聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞

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「あら?どちら様でしたか?」

「エルーシア。わたし 私です」

(そういえば、日本で流行っていた“オレオレ詐欺”は聞くけれど“わたしわたし詐欺”はなかったのでしょうか?
女性は頻繁にご両親に連絡するからかしら?)

「え!わたしわたし詐欺?」

「エルーシアわたしです」

「フレイヤ様。小芝居はこれくらいにしましょう」

「エルーシア。貴女から小芝居がはじまったのよ。
毎回毎回こんな登場の仕方で、女神である私の存在感がうすくなっているのですか?」

「はい。その通りです。その代わり妹のファリカがその存在価値を上げていますね」

「ファリカね。確かにここ最近成長したわね」

「私も人のことを言えませんが、6歳にしては、しっかりしているというか、大人です。
もしかして、ファリカも転生者なのかしら?」

「いいえ。転生はしているかも知れませんが、前世の記憶があると言うことは無さそうですね。
どちらかと言うと、エルーシアとリーサと一緒に居て、二人をお手本にして成長したのでしょうね。ホルダ(メリアの妹)と一緒に居てもお姉さんの立ち位置でしたしね」

「そうか。ファリカは転生者ではないのに、あのように、知識もあるし、行動力もずば抜けているのですか?」

「そうね。ファリカは、姉であるエルーシアの事を尊敬して、領民の為に力を尽くしている貴女の力になろうと必死なのです」

「私がテイムした魔物の言葉はわかるし、精霊様達を召喚出来るようになっていますし、ここ最近は驚いてばかりです」

「好奇心なのでしょうね。自分のお姉ちゃんが出来るのだから、出来て当たり前と思って行動したら本当に出来たのでしょうね。
精霊達は、元々はエルーシアが、闇と光の精霊達と仲が良いので、その影響を受けて、精霊達がファリカに興味を持って接してきたのでしょうね。
ファリカは、貴女と同じで一緒に居ると、色々なことが起きて楽しいのでしょうね」

「精霊様は、気分屋で楽しい事が好きだと聞きますものね」

「そうね。ファリカと言えば、ファリカが身体強化を出来るのは、エルーシア知っている?」

「いいえ。知りません」

「あれだけ、スライムに乗って移動をしているのです。自身を強化しないとあのスピードで乗りこなせないわよ」

「言われて見ればそうですね」

「そう。それでね。
この間、誘拐事件の時に、レナウドを見て意識をなくしたでしょう?」

「はい・・・・・・」

「あの事実は、捨てられてから初めて、自分を捨てたレナウドを見て動揺して意識を失ったと思っているわよね?エルーシア」

「はい・・・・・・」

「ふふふ。アレはね。レナウドを見て動揺したと言うよりも 」

「言うよりも?」

「身体強化された、ファリカにギュウギュウと締め上げられたからよ!」

「ぇぇぇええええええええ!!!!」

「だって考えてご覧なさい。
エルーシアは、幼い頃や最近まで、『また、捨てられたらどうしよう。捨てられないようにいい子でいよう』と思っていたでしょう?」

「はい」

「でも、今は捨てられることはないと思っていますよね。
しかも、今は捨てられたとしても一人で生きて行けると思っているわよね?」

「はい。そのように思っています」

「だから過去のトラウマは解消されているのです。
その証拠に人見知りも治っていますよね?」

「はい。確かに人見知りはあまりすることがなくなりました。
小等学校で色々な方と関わるようになったからと思っていました」

「それもあるでしょうけれども、一人でも生きて行けると思ってから、心に余裕が出てきたのでしょう。
でも、わだかまりは、まだあると思いますけれども」

「そうですね。わだかまりはあります」

「わだかまりは、あって当たり前ですよ。
むしろない方が可笑しいです」

「そう言っていただけると、心が楽になりました」

「ふふふ。実は今日はエルーシアが、倒れてしまったことを病んでいたので、私は顔を出しました」

「あ、ありがとうございます」

「わたしは戻るわね。
前もいいましたが、いつでもエルーシアが呼べば現われますわ」

「はい。今後は悩みがあるときに相談します」

「まっているわよ。
でも、“アワビの煮込み”わたしも食したかったわ」

「フレイヤ様も、古竜のように人化されたら食べられますよ。
食材は常に私のポケット(秘密のポケット)に入っていますから」

「そうね。アワビの煮込みの為に練習しておくわ。
それでは、エルーシアごきげんよう」

「フレイヤ様。ありがとうございました」

急に現われたフレイヤ様が、私の為だけにいらしたことに、私は感謝しました。


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