小さな黄色の花を咲かせる頃には

ひまわりまま

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第二章

この葉が落ちる頃

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風華が優しく話しかけてくれる日は一年の間でほんのわずか一時だけだった。
そんな時はこちらが戸惑っていたことを今は懐かしく思い出す。

風華のとがったったものがどこかへ消え去る季節、それは枯れ葉が舞う秋の、そう秋の終わりだけだった。
毎日の登下校で見飽きた風景の中に、名もなき木が風に揺れながらこちらを見て、寒そうに立っていた。
ある日私はいつもの風景に特に気にも止めずその木の前を通り過ぎようとした時、後ろから風華の声がした。
「ねぇ、この木の葉っぱが全部なくなるの いつだと思う?」
私は風華の言葉にはっと息を飲んだ。
「あの風華が?こんなことを言うなんて!」
慌てて後ろを振り返ると、その木から目を離せないでいる、淋しいような、遠い何かを見つめているような風華の姿があった。
風華の目の先を追うと、木には六枚ほどの枯れ葉がからからと音を立てて風に揺れていた。
それは今にも風に吹き飛ばされそうに儚げで、脆そうに見えた。
「この感じじゃ この葉っぱはそう何日も持つまい」私は心のなかでつぶやいた。
しかし、いつものとげとげしさを無くした別人のような風華にはとても言えず
「いつ頃だろうね。わからないや」とごまかした。
「そうだね」か細く、今にも消え入りそうな風華の声が聞こえてきた。
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