エレメントサモナー

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現レシ闇ノ瘴気

闇ノ蠢キ

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 僕は学園に向かって走っている。他の選手に見られない様にするためだ。だが、そこには学園長の姿があった。

「何故学園長がここに?」
「本当は一人で来るつもりだったのだけれど……」
「あれっ? 僕は何が幻想でも見ているのかな……」
「幻想でも夢でもありませんよ、エレス=ジェラノアさん」

 何故か、そこには国王陛下と女王陛下がいられた。状況が分からなかった。

「国王陛下と女王陛下が何故ここに……」
「娘のスルカが戦っている貴方に興味津々でどうしても合う機会を欲しいと言って聞かなかったので……」
「それで、学園長と一緒に来られたと…――…って、まずいんじゃないですか!?」
「いえいえ、分身がいますので大丈夫です」

 こんな事をしていて良いのかと思うけど、娘のためとなると、やっぱり仕方ないのかなとも思ってしまう。けど、女王陛下がなぜ僕に興味を持たれたのかが分からない……。

「ねぇ? 貴方の戦いを見ていたけれど、多分全力出してないでしょ?」
「……どうしてそう思われたのですか?」
「だって、バレルに押されていた時に貴方は逆に笑っていて、余裕そうだったから」

 …………気づかれてる!

 僕は気付かない様にしていた筈なのに、簡単に見破ってしまわれた。

「私は、午後でもエレスのチームが優勝すると思うわ」
「それの事なんですが、ちょっと気になる事があって……」
『?』

 僕は囚人達の事について簡潔に話した。

「なるほど……確かにそれが本当に起こったらかなり深刻な事態になりそうね…」
「そうですわね……あの囚人達がこんな都合のいい日を狙わない理由がないですし…」
「やっぱり凄いわ、流石私が認めた人っ!」
「えーっとスルカ様?」
「スルカって呼んでくれない?私のお婿さんっ」
「むっ、婿!?」

 こんな発言が飛んでくるとは思わず、声が裏返ってしまった。だが、そんな恥ずかしいことは今はどうでもいい、彼女の発言の真意を知らなければならない。

「ちょっとスルカ!? 急に何を――」
「お母様、私はエレス=ジェラノアさんを婿にしたいと思……いえ、します」
「これは大事になったわね……」
「っ!皆伏せて!」

 その刹那、閃光が僕らを襲った。

「皆さん、大丈夫ですか?」
「えぇ、なんとか……」


『まさか、生徒の中に私の気配に気付く物がいるとは、想定外だよ』


 閃光が消えた所に姿を表したのは黒いローブを身に纏い、右手にステッキ状の魔杖を手にした青年だった。藍色の目を少し細めて不敵に笑うその姿はとてと不気味だった。

「……あなたは?」
「私はクローゼス=ジハード、国王を闇の世界への生贄とせんために」
「どういうことですか?」
「我々はアルケオス、世界を暗黒に染めて支配するためには、悲劇を齎す必要があるのだよ。国王の首を掲げれば誰もが嘆き悲しむだろう」

 世界を暗黒に染める? ……なんか嫌な気しかしないけど、絶対強いよこの人……。

「さぁ、おしゃべりは以上だ。君には最初に仕留め……ガハッ」
「まさか本当に役に立つとは思わなかった…」

 エレスは朝練を終えた後、各学園と会場に光刃を設置していた。警戒していたのは最もだが、こっちに来るとは思わなかった。

「グッ……こんな卑劣な不意打ちを仕掛けるとは……」
「いやいや、あなたも人のこと言えませんよ……」
「だが、もう喰らわなグォッ!?」
「私の存在忘れるなんて酷いわね」

 今度は学園長の腹パンがクリーンヒットし、そのまま壁まで真っ直ぐ吹き飛ばされた反動で壁が少しヘコんだ。

「エホッエホッエホッ……もう許さんぞ」
「それはこちらの台詞です、大会を汚そうと陛下を傷付けようとは……」

 ……何か、敵なのに可哀想に見えて来た。一回目は僕だけど、学園長の腹パンは更に酷そうだ……。


『何やってんだ?俺も混ぜろよ!』


 そこに現れたのは右目の傷跡と鞘に収められた二本の剣が特徴的なクローゼスと同じ位の背の青年が現れた。クローゼスとは対象的に好戦的で、この状況に興奮を隠せないかのように笑う。

「ディセップ、なぜここに?」
「あんたが戻って来ないと思って来たら、こぉーんな面白そうな奴らにボコられてるしなぁ。なぁそこの坊っちゃん、俺と殺ろうぜ」

(学園長は陛下を連れて逃げてください)
(何を言っているんですか!?あなたも一緒に――)
(だめです、多分僕が止めないと逃がせられません)
(ならなおさら私が…)
(学園長は速く生徒に知らせてください)
(……分かったわ。死なないでくださいね)
(もちろんです!)
(ご武運を……)
(では後に)


「なにをしているディセップ!速く国王を追え!」
「っざけんな!こいつを剣のサビにするのが先だ!」
「この馬鹿が……」

 敵ながらクローゼスが頭を悩ます姿には同情しかない。僕の周りにディセップのような人がいなくて良かったと改めて思った。

「さぁ坊っちゃん、俺と殺ろうぜ!」
「……分かった、ここはお前に任せる」
「あぁ、楽しませてもらうぜっ!」


『ヘェーイッ!』


「ゴハッ…!」

 
「エレス、お待たせってなぁ!」
「…ハッハッハッ!面白くなって来たじゃねぇかよぉ!」

 これはハルスと別れたときに遡る。

「もし僕が二十分経っても帰って来なかったら、学園に来てくれる?」
「分かった、ミレアはどうするんだ?」
「ミレアには動かない様に言っておいて、一つに集中していると痛い目見るから。でも、必要な時には動いてと伝えて」
「……それが懸命な判断だ」

 これがハルスが来た経緯である。敵が居ようと居まいが、僕らは合流する。会場はミレアに任せる、だから学園長たちを会場に向かわせた。そうしないと陛下だけでなく、都民も危ないからだ。



「よくも我々の邪魔を!」
「バッキャロー!お前らのせいで大会が滅茶苦茶だ!容赦しねーぞ!」

「(さてと……)今度こそ始めようか、僕らが必ず勝つけど」
「いい意気込みじゃねぇか、そういうの、嫌いじゃねぇぜ!」
「『聖なる月陽よ、今ここに刃となりて、現れん』」
「『赤く染まりし血よ!今漆黒に染まりし絶剣となれ』!」
「ハァァァァッ!」
「ウラァァァァッ!」

 こうして僕らの剣が交わった。
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