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第三章 血路
二十八
弘治三年(一五五七年)の尾張国は束の間の静寂に包まれている。
斎藤道三の死を引き金に雪崩を打って始まったかに見えた反信長連合とでも呼ぶべき一群は、稲生原の一戦の後に儚く瓦解した。後に残ったのは煮え切らない平和である。引き続く織田信長という男の器への疑義、家中に芽生えた不満の種は決してすべて解消されたとは言えないまでも、しかし、信長に対抗できるものが国内には居ない。誰も彼もが、ただ、じっとして隙を伺うことしか出来なかった。
信長の方もそれまでの好戦的な態度をやや変えた。自らの周囲を蠢くネズミたちの存在に気付きながらも、あえて彼らの呼吸に合わせてやるとでもいうかのようにそれを泳がせた。当面、自分に盾突く力などない不穏分子たちの粛清よりも、いつ攻め来るか分からない、斎藤・今川に抗するための兵力を増強することの方がよほど急務だったからで、何よりネズミたちも信長が国外の猛者との戦いで息を切らすのを待っているのだった。
代わって末森城はいよいよ哀れな様相となってきた。
信勝は毎晩のように蔵人を呼びつけては抱いた。
「蔵人、わたしはどうすればいい?」
信勝は家臣の胸に顔を押し付けて泣いた。素面でいられない。朝、目が覚めれば、尾張国のすべてが信長の差配で動いている。その現実に耐えられない。酒でも、肉欲でも、何でも良かった。彼はすこしでも長く、浮世とは時空を隔てたところに居なければならなかった。
蔵人はそんな信勝の心性を知悉している。
「万事、この蔵人にお任せください。信長のような男は悪運が強いだけなのです。家督の希望はまだありますから、いまは待つのです」
「わたしはッ、もう、生まれからずっと待ってきたではないか。このうえ、まだ、待たねばならぬというのか」
「もうすこしの辛抱ですよ」
子どもをあやすかのように諭す。そうして、また、主君を一度の夢に誘って安住の眠りにつかせる。定まった手順である。また、明日も同じことの繰り返しだと蔵人は分かっている。それでも、ほかに信勝の心を癒す術を持たなかった。
主君の寝室を後にした蔵人は、廊下の暗がりに、月光に照らされて木像のように立っている勝家を見つける。
「信勝さまに会わせてもらうぞ」
「いま、お眠りになったところです。お引き取り願う。あなたの顔など、見たくもない」
「もはや、信長さまに取って代わる見込みはない。諫言、差し上げる」
「必要ないのですよ、信勝さまには。あなたも、あなたが語る事柄も」
「何故、信勝さまを誑かす」
「誑かす、ですか。ハッ」
蔵人は勝家の心底嘲笑した。乱れた髪をかきあげ一層鋭く勝家を睨む。
「今さらそんなことを伝えて何になるというのです。あのお方は、織田信長を排して家督を得る、そのことだけを目標として生きて来られた。稲生原で無惨に汚した張本人が、この期に及び、その夢を、信勝さまの最後の希望さえもを捨てさせると申されるか」
「敗戦の言い訳はせぬ。しかし、それが事実なら申し伝えるのが我らの役目だ」
「違うッ。あなたはその後のことを考えていないのです。身も蓋もない事柄を伝えて、信勝さまのお心はどうなりますか。あのお方から家督の希望を奪う、それは、あのお方のこれまで歩みのすべてを否定することではないですか。信長の風下に立つ一生を選ぶぐらいなら、信勝さまは腹を召されるであろうッ」
「信勝さまは、それほどヤワではござらぬ」
「あなたに何が分かるというのです。あなたは、あの方の弱さも、強さも、まったく知らぬではないですか。信勝さまは、確かに当主足る器を持っていた。持っていたのだ。そうして、あなたは、最も長くあの方の側に仕え、あの方を当主に押し上げるための実質的な力を持ちながら、すべてを無為にし、事が成せぬと早合点、忠臣面をして『すべてを捨てろ』と簡単に言ってのける。私と、信勝さまは、何も捨てぬ! 何も変えぬのです」
津々木蔵人がただの私利私欲を貪る夢魔の如き男であったなら、勝家はこの時、容易に斬り捨てたことだろう。だが、どうにも踏み出せない。手をかけた刀は抜かれなかった。主君にベッタリとくっついて離れない振舞いは、君側の奸そのものに見えるが、しかし、腹が据わっている。
今にも、自分へ飛び掛かってきそうな蔵人の瞳のなかに、かつて、切腹の念に駆られていた自分の姿と同じものを勝家は見た。
思わず口籠る勝家に、蔵人は、まだ信勝にも話していない謀略を打ち明ける。
「まだ、何も終わってはいない。信広殿をこちらへ引き込み守山城を奪い返す。そうして、清洲に対して再び反信長の戦線を形成しましょう。林秀貞のような軽薄な連中は手のひらを返したように我らの味方をするに決まっております。信秀公は誠に多くの兄弟・お子を残されました。焚きつける種はいくらでもあるのです」
織田信広は信長の庶兄である。かつて今川方の捕虜となり松平竹千代との人質交換によって九死に一生を得たが、この時、信長は兄・信広を見捨てるよう父に談判した。さらに、信長が家督を継いでからは、信次逐電の折に守山城の後任を実弟・秀俊に奪われるという屈辱の裁定を受けたこともある。信広には信長への恨みが十二分にあったのである。
蔵人はそうした弾正忠家の一族、つまりは、信勝と同じように信長に取って代わらんとする意欲を持つ者たちを、片っ端から焚きつけ、鉄砲玉として信長にぶつけてやろうというのである。
「馬鹿げておる。それを斎藤、今川が黙ってみていると思うか」
「攻め込んで来るでしょうな。構うものか。弾正忠家など何だと言うのです。信長一人を殺せば、私も、信勝さまも満足です」
それは、泥沼の内乱を引き起こす禁じ手だった。
勝家も、秀貞も、信勝を盛り立てたのは、あくまでも弾正忠家の未来を想ってのこと。今川との戦争に邁進するばかりの信長ではいずれ弾正忠家を破滅させるだろう、と考えての造反だった。しかし、この津々木蔵人という男は違う。ただ、信勝という個人を救うため、それだけのために、尾張全土を焦土と化し兼ねない作戦を断行するつもりなのだ。
「滅びの道ぞ」
「臨むところ。ただでは滅ばぬ」
乱世は謀叛を否定しない。しかしながら、それを成し遂げた先の展望がなければ、謀叛人は無様な最期を避けられない。自らが風上に立ったとき、何を行うか? これを決定せしめるものを人間の器と言う。謀叛そのものが目的となるような袋小路の挙兵などは、ただ周囲を巻き込む自殺に他ならない。
信勝がそのことに気付く機会はあったはずだった。信長に追い詰められ、守護・斯波義統の殺害に走った坂井大膳、織田信友ら清洲衆の末路を知らなかった訳ではない。ただ、信長の功績の一切に目を塞いできたが故に、それを教訓とする機会を逸していた。
そして、蔵人の思い付きの謀略すら遅きに失することとなる。
彼が動くよりもその前に、信広は、美濃の斎藤高政と図り信長への謀叛を画策した罪で捕縛されてしまうのだった。
斎藤道三の死を引き金に雪崩を打って始まったかに見えた反信長連合とでも呼ぶべき一群は、稲生原の一戦の後に儚く瓦解した。後に残ったのは煮え切らない平和である。引き続く織田信長という男の器への疑義、家中に芽生えた不満の種は決してすべて解消されたとは言えないまでも、しかし、信長に対抗できるものが国内には居ない。誰も彼もが、ただ、じっとして隙を伺うことしか出来なかった。
信長の方もそれまでの好戦的な態度をやや変えた。自らの周囲を蠢くネズミたちの存在に気付きながらも、あえて彼らの呼吸に合わせてやるとでもいうかのようにそれを泳がせた。当面、自分に盾突く力などない不穏分子たちの粛清よりも、いつ攻め来るか分からない、斎藤・今川に抗するための兵力を増強することの方がよほど急務だったからで、何よりネズミたちも信長が国外の猛者との戦いで息を切らすのを待っているのだった。
代わって末森城はいよいよ哀れな様相となってきた。
信勝は毎晩のように蔵人を呼びつけては抱いた。
「蔵人、わたしはどうすればいい?」
信勝は家臣の胸に顔を押し付けて泣いた。素面でいられない。朝、目が覚めれば、尾張国のすべてが信長の差配で動いている。その現実に耐えられない。酒でも、肉欲でも、何でも良かった。彼はすこしでも長く、浮世とは時空を隔てたところに居なければならなかった。
蔵人はそんな信勝の心性を知悉している。
「万事、この蔵人にお任せください。信長のような男は悪運が強いだけなのです。家督の希望はまだありますから、いまは待つのです」
「わたしはッ、もう、生まれからずっと待ってきたではないか。このうえ、まだ、待たねばならぬというのか」
「もうすこしの辛抱ですよ」
子どもをあやすかのように諭す。そうして、また、主君を一度の夢に誘って安住の眠りにつかせる。定まった手順である。また、明日も同じことの繰り返しだと蔵人は分かっている。それでも、ほかに信勝の心を癒す術を持たなかった。
主君の寝室を後にした蔵人は、廊下の暗がりに、月光に照らされて木像のように立っている勝家を見つける。
「信勝さまに会わせてもらうぞ」
「いま、お眠りになったところです。お引き取り願う。あなたの顔など、見たくもない」
「もはや、信長さまに取って代わる見込みはない。諫言、差し上げる」
「必要ないのですよ、信勝さまには。あなたも、あなたが語る事柄も」
「何故、信勝さまを誑かす」
「誑かす、ですか。ハッ」
蔵人は勝家の心底嘲笑した。乱れた髪をかきあげ一層鋭く勝家を睨む。
「今さらそんなことを伝えて何になるというのです。あのお方は、織田信長を排して家督を得る、そのことだけを目標として生きて来られた。稲生原で無惨に汚した張本人が、この期に及び、その夢を、信勝さまの最後の希望さえもを捨てさせると申されるか」
「敗戦の言い訳はせぬ。しかし、それが事実なら申し伝えるのが我らの役目だ」
「違うッ。あなたはその後のことを考えていないのです。身も蓋もない事柄を伝えて、信勝さまのお心はどうなりますか。あのお方から家督の希望を奪う、それは、あのお方のこれまで歩みのすべてを否定することではないですか。信長の風下に立つ一生を選ぶぐらいなら、信勝さまは腹を召されるであろうッ」
「信勝さまは、それほどヤワではござらぬ」
「あなたに何が分かるというのです。あなたは、あの方の弱さも、強さも、まったく知らぬではないですか。信勝さまは、確かに当主足る器を持っていた。持っていたのだ。そうして、あなたは、最も長くあの方の側に仕え、あの方を当主に押し上げるための実質的な力を持ちながら、すべてを無為にし、事が成せぬと早合点、忠臣面をして『すべてを捨てろ』と簡単に言ってのける。私と、信勝さまは、何も捨てぬ! 何も変えぬのです」
津々木蔵人がただの私利私欲を貪る夢魔の如き男であったなら、勝家はこの時、容易に斬り捨てたことだろう。だが、どうにも踏み出せない。手をかけた刀は抜かれなかった。主君にベッタリとくっついて離れない振舞いは、君側の奸そのものに見えるが、しかし、腹が据わっている。
今にも、自分へ飛び掛かってきそうな蔵人の瞳のなかに、かつて、切腹の念に駆られていた自分の姿と同じものを勝家は見た。
思わず口籠る勝家に、蔵人は、まだ信勝にも話していない謀略を打ち明ける。
「まだ、何も終わってはいない。信広殿をこちらへ引き込み守山城を奪い返す。そうして、清洲に対して再び反信長の戦線を形成しましょう。林秀貞のような軽薄な連中は手のひらを返したように我らの味方をするに決まっております。信秀公は誠に多くの兄弟・お子を残されました。焚きつける種はいくらでもあるのです」
織田信広は信長の庶兄である。かつて今川方の捕虜となり松平竹千代との人質交換によって九死に一生を得たが、この時、信長は兄・信広を見捨てるよう父に談判した。さらに、信長が家督を継いでからは、信次逐電の折に守山城の後任を実弟・秀俊に奪われるという屈辱の裁定を受けたこともある。信広には信長への恨みが十二分にあったのである。
蔵人はそうした弾正忠家の一族、つまりは、信勝と同じように信長に取って代わらんとする意欲を持つ者たちを、片っ端から焚きつけ、鉄砲玉として信長にぶつけてやろうというのである。
「馬鹿げておる。それを斎藤、今川が黙ってみていると思うか」
「攻め込んで来るでしょうな。構うものか。弾正忠家など何だと言うのです。信長一人を殺せば、私も、信勝さまも満足です」
それは、泥沼の内乱を引き起こす禁じ手だった。
勝家も、秀貞も、信勝を盛り立てたのは、あくまでも弾正忠家の未来を想ってのこと。今川との戦争に邁進するばかりの信長ではいずれ弾正忠家を破滅させるだろう、と考えての造反だった。しかし、この津々木蔵人という男は違う。ただ、信勝という個人を救うため、それだけのために、尾張全土を焦土と化し兼ねない作戦を断行するつもりなのだ。
「滅びの道ぞ」
「臨むところ。ただでは滅ばぬ」
乱世は謀叛を否定しない。しかしながら、それを成し遂げた先の展望がなければ、謀叛人は無様な最期を避けられない。自らが風上に立ったとき、何を行うか? これを決定せしめるものを人間の器と言う。謀叛そのものが目的となるような袋小路の挙兵などは、ただ周囲を巻き込む自殺に他ならない。
信勝がそのことに気付く機会はあったはずだった。信長に追い詰められ、守護・斯波義統の殺害に走った坂井大膳、織田信友ら清洲衆の末路を知らなかった訳ではない。ただ、信長の功績の一切に目を塞いできたが故に、それを教訓とする機会を逸していた。
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この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))