇な目、蔑みを含んだ目など様々だ。1番多かったのは目を丸くして吃驚する顔だろうか。
ただ言えるのは余りいい気はしない。
---「きいたぁ?目の前で婚約者が別の女の子を追いかけていったらしいわよ…」
---「その話聞いたわ!人通りが多いところだったみたいで、結構見ていた人多いんだってぇ…」
---「それは少し可愛そうね…私だったら耐えられないわ。昨日の今日でよく来れるわよね…しかもあの格好…笑っちゃダメなのは分かるけど、笑っちゃいそう!」
なんて声が色々なところから聞こえてくる。
やっぱり、結構人通りもあったし色々な人に見られていたようだ。
思っていた通りアドルフ様の迎えはなく…。本当に記憶から抹消されたようだ。
今までであればなんだかんだ迎えに来てくれていたのに…。
昨日の今日で会いたいか聞かれれば会いたくなくなかったし、出来れば今の服装を見られたくなかったからありがたい。
縦巻きロールに真っ赤なドレス。そしてハンナが施した悪役令嬢風メイク。見るからにいつもの自分とは正反対の見た目…
誰だって見たら笑ってしまう。
私だって鏡をみた時は笑いそうになったもの…というか、お母様たちは大笑いしていたわ。
「はぁ…」
沢山の目から逃げるように教室に入ると、少ない友人が声をかけてきた。
「ヴェロニカ。おはよう!昨日の話きいたわ…ってどうしたのよ?その格好…。イメチェン?」
「おはよう。ジャンリーネ。昨日の話…やっぱり噂が回るのが早いわね…この格好は…お姉様に無理矢理…」
ジャンリーネ・ハインツェル。
ハインツェル辺境伯家の長女で、私の数少ない友人の1人だ。辺境伯家ということもあるのか剣術に精通しており、そこら辺の男の人よりも強い。
貴族院に来てから友人になった1人で、お姉様やお兄様の事も勿論知っている。
「本っ当にヴェロニカの家は皆個性的よね。きっとそれもわざとなんでしょ?理由を教えてくれれば手助けできることもあると思うから授業の後にでも教えて!そろそろ時間になりそうだから。」
時計を見るといい時間だ。私はジャンリーネの言葉に頷いてから、授業の準備を始めた。
朝起きて、大きく伸びをすると窓を見る。
本当に雲ひとつない快晴だ。
「おはようございます。ヴェロニカお嬢様。」
「おはよう。ハンナ。今日もいい天気ね。」
ハンナに朝の挨拶をすると、私は貴族院に行く準備を始める。
貴族院は15歳から18歳までの3年間、貴族としての教育を受ける場だ。アドルフ様は3年生で私と学年も違うため、上手く行けば合わなくて済むだろう。
まぁ…アドルフ様が迎えに来れば別だけど…
「アドルフ様な迎えに来ると思う?」
「どうでしょうか…昨日はヴェロニカ様の事すら記憶から抹消されていましたけどね。」
記憶から抹消って…。
もっとオブラートに包むとかできないのかしら。
確かに頭の片隅にでも覚えていれば私を置いて帰ったりはしないと思うけど、本当にこの家の人たちは使用人含めて言葉を隠すということをしないんだから!!
「と、言うのはあちらに置いておきましょう。」
箱を右から左に動かすように手を動かすハンナ。
「いやいや、置いておかなくていいから!」
私のツッコミに、不思議そうな顔で見つめてくる。
「本当に置いておかなくていいのですか?」みたいな顔はやめて欲しい。
「では、本題に…「今の話が本題じゃなかったの!?」」
思わずハンナの言葉を遮ってしまった私は悪くないと思う。
「はい。こちらをイザベラお嬢様から預かりまして…なんでも悪役令嬢セットと言うらしいです。こちらを着て貴族院に行くようにと…」
大きな箱をドサリと置くハンナ。見るからに重そうなんだけど一体何が入っているのだろうか…
というか、あのお姉様が準備したのだ…
ロクなものでは無いと言うのは想像がつく。
恐る恐る箱の中を覗くと…箱の中はキラキラと光っていた…
…
……
………
「ハンナ…これは…?」
思わず現実逃避したくなった私はハンナの方を見る。
「はい、こちらが悪役令嬢セットでございます。」
私は思わず、頭に手を置いて天を仰ぐ。楽しそうな顔をしながら準備をするお姉様の顔が目に浮かんだ。
「それは分かったわ…と、取り敢えず中を確認しましょうか…」
どこで買ったのか分からない真っ赤なドレス。胸元にとおきなリボンと、アクセントなのかわコラないが袖には白いフリルが着いている。
貴族院は服装自由だから何を着てもいい訳だけど、こんな派手なドレス着ていける訳が無い…そもそも皆動きやすい格好で来てるのに、誰がこんなドレスで行くというんだ。
そして縦巻きロールのカツラ。しかも髪の色は私の髪色と同じ金髪である…。
箱の中にはまだ色々入っていて、赤いパンプスに、赤い扇子。それとドレスに合うようなジャラジャラした宝飾類…扇子はご丁寧にファーまで着いている。
「今どきこんなにコテコテな悪役令嬢いるわけないだろ!」と、ツッコミたくなった私は間違っていないと思う。
「ほんと…このセット昨日の今日で一体どうやって準備したのかしら…」
思わず溜息が漏れる。
「ヴェロニカ様。イザベラ様から伝言がありまして…「こちらを着て行かなければ悪役令嬢は完成しないわ!やるからにはとことんやりなさい!やらなければ、殺られるだけよ!!」…との事です。」
私は誰に殺られに行くのかしら…。
って言うよりもイザベラお姉様の方が私よりもよっぽど悪役令嬢ですよ…
着ていかなきゃ着ていかないでお姉様に後から
「やっぱり言ったじゃない。インパクトが足りないのよ!」
と言われる未来が見えた私は、
仕方なく、仕方なーく…お姉様の用意した悪役令嬢セットに着替えて貴族院に行くことにした。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
貴族院に着くと、目線が一斉にこちらを向く。
同情の目、好奇な目、蔑みを含んだ目など様々だ。1番多かったのは目を丸くして吃驚する顔だろうか。
ただ言えるのは余りいい気はしない。
---「きいたぁ?目の前で婚約者が別の女の子を追いかけていったらしいわよ…」
---「その話聞いたわ!人通りが多いところだったみたいで、結構見ていた人多いんだってぇ…」
---「それは少し可愛そうね…私だったら耐えられないわ。昨日の今日でよく来れるわよね…しかもあの格好…笑っちゃダメなのは分かるけど、笑っちゃいそう!」
なんて声が色々なところから聞こえてくる。
やっぱり、結構人通りもあったし色々な人に見られていたようだ。
思っていた通りアドルフ様の迎えはなく…。本当に記憶から抹消されたようだ。
今までであればなんだかんだ迎えに来てくれていたのに…。
昨日の今日で会いたいか聞かれれば会いたくなくなかったし、出来れば今の服装を見られたくなかったからありがたい。
縦巻きロールに真っ赤なドレス。そしてハンナが施した悪役令嬢風メイク。見るからにいつもの自分とは正反対の見た目…
誰だって見たら笑ってしまう。
私だって鏡をみた時は笑いそうになったもの…というか、お母様たちは大笑いしていたわ。
「はぁ…」
沢山の目から逃げるように教室に入ると、少ない友人が声をかけてきた。
「ヴェロニカ。おはよう!昨日の話きいたわ…ってどうしたのよ?その格好…。イメチェン?」
「おはよう。ジャンリーネ。昨日の話…やっぱり噂が回るのが早いわね…この格好は…お姉様に無理矢理…」
ジャンリーネ・ハインツェル。
ハインツェル辺境伯家の長女で、私の数少ない友人の1人だ。辺境伯家ということもあるのか剣術に精通しており、そこら辺の男の人よりも強い。
貴族院に来てから友人になった1人で、お姉様やお兄様の事も勿論知っている。
「本っ当にヴェロニカの家は皆個性的よね。きっとそれもわざとなんでしょ?理由を教えてくれれば手助けできることもあると思うから授業の後にでも教えて!そろそろ時間になりそうだから。」
時計を見るといい時間だ。私はジャンリーネの言葉に頷いてから、授業の準備を始めた。
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