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第二章・少女剣士たちとの出会い
いきなりひと悶着
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「でっ……っけぇ……!!」
緑生い茂る竹林の中に建つ、和風の豪邸。
人里からやや離れた位置に存在するその屋敷の外観は優美そのもので、外から見ても相当な敷地を誇っていることがわかる。
そんな邸宅の巨大な門の前に立ち、正直な感想を述べる燈。
彼の背後からひょっこりと顔を出したこころも、若干落ち着かない様子でその門を見上げながら呟く。
「本当に大きなお屋敷……! こう言ったら悪いけど、宗正さんのお家とは大違いだよ……」
「街からもそう離れてないし、住みやすい立地でもあるね。椿さんの言う通り、山奥の辺鄙な位置にある僕たちの住まいとは大違いだ」
こころの呟きを肯定するようにして頷いた蒼は、えへんと咳払いをしてから一歩前に出る。
そして、木製の門をとんとんと叩くと、大きな声で向こう側へと呼びかけた。
「すいません! 誰かおりませんか? 天元三刀匠が一人、宗正の弟子が約束を果たしに来ました!」
静かな竹林に響く蒼の声。ざわざわと風が草木を揺らす音と天に渦巻いたその声が掻き消えた時、三人の目の前で門が音を立てて動き始める。
屋敷の内部へと燈たちを誘うようにその広大な敷地の入り口を開いた門の向こう側には、迎えの人間らしき影は存在していなかった。
門を開けた人間の姿も見えなかったことから、この巨大な門も人力を用いずに開く技術が使われているのだなと理解した燈は、この屋敷が古風なだけでなく大和国の優れた技術も取り込んでいることに感嘆の息を吐く。
「……入って来い、ってことでいいんだよな?」
「だと思うよ。お誘いに乗って、お邪魔させていただくとしよう」
自分たちを迎える人間はいないが、とにかく門は開いた。
取り敢えず中に入り、奥に進んでみるべきだろう。
燈と蒼は軽く一礼してから開いた門をくぐり、そこから一拍遅れてこころが屋敷の敷地内へと足を踏み入れる。
美しい日本庭園を思わせる閑静な庭を見て、そこに在る全ての物から発せられる高級さに異様な緊張感を感じるこころ。
もし、自分がこの庭の物を壊したりなどしたら、きっと五十両なんかじゃ足りないくらいの負債を背負うのだろうななどと縁起でもないことを考えていた彼女は、前を歩く二人が不意に足を止めたことに気が付かず、燈の背にぶつかってしまう。
「んぷっ……!? ど、どうしたの?」
「あ~……どうするよ、蒼?」
「どうするもこうするも、ねぇ?」
鼻を抑え、急に立ち止まった二人へと声をかけたこころであったが、燈と蒼はそんな彼女の言葉を無視して何事かを話し合っている。
いったい、何がどうなっているのかと頭の上に?マークを浮かべていたこころであったが、目の前の燈がはぁと深く溜息をついた次の瞬間、『紅龍』の鍔が弾かれる音を耳にして、びくっと体を震わせた。
キィン、という金属音。それが一度、二度、三度響く。
こころが驚いて身を竦ませている間に彼女を挟むようにして背中合わせの陣形を取った燈と蒼の手には、鞘から引き抜かれたそれぞれの武神刀が握られていた。
「あ、あの、な、なにがどうなってるの、かな?」
「……椿、俺たちから離れんなよ」
「少々手荒い歓迎会が開かれてるみたいだね。正直、趣味が悪いと思うけどな」
そんな二人の言葉にこころが周囲を見回してみれば、あちらこちらに黒光りする暗器が散らばっているではないか。
どうやら、先の金属音は二人がこれを弾いた時に鳴った音のようだ。
この庭園の中に、こころたちを狙う人間がいる。
安全地帯であるはずの屋敷の中で急襲され、驚きと恐怖でこころが身を竦ませる中、彼女を庇うようにして立つ燈が大声で吼えた。
「ったく、こそこそ隠れてないで出て来いよ! それとも、正面切って戦う度胸はねえ、女の腐ったような根性しか持ってねえ奴なのか!?」
「……随分と大きな口を叩く男だ。なら、お望み通り姿を見せて、正々堂々と戦ってやろうじゃないか!」
「っっ……!?」
燈の声に応えるようにして、凛とした女性の声が響く。
歳はまだ若く、燈たちとそう年齢が離れていない少女のものと思わしきその声を耳にして驚くこころ。対して燈と蒼は、油断無く周囲を警戒しながら敵の姿を探す。
「あたしたちの気配に気付いて、攻撃に反応出来たのは凄いと思うよ! 流石はおばば様と同じ天元三刀匠である宗正さんが育てたお弟子さん、ってところだね!」
また、別の女性の声が庭園に響いた。
先ほどの少女の声よりも幼い、無邪気さを感じさせるその声を耳にして、相手もまた二人組であることを理解した燈たちの間を一陣の風が吹き抜ける。
その、次の瞬間、蒼と燈の正面には、それぞれ別の少女が何処からともなく降り立ち、それぞれの反応を見せていた。
「この重要な場に女を連れて来るとは……! 随分と軽薄な男のようだな、お前たちは!」
「あぁ? こっちにも色々と事情があるんだよ。っつーか、そんな重要な場面で不意打ちかますお前の方がヤバい奴だろ!?」
燈と向かい合っているのは、艶やかな黒髪を後ろで馬の尾のように束ねている、長身の少女だ。
凛とした雰囲気と、潔癖そうな眼差し。自分は男が嫌いだと主張しているような彼女の表情からは、屋敷にこころを連れて来た燈に対する軽蔑と嫌悪の感情が感じ取れる。
「……一応、確認させてほしいんだけど、これは君たちの師匠も納得の上での行為なのかな?」
「ううん! おばば様はな~んにも知らない、あたしたちの勝手な判断! だからサクッと片付けないとマズいんだよね~! にゃはは~!」
そしてもう一人、蒼と対峙するのは子供と見間違うほどの背丈の暗い橙色の髪を二つ結びにした少女だ。
無邪気に、されど明確に蒼たちとの敵対を宣言した彼女は、この場の雰囲気に似つかわしくないけん玉を手に、遊ぶようにして戦いに臨もうとしている。
自分たちを急襲した二名の少女たち。刀とけん玉を手にして自分たちを挟み込む彼女たちの様子を見て、この場の異様な雰囲気に疑問を抱いたこころは、彼女たちに対してその疑問をぶつけるようにして叫ぶ。
「あのっ! こんなことする意味なんてないんじゃないですか!? だって、あなたたちと燈くんたちは、これから一緒に武士団を結成する仲間なんでしょう!?」
「仲間? 仲間だと? ……笑わせるな! おばば様の夢の成就に、お前たちのような人間は必要ない! 最強の武士団として使命に臨むのは、私たちだけで十分だ!」
「ん~……あたしはそんな風には思ってないけどさ~……でも、信用無い人に背中を預けるのは御免だし、あなたたちの腕を確かめるためにも、こうして手合わせした方がいいじゃない? あ、あたしは本気でいくから、死なないように気を付けてね~!」
「……あちらさん、意見が合ってないみたいなんだが? 片方明らかに私怨で動いてるみたいなんだが!?」
「やる気なのは間違いないよ。燈、そっちの女の子をよろしく。僕はこっちの小さい子の相手をするよ」
「わかったよ! しゃあねえなあ、まったく……!!」
それぞれがそれぞれの相手と向かい合い、戦いの構えを取る。
油断なく刀を構える燈と蒼に対して、黒髪の少女はギラついた視線を、橙色の髪をした少女はその価値を推し量るような眼差しを送り、闘気を漲らせていた。
「あうぅ……どうしてこんなことになってるのぉ……!? 今回は仲間同士の顔合わせをするだけだって、宗正さんは言ってたのに……!」
そんな、一触即発の現場にて、ただ一人だけ戦う力を持たないこころは、半泣きの表情を浮かべると、予想もしていなかったこの事態に対する泣き言を口にしつつ、数日前の宗正との会話を思い返すのであった。
緑生い茂る竹林の中に建つ、和風の豪邸。
人里からやや離れた位置に存在するその屋敷の外観は優美そのもので、外から見ても相当な敷地を誇っていることがわかる。
そんな邸宅の巨大な門の前に立ち、正直な感想を述べる燈。
彼の背後からひょっこりと顔を出したこころも、若干落ち着かない様子でその門を見上げながら呟く。
「本当に大きなお屋敷……! こう言ったら悪いけど、宗正さんのお家とは大違いだよ……」
「街からもそう離れてないし、住みやすい立地でもあるね。椿さんの言う通り、山奥の辺鄙な位置にある僕たちの住まいとは大違いだ」
こころの呟きを肯定するようにして頷いた蒼は、えへんと咳払いをしてから一歩前に出る。
そして、木製の門をとんとんと叩くと、大きな声で向こう側へと呼びかけた。
「すいません! 誰かおりませんか? 天元三刀匠が一人、宗正の弟子が約束を果たしに来ました!」
静かな竹林に響く蒼の声。ざわざわと風が草木を揺らす音と天に渦巻いたその声が掻き消えた時、三人の目の前で門が音を立てて動き始める。
屋敷の内部へと燈たちを誘うようにその広大な敷地の入り口を開いた門の向こう側には、迎えの人間らしき影は存在していなかった。
門を開けた人間の姿も見えなかったことから、この巨大な門も人力を用いずに開く技術が使われているのだなと理解した燈は、この屋敷が古風なだけでなく大和国の優れた技術も取り込んでいることに感嘆の息を吐く。
「……入って来い、ってことでいいんだよな?」
「だと思うよ。お誘いに乗って、お邪魔させていただくとしよう」
自分たちを迎える人間はいないが、とにかく門は開いた。
取り敢えず中に入り、奥に進んでみるべきだろう。
燈と蒼は軽く一礼してから開いた門をくぐり、そこから一拍遅れてこころが屋敷の敷地内へと足を踏み入れる。
美しい日本庭園を思わせる閑静な庭を見て、そこに在る全ての物から発せられる高級さに異様な緊張感を感じるこころ。
もし、自分がこの庭の物を壊したりなどしたら、きっと五十両なんかじゃ足りないくらいの負債を背負うのだろうななどと縁起でもないことを考えていた彼女は、前を歩く二人が不意に足を止めたことに気が付かず、燈の背にぶつかってしまう。
「んぷっ……!? ど、どうしたの?」
「あ~……どうするよ、蒼?」
「どうするもこうするも、ねぇ?」
鼻を抑え、急に立ち止まった二人へと声をかけたこころであったが、燈と蒼はそんな彼女の言葉を無視して何事かを話し合っている。
いったい、何がどうなっているのかと頭の上に?マークを浮かべていたこころであったが、目の前の燈がはぁと深く溜息をついた次の瞬間、『紅龍』の鍔が弾かれる音を耳にして、びくっと体を震わせた。
キィン、という金属音。それが一度、二度、三度響く。
こころが驚いて身を竦ませている間に彼女を挟むようにして背中合わせの陣形を取った燈と蒼の手には、鞘から引き抜かれたそれぞれの武神刀が握られていた。
「あ、あの、な、なにがどうなってるの、かな?」
「……椿、俺たちから離れんなよ」
「少々手荒い歓迎会が開かれてるみたいだね。正直、趣味が悪いと思うけどな」
そんな二人の言葉にこころが周囲を見回してみれば、あちらこちらに黒光りする暗器が散らばっているではないか。
どうやら、先の金属音は二人がこれを弾いた時に鳴った音のようだ。
この庭園の中に、こころたちを狙う人間がいる。
安全地帯であるはずの屋敷の中で急襲され、驚きと恐怖でこころが身を竦ませる中、彼女を庇うようにして立つ燈が大声で吼えた。
「ったく、こそこそ隠れてないで出て来いよ! それとも、正面切って戦う度胸はねえ、女の腐ったような根性しか持ってねえ奴なのか!?」
「……随分と大きな口を叩く男だ。なら、お望み通り姿を見せて、正々堂々と戦ってやろうじゃないか!」
「っっ……!?」
燈の声に応えるようにして、凛とした女性の声が響く。
歳はまだ若く、燈たちとそう年齢が離れていない少女のものと思わしきその声を耳にして驚くこころ。対して燈と蒼は、油断無く周囲を警戒しながら敵の姿を探す。
「あたしたちの気配に気付いて、攻撃に反応出来たのは凄いと思うよ! 流石はおばば様と同じ天元三刀匠である宗正さんが育てたお弟子さん、ってところだね!」
また、別の女性の声が庭園に響いた。
先ほどの少女の声よりも幼い、無邪気さを感じさせるその声を耳にして、相手もまた二人組であることを理解した燈たちの間を一陣の風が吹き抜ける。
その、次の瞬間、蒼と燈の正面には、それぞれ別の少女が何処からともなく降り立ち、それぞれの反応を見せていた。
「この重要な場に女を連れて来るとは……! 随分と軽薄な男のようだな、お前たちは!」
「あぁ? こっちにも色々と事情があるんだよ。っつーか、そんな重要な場面で不意打ちかますお前の方がヤバい奴だろ!?」
燈と向かい合っているのは、艶やかな黒髪を後ろで馬の尾のように束ねている、長身の少女だ。
凛とした雰囲気と、潔癖そうな眼差し。自分は男が嫌いだと主張しているような彼女の表情からは、屋敷にこころを連れて来た燈に対する軽蔑と嫌悪の感情が感じ取れる。
「……一応、確認させてほしいんだけど、これは君たちの師匠も納得の上での行為なのかな?」
「ううん! おばば様はな~んにも知らない、あたしたちの勝手な判断! だからサクッと片付けないとマズいんだよね~! にゃはは~!」
そしてもう一人、蒼と対峙するのは子供と見間違うほどの背丈の暗い橙色の髪を二つ結びにした少女だ。
無邪気に、されど明確に蒼たちとの敵対を宣言した彼女は、この場の雰囲気に似つかわしくないけん玉を手に、遊ぶようにして戦いに臨もうとしている。
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「あのっ! こんなことする意味なんてないんじゃないですか!? だって、あなたたちと燈くんたちは、これから一緒に武士団を結成する仲間なんでしょう!?」
「仲間? 仲間だと? ……笑わせるな! おばば様の夢の成就に、お前たちのような人間は必要ない! 最強の武士団として使命に臨むのは、私たちだけで十分だ!」
「ん~……あたしはそんな風には思ってないけどさ~……でも、信用無い人に背中を預けるのは御免だし、あなたたちの腕を確かめるためにも、こうして手合わせした方がいいじゃない? あ、あたしは本気でいくから、死なないように気を付けてね~!」
「……あちらさん、意見が合ってないみたいなんだが? 片方明らかに私怨で動いてるみたいなんだが!?」
「やる気なのは間違いないよ。燈、そっちの女の子をよろしく。僕はこっちの小さい子の相手をするよ」
「わかったよ! しゃあねえなあ、まったく……!!」
それぞれがそれぞれの相手と向かい合い、戦いの構えを取る。
油断なく刀を構える燈と蒼に対して、黒髪の少女はギラついた視線を、橙色の髪をした少女はその価値を推し量るような眼差しを送り、闘気を漲らせていた。
「あうぅ……どうしてこんなことになってるのぉ……!? 今回は仲間同士の顔合わせをするだけだって、宗正さんは言ってたのに……!」
そんな、一触即発の現場にて、ただ一人だけ戦う力を持たないこころは、半泣きの表情を浮かべると、予想もしていなかったこの事態に対する泣き言を口にしつつ、数日前の宗正との会話を思い返すのであった。
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